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環境ニュース[海外]

COP6 決着つかず

地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2001.04.04 【情報源】国連/2000.11.25 発表

 2週間にわたる協議の末、COP6参加国は、京都議定書の具体的な実現方法について合意に至ることができず、来年5月にドイツのボンで開催される次の会合に交渉を持ち越すこととした。
 会議では、温室効果ガスを低コストで削減すべく、他国との排出取引やクリーン排出メカニズム、森林・農地等のCO2吸収源シンク)の最大限の活用を主張するアメリカ(日本、カナダ等も)と、自国内での温室効果ガス削減を重視し、条約・議定書の確実な遵守を求めるEUとが厳しく対立。フランスのシラク大統領が、スピーチの中で、世界最大の温室効果ガス排出国であるアメリカに対し「アメリカ人は1人当たり、フランス人の3倍の温室効果ガスを排出している・・・我々は温室効果ガスを効果的に削減するという希望を、まずは、アメリカに託している」と述べ、アメリカ上院議員団が反発する一幕もあった。
 2週目からは、閣僚級の協議もスタートし、アメリカ(日本、カナダも)は、森林等による吸収量を縮減する譲歩案を提示。当初、森林・農地でCO2を約3億トン吸収(=アメリカの総排出量の半分を吸収)できると目論んでいたアメリカだが、これを1億2500万トンにまで縮減するというものであった。しかし、EU側は、アメリカの提案では、1990年から2010年までの間に温室効果ガスを減らすどころか1〜2%増加することになると計算し、受け入れなかった。
 交渉が難航する中、11月23日夜には、プロンク議長が調停案を提示。調停案は、「シンク」について、既存の森林及び農地によるCO2吸収量を、各国の1990年レベルの排出量の3%までカウントすることを認め、アメリカ側に譲歩を促した。また、「排出取引」については無制限に実施できることとし、上限を設定すべきだというEU側に譲歩を求めた(ただし、先進国間で「各国はまずは国内行動によって削減目標を達成しなければならない」という宣言を行うことが提案されている)
 これを受け、イギリスのジョン・プレスコット副首相らが調整を進め、一旦は合意に近づいた雰囲気があった。しかし、フランスのVoynet環境大臣が調停案は「最大の排出者らが、削減目標を大幅に後退させる」可能性があると批判するなど意見が対立し、結果として合意に至らなかった。なお、コロラド州立大学のKevin Gurney氏が行った試算によると、調停案に従った場合、1990年から2010年までの先進国全体の温室効果ガス削減量は2%に止まるという(京都議定書の目標は5.2%)
 議長を務めたオランダのプロンク環境大臣は、「世論の期待が大変高まっている時期に、政治的リーダーらが合意できず、温室効果ガス削減のための指針を確定できなかったことは本当に残念だ」と述べたが、「成功を望む政治的な意志はまだ生きている」として次の会議に望みを託した。 【気候変動枠組条約事務局】

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