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環境ニュース[国内]

志賀1号機の臨界事故隠ぺい 北陸電力が抜本的再発防止策を保安院に提出

エネルギー 原子力】 【掲載日】2007.04.10 【情報源】原子力安全・保安院/2007.04.06 発表

 平成11年6月の定期検査期間中に、志賀原発1号機の原子炉で臨界事故(注1)が発生していた件に関連し、北陸電力(株)は19年4月6日、根本的な原因を踏まえた抜本的な再発防止対策に関する報告を経済産業省に提出した。
 志賀原発1号機は、11年4月29日から7月23日まで行われていた第5回定期検査のための停止期間中に、制御棒3本が想定外に引き抜け、原子炉が臨界状態になる事故が発生。この事故では、原子炉自動停止信号が発信されたにもかかわらず、約15分間制御棒が全挿入されず、緊急停止されなかったという事態も起こっていたが、北陸電力はこの件について必要な記録を残すことなく、国や自治体にも報告していなかった。
 今回の報告書は、原子力安全・保安院の要請に応じ、北陸電力が19年3月30日に提出した、「事実関係と根本的な原因究明」、「早急に実施することができる技術的再発防止対策の策定」に関する報告に続くもの。
 事故隠しの根本原因として、(1)経営層が事故隠しを防げなかったこと、(2)当時の経営計画の最重要課題だった志賀2号機建設の工程遵守を最優先させる意識が働いたこと、(3)未経験の事故への対応の困難さから逃避しようとしたこと、(4)発電所関係者のみで意思決定を行ったこと、(5)意思決定ルールが不明確で、関係者の当事者意識が低かったこと、(6)当時、「言いたいことを言えない」、「言っても無視される」ような組織風土があったこと−−をあげ、これらの原因に対する再発防止対策として、(一)対外通報・報告体制の整備など、隠さない仕組みの構築、(二)企業倫理の最重視をめざした意識改革、(三)「安全最優先」に関する経営トップからの強力な意志表明、(四)原子力本部の石川県への移転、地域と一体となった事業運営、(五)発電所内の組織強化など、原子力を支える体制づくり、(六)社長直属の「品質管理部」設置など、安全・品質管理の強化−−を示している。
 なお、経済産業省は、今回の報告と3月30日に提出された報告、臨界事故が起こった際に現場で保守点検を行っていた(株)日立製作所と、別件の制御棒引き抜け事故の際に保守点検を実施していた(株)東芝からの報告−−の内容を精査した上で、この臨海事故への同省としての評価と対応をとりまとめる方針。【原子力安全・保安院】

(注1)核分裂性物質が予期しない原因によって制御不可の状態で臨界(中性子の生成と消失の均衡が保たれている状態)を超えてしまう事故。中性子の生成が更に増え、臨界超過の状態に対する抑止機構が、引き続き働かない場合には、放射線・熱の急激な放出により機器・人体に損傷などをもたらす危険性がある。

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