一般財団法人環境イノベーション情報機構
ふげん発電所の手動停止の原因と対策についての報告書は妥当
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2001.11.26 【情報源】原子力安全・保安院/2001.11.22 発表
原子力安全・保安院は、核燃料サイクル開発機構から平成13年11月2日に提出されたふげん発電所の手動停止の原因と対策についての報告書について検討を行い、同院としては、この報告書の内容を妥当なものと判断した。ふげん発電所では、平成13年1月下旬以降、主排気筒トリチウム濃度の分析値が通常値より高い傾向を示していたため、4月中旬からトリチウム放出源の調査を行なったところ、アニュラス部(原子炉格納容器と外周コンクリート壁との間の密閉空間)のヘリウム循環系配管でトリチウム濃度が格納容器のトリチウム濃度の通常値より高いことが確認されたため、5月23日に原子炉を手動停止していた。
核燃料サイクル開発機構からの報告書では、今回のトラブルは、ふげん発電所のヘリウム循環系配管の一部に高濃度塩素を含有する重水が溜まり、この重水中の塩素分が濃縮した結果、ヘリウム循環系配管に粒内応力腐食割れが発生、トリチウムが漏えいしたことが原因であると推定しており、対策としては、ヘリウム循環系配管のうち、塩化物による応力腐食割れの発生する可能性のある部分を応力腐食割れに対する耐性に優れた材料に取り替え、さらに塩素濃縮の可能性を低減させるため、配管ヒーター・保温材を撤去するとともに、凝縮した水を確実に排出するドレンラインを新たに設けることとしている。また、これらの対策に加え、配管内面が乾燥する可能性のある範囲についての定期的な超音波探傷試験も実施する予定。【原子力安全・保安院】