一般財団法人環境イノベーション情報機構
ドイツ連邦政府と電力会社首脳による脱原発合意書署名について背景を分析
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2001.09.06 【情報源】外務省/2001.09.06 発表
2001年6月11日に、ドイツ連邦政府と電力会社首脳が原子力コンセンサス合意書への最終署名を行ったことについて、外務省は、合意の背景や今後注目すべき点など同省としての情報の整理・分析を行った。コンセンサスの内容は(1)運転中の原子炉は、各原子炉の運転開始から32年間運転したと仮定しドイツのすべての原子力発電所をあわせた総残存発電量2,623TWh(約2.6兆kWh)まで発電できるが、それを過ぎたものについては停止する、(2)使用済み燃料の再処理は2005年7月で終了する、(3)使用済み燃料貯蔵施設事業者は、遅くとも5年以内に発電所サイト内か近傍に分散型使用済燃料貯蔵施設を設置する義務を負う、(4)原子力発電所の新設は行わない、(5)残存運転期間での原子力発電所の妨害なき運転及び使用済燃料の冷却・再処理、廃棄物の処理工程を保証する−−の5点。
ドイツでは1998年9月の総選挙により社会民主党と90年連合・緑の党の連立政権が発足しており、同政権が脱原子力政策をめざして、電力会社とコンセンサス協議を行なった結果、2000年6月に上記の内容が合意された。
外務省ではこの件について、(1)合意を具体化するための原子力法改正案について産業界とNGO双方が批判するなど法改正の難航が予想されること、(2)98年6月の欧州環境大臣会合で表明された、二酸化炭素排出21%削減というドイツ連邦政府の目標と脱原子力政策の両立のありかた、(3)使用済燃料最終処分の方向性、特に合意により探査が一時中止されたゴアレーベン放射性廃棄物処分場の今後の扱い−−などを今後注目すべき点としてあげている。【外務省】