No.013
Issued: 2013.01.11
国立公園の名称
- 田部井 淳子(たべい じゅんこ)さん
- 登山家。
1975年、世界最高峰エベレストに登頂(女性世界初)。
1992年、女性世界初の七大陸最高峰登頂者となる。
現在までに60か国の最高峰に登頂。山岳環境保護団体NPO法人日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト(HAT-J)所属。
2012年11月、数十年ぶりに瑞牆山(みずがきやま)に登ってきました。若いときは電車とバスを利用しての日帰りでしたが、70歳過ぎてからは山登りも近くの所で前泊、山によっては麓で後泊と、ゆっくりの計画になっています。今回の瑞牆山も増富温泉に二泊してのゆるゆる計画でのんびり近くの紅葉を楽しみました。
大学生だった半世紀前も来たことがありましたが、その時「秩父多摩国立公園」という看板があり、びっくりしたのを覚えています。
「えっ、ここって秩父なの? 多摩なの?」という驚きでした。そのころは国立公園ということより山の名称でしか地名を見ていなかったからだと思います。
その後、数十年が過ぎ、環境省の中央環境審議会の委員を仰せつかった頃、「秩父多摩国立公園」の名称に甲斐を追加してほしいという要望が山梨県から出されたのを思い出します。国立公園の中の面積では山梨県が占めている面積が非常に多いし、山梨県も入っていることを知らせたいという意図からだったように思います。
「秩父(埼玉)、多摩(東京)、甲斐(山梨)」と長野を加えた1都3県にわたる広大な面積の国立公園といわれても、その中にどの山が入っているのかと答えるのはむずかしいものです。
「磐梯朝日国立公園」の中にある磐梯山の登山に参加した「健康山歩き講座」の生徒さんから「朝日ってなんですか?」と聞かれたことがありました。まだ朝日連峰を知らない初心者の方ということもありましたが、確かにわかりにくいと思います。
尾瀬が「日光尾瀬国立公園」から独立して「尾瀬国立公園」となったのは本当に良かったです。
今の日本の国立公園の名称は山の初心者にはなじみが薄いので、北アルプスが「中部山岳国立公園」と知っている人は少ないかも知れません。
もう少し地域を区切って国立公園を増やし、自分が登っている山がどの国立公園に入っているかわかるようにしたらどうだろうかと、瑞牆山に登りながら考えました。
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記事・写真:田部井淳子
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