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環境ニュース[国内]

保安院、北陸電力・志賀1号機の臨界事故への対応方針を公表

エネルギー 原子力】 【掲載日】2007.04.23 【情報源】原子力安全・保安院/2007.04.20 発表

 志賀原発1号機の原子炉で臨界事故(注1)が発生していた件に関連し、原子力安全・保安院は平成19年4月20日、北陸電力(株)から提出された原因と再発防止対策を踏まえた今後の対応方針を公表した。
 志賀1号機は、11年4月29日から7月23日まで行われていた第5回定期検査のための停止期間中に、作業ミスにより制御棒3本が想定外に引き抜け、原子炉が臨界状態になる事故が発生。この事故では、原子炉自動停止信号が発信されたにもかかわらず、約15分間制御棒が全挿入されず、緊急停止されなかったという事態も起こっていたが、北陸電力はこの件について必要な記録を残すことなく、国や自治体にも報告していなかった。
 北陸電力が保安院に提出した原因と再発防止対策に関する報告書には、事故隠しの根本原因として、当時の経営計画の最重要課題だった志賀2号機建設の工程遵守を最優先させる意識が働いたこと、意思決定ルールが不明確だったこと、「言いたいことを言えない」組織風土があったこと−−などの要因があげられており、これらに対する再発防止対策として、「安全文化の構築」や「隠さない企業風土づくり」など21項目の対策と、安全対策総点検の実施などが示されていた。
 保安院は今回、北陸電力に対して、安全対策総点検の確実な実施と再発防止対策の具体化を求めるとともに、全電力会社の総点検結果に対応して別途とりまとめた報告書「発電設備の総点検に関する評価と今後の対応について」に基づき、行政処分などの対応を保安院が厳格に実施することを示している。
 また、原子炉メーカーに対しても、原子力安全に関わる情報の公開、発生した事象への十分な対応を要請したほか、志賀1号機以外にも9件の制御棒引き抜け事象が明らかになったことを踏まえ、原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」による情報共有も強化するとしている。【原子力安全・保安院】

(注1)核分裂性物質が予期しない原因によって制御不可の状態で臨界(中性子の生成と消失の均衡が保たれている状態)を超えてしまう事故。中性子の生成が更に増え、臨界超過の状態に対する抑止機構が、引き続き働かない場合には、放射線・熱の急激な放出により機器・人体に損傷などをもたらす危険性がある。
(注2)北陸電力・志賀1号機の事故のほか、東京電力・福島第一3号機(昭和53年)、同5号機(昭和54年)、同2号機(昭和55年)、東北電力・女川1号機(昭和63年)、中部電力・浜岡3号機(平成3年)、東京電力・福島第二3号機(平成5年)、同柏崎刈羽6号機(平成8年)、同福島第一4号機(平成10年)、柏崎刈羽1号機(平成12年)で制御棒引き抜け事故が起こっていたことが今回あきらかになった。このうち福島第一3号機の事例でも臨界が発生していた。
(注3)有限責任中間法人日本原子力技術協会が運営するインターネット・ホームページで、原子力施設の事故故障等の情報、信頼性に関する情報を掲載している。

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