中国　環保総局が石油・化学事業を全面検査

【環境行政 その他(環境行政)】 【掲載日】2007.05.24 【情報源】中国／2006.02.09 発表

　2005年11月13日の松花江水汚染事故から2006年2月1日までの約2ヵ月半だけで、各種の環境汚染事故が45件報告された。国家環境保護総局の潘岳副局長は2月7日、環境事件多発の傾向を抑え、環境リスクを低減するために、即日、127の全国の河川や湖沼付近、人口密集地区、自然保護区周辺の環境影響の出やすい場所に立地した総額4500億の石油・化学プロジェクトに対して環境リスク検査を行うと発表した。河川付近の問題が深刻な11社には公開監督を実施し、三同時制度に違反した総額290億元の10件のプロジェクトには調査の上、処分を下す。
　第一に、全国127の河川や湖沼付近、人口密集地区、自然保護区周辺の環境影響の出やすい場所に立地した重点石油・化学プロジェクトに対して環境リスク検査・緊急対応体制調査行う。この127事業は25の省区市にわたり、事業総額は合計4500億元。そのうち河川や湖沼付近のものが87件、都市付近または人口密集地区のものが60件、上水水源取水口や自然保護区、重要漁業水域、希少水生生物生息地のものが37件である。
　第二に、環保総局は河川沿岸の河北省ケイ台鋼鉄有限責任公司など11の環境問題の深刻な企業に対して期限内改善や公開監督を実施することを決めた。期限内に改まらない場合は、生産停止による改善要求や罰金を課し、監察部と共同で3月1日施行の「環境保護違法行為処分暫定規定」に基づいて、関係者の処分を下し、その結果を公表する。
　第三に、総事業費290億元となる10件の「三同時制度」規定に違反した化学・交通プロジェクトを調査の上処分を下した。そのうち河南汝陽県富達金属有限公司の年産200トン酸化モリブデンなど4プロジェクトに期限内改善を要求し、期限内に改まらない場合は生産停止させる。広湛高速道路陽江〜茂名部分など6プロジェクトに期限内改善を要求し、期限内に改まらない場合は更なる処罰を行う。
　第四に、制度を活用して上流から環境リスクを予防する。[1]計画環境アセスを推進し、計画環境アセスを実施していない石油・化学工業地区、有毒有害物質が存在する工業地区の中にある事業の建設環境アセスの文書を受理しない。[2]新規の石油・化学工業と有毒有害物質が存在するプロジェクトでは環境リスク評価を行い、その結論を建設事業環境アセス認可の主要な根拠とする。評価内容が不完全または重大な環境リスクを抱える事業については、認可しない。[3]建設事業環境「三同時制度」検収の際に、環境リスク対応策や事故防止措置が実施されていない場合は検収を行わない。[4]調査により重大な環境リスクが発見された石油・化学工業地区・プロジェクトは、環境リスクフォロー評価を実施する。[5]市民参加管理弁法を整備し、環境情報公開制度を整え、近く中国市民環境民生指数を公表し、社会全体の環境リスク意識を啓発する。
　そのほか、電力、鉄鋼、石炭は今回の検査からは外れているが、今後、事業審査を一層厳しくしていく。【中国環境報】