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志賀1号機の臨界事故隠ぺい 北陸電力が原因究明と技術的再発防止策に関する報告を経産大臣に提出

エネルギー 原子力】 【掲載日】2007.04.04 【情報源】原子力安全・保安院/2007.03.30 発表

 平成11年6月の定期検査期間中に、志賀原発1号機の原子炉で臨界事故(注1)が発生していた件に関連し、北陸電力(株)は19年3月30日、「事実関係と根本的な原因究明」、「早急に実施することができる技術的再発防止対策の策定」に関する報告を経済産業大臣に提出した。
 志賀原発1号機は、11年4月29日から7月23日まで行われていた第5回定期検査のための停止期間中に、制御棒3本が想定外に引き抜け、原子炉が臨界状態になる事故が発生。この事故では、原子炉自動停止信号が発信されたにもかかわらず、約15分間制御棒が全挿入されず、緊急停止が行われなかったという事態も起こっていたが、北陸電力はこの件について必要な記録を残すことなく、国や自治体にも報告していなかった。
 今回の報告書は、事故の直接的な原因を、定期検査中に実施していた試験に際し、関係者の連携・打ち合わせが不十分で、制御棒駆動系の流量調節弁の操作ミスが起こったためと説明。また、事故隠しは当時の経営計画の最重要課題である志賀2号機の建設着工を2か月後に控え、工程遵守を何よりも優先するあまり発生したとしている。
 直接的な原因に対してはすでに改善策が実施されたことが報告されているほか、臨界事故再発防止を更に確実にするための技術的再発防止策として、(1)操作手順の改善、(2)運用管理面の改善、(3)設備対策−−が改めて示されている。ただし、原子力安全・保安院から一緒に報告するよう要請されていた、企業風土の改革を含む抜本的な再発防止対策に対しては、19年4月13日までに改めて報告するとした。
 なお報告書の提出を受けた経済産業省は、報告の内容を精査するとしている。精査にあたっては、別途提出される見込みの(株)日立製作所と(株)東芝(注2)からの報告内容、北陸電力の抜本的な再発防止対策の内容も含め、同省としての評価と対応をとりまとめる方針。【原子力安全・保安院】

(注1)核分裂性物質が予期しない原因によって制御不可の状態で臨界(中性子の生成と消失の均衡が保たれている状態)を超えてしまう事故。中性子の生成が更に増え、臨界超過の状態に対する抑止機構が、引き続き働かない場合には、放射線・熱の急激な放出により機器・人体に損傷などをもたらす危険性がある。
(注2)日立製作所は志賀原発で臨界事故が起こった際に現場で保守点検を行っていたため、事故の事実関係について19年4月6日までに報告するよう別途、経済産業省から指示を受けている。また志賀原発と同様の制御棒引き抜けが起こった別件の保守点検を実施していた東芝に対しても、それらの事実関係を19年4月6日までに報告するよう協力が要請された。

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