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環境ニュース[海外]

UNEP 温暖化による熱帯地方の農業生産量ダウンを警告

地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2001.11.16 【情報源】国連/2001.11.08 発表

 UNEPは、温暖化により、熱帯地方の農業生産量は3分の一程度減少するとする研究結果を公表。収穫高の減少は、ちょうど世界の人口が爆発的に増え、食料を大量に確保しなくてはならない時期に重なるおそれがあると警告した。
 この研究成果は、フィリピンのマニラにある国際米調査研究所(the International Rice Research Institute ;IRRI)が、UNEPと協力して進めてきたもの。熱帯地域では、温度が1℃上昇すると、収穫高が10%減少することが明らかになったという。IPPC(The Intergovermental Panel on Climete Change :気候変動に関する政府間パネル)は、2100年までに熱帯地方の気温は3℃上昇すると推測している。
 気温の上昇は、シベリアやカナダといった地域では収穫高が増加する可能性があるが、アジアでは、この先50年で44%の人口増加が見込まれていることから、1000万人のアジアの子供達が食糧不足の為に生命を落とすことになると予測される。
 また、UNEPの協力組織である「GRID Arendal」は、コーヒー、紅茶のようなアフリカ地域の主要輸出作物も、温暖化により影響を受けるとしている。第一産業に頼る国にとって、このような事態は深刻である。たとえばケニアは年間6億7500万ドル(810億円)の輸出高を誇るが、うち5億1500万ドル(618億円)はコーヒーと紅茶によるものである。懸念されることは、温暖化による収穫高の減少に絶望した農民達が、山岳部のより低温地域に移住し、森林や野生生物、そして水源の水質・水量に悪影響が生じ、自然環境が一層悪化することである。
 このような調査結果を受け、UNEP事務局長Klans Toepher 氏は、「世界が温暖化ガスの排出を削減しない限り、多くの人が飢えや栄養失調に瀕することになる。また、主要輸出農作物への脅威は、貧困と環境の悪化という悪循環を引き起こすであろう」と警鐘を鳴らした。【UNEP】

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