一般財団法人環境イノベーション情報機構
定格熱出力一定運転についての「対処方針」を決定
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2001.12.10 【情報源】原子力安全・保安院/2001.12.07 発表
平成13年12月7日、総合資源エネルギー調査会の原子炉安全小委員会で、「定格熱出力一定運転の安全性について」の報告書が了承され、また原子力安全・保安院により、電気事業者が定格熱出力一定運転を行う場合の「対処方針」が定められた。定格熱出力一定運転は原子炉設置許可で認められた原子炉の発熱量の最大値である「定格熱出力(上限発熱量)」を保ったまま原子炉を運転する方法。現在の原子炉の運転の結果できた電気出力(電力量)を一定にする運転方法から、定格熱出力一定運転へ移行した場合、冬季にエネルギー効率がよくなった分電力量を増やせるため、全国で51基すべての原子力発電施設の増加可能な電力量は、原発1基を新設したのに相当する86.1万キロワット分増やすことができるという。
今回の原子炉安全小委員会の報告書では、定格熱出力一定運転が現在の設備を変更することなく実施可能であり、保安規定の骨格を変更する必要がないことを確認しており、これを受けた原子力安全・保安院の「対処方針」では、(1)電気出力の変更を行っても、原子炉の熱出力そのものを変更しない限り、原子炉安全上の問題はなく、原子炉等規制法上の手続きを必要としない、(2)5%未満の出力増加は、電気事業法上も自主的に定格熱出力一定運転を行うことが可能である−−との考え方を示している。
またこの方針に基づいた、定格熱出力一定運転実施に向けての原子力安全・保安院としての具体的な措置としては、(一)非常用調速機の性能についての電気事業法技術基準の改正、(二)定格熱出力一定運転を行う原子炉の蒸気タービン・発電機の安全評価実施と原子力安全・保安院による確認、(三)各電気事業者の保安規定変更についての指導、(四)使用前検査・定期検査時の定格熱出力一定運転による確認 −−などを実施すべきとしている。【原子力安全・保安院】