一般財団法人環境イノベーション情報機構
ふげん発電所、手動停止の原因と対策についての報告書を提出
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2001.11.05 【情報源】原子力安全・保安院/2001.11.02 発表
平成13年11月2日、核燃料サイクル開発機構から原子力安全・保安院に対し、5月に手動停止した新型転換炉ふげん発電所の原因と対策についての報告書の提出が行われた。ふげん発電所は、平成13年1月下旬以降、主排気筒トリチウム濃度の分析値が通常値より高い傾向を示しており、4月中旬よりトリチウム放出源の調査を行なったところ、アニュラス部(原子炉格納容器と外周コンクリート壁との間の密閉空間)のヘリウム循環系配管でトリチウム濃度が格納容器のトリチウム濃度の通常値より高いことが確認されたため、5月23日に原子炉を手動停止していた。
今回の報告書によると、調査の結果、ヘリウム循環系配管の一部に、ドレンラインから逆流した高濃度塩素を含有する重水が溜まった状態が継続していたことがわかった。報告書では、この重水に含まれていた塩素分が濃縮した結果、ヘリウム循環系配管に粒内応力腐食割れが発生し、トリチウムが漏えいしたと推定している。
なお、核燃料サイクル開発機構では、この調査結果をもとに、ヘリウム循環系配管のうち、塩化物による応力腐食割れが発生する可能性のある部分を、耐応力腐食割れに優れた材料に取り替えるとともに、塩素濃縮の可能性を低減させるため、配管ヒーターを撤去するなどの対策をとった。【原子力安全・保安院】