一般財団法人環境イノベーション情報機構
テロ契機に原発の安全性レビューを実施 9月の米国原子力事情
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2001.10.17 【情報源】外務省/2001.10.17 発表
外務省は最近の米国の原子力事情について、9月分米国紙の報道をもとにとりまとめ、公表した。今回紹介されているのは(1)冷戦後、米・ロが取組んだ「核不拡散計画」の成果、(2)米国内原子力発電所での安全性レビュー実施−−という2つの話題。
(1)の「核不拡散計画」は冷戦崩壊後の1990年代初頭に、米・ロ両国で開始された取組みで、ロシアからの核兵器、核物質、原子力科学者の国外流失を阻止するため、50億ドル以上資金を投入し、ロシアの科学者・技術者の民生部門への再雇用や、高濃縮ウランの原子炉用燃料への転換などを行った。
しかし米国の連邦政府筋によると、一部の取組みは成功したものの、米・ロの30ほどの計画は、両国間の信頼喪失や協力体制の不備のために失敗してしている。また現在のブッシュ政権では、クリントン政権によって提案されたこの計画の効果を疑問視する声があり、この計画のための予算も100万ドル削減されたということである。(9月11日付ワシントン・ポストより)
また、(2)は2001年9月11日に発生した航空機による同時多発テロ事件の後に、テロリストが原子炉容器を襲撃・破壊した場合の放射能漏れなどを警戒して始まった取組みである。
米連邦政府当局者によれば、米国内の103の原子力発電所で安全性レビューが実施中とのことである。
なお原子力規制委員会(NRC)でも、原子力発電所への襲撃を想定した訓練を行う予定。NRCのメザーブ委員長は「この訓練によって改善されるべき問題点が明らかになると同時に、原子力発電所を襲撃しやすい攻撃目標と考えることは誤りだと分かるだろう」と述べている。(9月26日付ワシントン・
ポストより)【外務省】