一般財団法人環境イノベーション情報機構
06年11月の上空オゾン量、紫外線強度を公表 南極大陸の一部で引き続き40%以上オゾン全量減少
【地球環境 オゾン層】 【掲載日】2006.12.20 【情報源】気象庁/2006.12.20 発表
気象庁は2006年12月20日、札幌、つくば、那覇−−の国内3地点と南極・昭和基地で実施している上空オゾン量、地上に到達する有害紫外線強度についての06年11月の観測結果を発表した。06年11月の観測では、国内3地点の月平均オゾン全量(ある地点の上空のオゾン総量)は参照値である1971〜00年の月別平均値との比較で、つくば、那覇で多く、札幌で並だった。
那覇では11月の平均値として観測開始以来最も大きい258ミリアトムセンチメートル、つくばで観測開始以来の最小値タイ記録である296ミリアトムセンチメートルを記録したが、一方で昭和基地では、11月の平均値として観測開始以来の最小値タイ記録である192ミリアトムセンチメートルを記録した。
国内3地点の日積算紅斑紫外線量(注1)の月平均値は、参照値である観測開始(注2)〜05年の月別累年平均値と比べると、那覇で少なく、札幌、つくばは並。昭和基地では11月の平均値として観測開始以来最も大きい1平米あたり6.42kJを記録した。
国内全域の日最大UVインデックス(注3)の月平均値のデータでは、紫外線が中程度であることを示す3〜5の領域が紀伊半島から九州までの太平洋側、小笠原諸島、南西諸島で見られた。また北海道南部、東北北部と近畿西部から南西諸島にかけての地域で、参照値である1997〜05年のデータより10%以上UVインデックスの値が低くなった地域が見られた。
米国・航空宇宙局(NASA)のアースプローブ衛星のデータと気象庁の観測値から作成した全世界の月平均のオゾン全量分布について、参照値である1979年から1992年の月別平均値との偏差を解析した結果では、東シベリア、ベーリング海、南極大陸周辺で10%以上オゾン全量が減少した地域が見られ、特に東経10度から100度にかけての南極大陸では40%以上のオゾン全量減少が確認された地域があることが報告された。
一方で、北緯30度付近の地域については、ほぼ全域で参照値よりオゾン全量が増加していたとされている。
(注1)紫外線が人体へ及ぼす影響の度合を示す量。紫外線が人体に及ぼす影響は波長によって異なるため、280〜400ナノメートルの波長範囲について、波長ごとに波長別紫外線強度に人体への相対的影響度を掛け、積算して求める。
(注2)日積算紅斑紫外線量の観測開始は、札幌、那覇が91年、つくばが90年、昭和基地が93年。
(注3)紅斑紫外線量を日常使いやすい数値にしたもの。気象庁では上空のオゾン量データや、気象台やアメダスで観測された気象データなどを基に毎時の数値を推定している。【気象庁】