一般財団法人環境イノベーション情報機構
カネミ油症患者らを対象にした平成20年度検診事業の予定を公表(第2報)
【健康・化学物質 公害予防/被害】 【掲載日】2008.10.03 【情報源】厚生労働省/2008.10.02 発表
厚生労働省は平成20年7月31日に公表していたカネミ油症患者らを対象に実施する検診事業のうち、検診日程等が未定であった自治体について日程等が確定したので、20年10月2日付けで公表した。カネミ油症事件は、1968年に北九州のカネミ倉庫が製造した食用米ぬか油に、脱臭工程で使用されたPCBが混入したことで発生した日本有数の食品公害事件。福岡県・長崎県をはじめとする西日本一帯で、この米ぬか油を食べた人々に健康被害が発生している。また近年、PCBとPCBが加熱酸化されて生成されたダイオキシン類との複合汚染であったことが判明している。
厚生労働省では、保健医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生分野の研究に対する競争的研究資金である「厚生労働科学研究費補助金」により、カネミ油症による健康影響の把握と治療法開発などに取組む「熱媒体の人体影響とその治療法に関する研究(主任研究者:古江増隆・九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野教授)」への支援を行っており、今回の検診は同研究事業の一環として、20年8月から11月まで、全国の33都府県で実施されるもの。
このうち福岡県と長崎県の検診では、これまでの研究で油症と骨の異常が関連する可能性が指摘されていることから、骨密度検査を試行実施し、因果関係の解明に役立てる方針。
なお研究班では、カネミ油症の根治療法開発の一環として、これまでの検診結果を踏まえ、ダイオキシン類排泄促進剤による臨床治験を行っており、福岡県と長崎県の検診では、20年度も参加した患者らに同治験への参加依頼も行われている。【厚生労働省】