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環境ニュース[海外]

生物多様性条約、『都市と生物多様性概況』を公表

自然環境 生物多様性】 【掲載日】2012.10.29 【情報源】その他/2012.10.15 発表

 生物多様性条約事務局は、都市化が生物多様性生態系に及ぼす影響を、初めて世界規模で分析した報告書『都市と生物多様性概況』を公表した。世界の都市化が現在のまま続けば、生物多様性生態系サービスを損ない、人間の健康や開発にも悪影響が及ぶという。
 報告書によると、2000年から2030年までの間に世界の都市面積は3倍に膨れ上がり、同時に都市に住む人口も倍増して49億人となると予想される。こうした都市化によって農地がつぶれ、水など自然資源への需要も高まるため、生態系への影響が懸念される。また都市化は生物多様性ホットスポットや沿岸域など脆弱な生態系に近い地域で特に急速に進んでいる。
 しかし、2030年までに都市化すると見込まれる土地の60%以上はこれから建設されることから、都市の設計や生活の仕方、自治体の政策によっては、生物多様性を損なわずに人々の生活の質を高める、低炭素で資源効率の高い都市の開発が可能だという。報告書では、都市計画の担当者や管理者等に、都市が持つ自然資産に配慮し、脆弱な生態系を支える都市開発を促している。
 報告書では、アジアやアフリカなど地域ごとの都市化傾向と、その生物多様性生態系への影響について詳細な分析を行い、自治体等の広範な成功事例も挙げている。都市が受ける生態系サービスの恩恵は大きく、市中の緑は大気の浄化やCO2吸収など重要なサービスを行っている。都市の樹冠率が10%増えれば周辺の気温は3〜4℃下がるとされ、空調に要するエネルギーも節約できる。樹木の近くでは、子どもの喘息やアレルギーが減るという報告もある。
 都市には多くの動植物種も生息しており、絶滅危惧種を含めた生物種の保護にも貢献できる。報告書は、「愛知ターゲット」を達成するうえで都市が果たす役割は大きいとしている。
 この報告書は、ストックホルムレジリアンスセンター(SRC)と「イクレイ−持続可能性をめざす自治体協議会」の協力のもとに、生物多様性条約事務局が作成した。世界の120人余りの科学者が協力したという。【生物多様性条約事務局】

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