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H教授の環境行政時評環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。

No.020

Issued: 2004.09.02

第20講 喧騒の夏

目次
オリンピックとショービニズム
原発事故起きる!
打ち水考
「成長の限界」の限界 ―石油は化石燃料か?
温泉と国立公園
ごみ処理施設補助金廃止?
バブル崩壊再論

オリンピックとショービニズム

Aさんセンセイ、オリンピック、すごいですよ。日本はメダルラッシュ!

H教授お、燃えてるねえ。酷暑は終わったと思ったけど、こんどはキミが熱くなってるじゃないか。でも、今年は高校野球が可哀相だったね、オリンピックのおかげですっかり霞んじゃった。


Aさんえ? センセイはオリンピック、燃えてないんですか? マサカ、テレビを見てないんじゃないでしょうねえ!

H教授そこまでへそ曲がりじゃないよ。しっかり楽しんでるし、それなりに日本を応援しているよ。でも、ぼくはみんなが燃えるときは醒めてしまうたちなんだ。

Aさん(小さく)ほんと、いやなタイプだ。


H教授昔むかし、テレビが出だしたころ、日本でもプロレスが大流行して、プロレス中継の時間は電機屋のテレビのまえは黒山の人だかり。外国人レスラーが、われらが日本人の星―実際には朝鮮人だったんだけど― 力道山に非道残虐の限りを尽くすけど、耐えに耐え抜くんだ。そして最後、ついに怒った力道山の伝家の宝刀・カラテチョップが一閃し、逆転勝利を収めるというストーリーに、大人も子どももみな狂喜してた。

Aさんセンセイは?

H教授仲間はずれは嫌だから、みんなと電機屋のまえで一緒にみたさ。
でもねえ、カラテチョップってのは反則でもなんでもないんだぜ。だったら最初から出しゃいいじゃないかと、シラーとしてた。

Aさん(小さく)センセイって昔からイヤなタイプのマセガキだったんだ。
で、オリンピックで燃えてるワタシたちを見て、なにを考えていたんですか。

H教授ショービニズムの危険だ。

Aさんなんですか、ショービニズムって?

H教授排外的愛国主義。戦争で戦火を開くときは民衆は熱狂するらしいねえ。日本でも開戦時はほとんどの民衆は鬼畜米英と叫んだらしい。最近では9.11の同時多発テロ後のアメリカがそうだった。
サッカーのアジア予選のとき、あれに通じるような不気味なものをちょっと感じた。
ま、オリンピック本番ではそれほど感じなかったからよかったけど、やっぱりアナウンサーの絶叫にはちょっとうんざりするなあ。


Aさんだって自国を応援するのは当然じゃないですか。今やっている高校野球だって自分の出身県を応援するでしょう。

H教授そういう愛郷心や愛国心は否定はしないよ。ぼく自身は不思議なほど希薄だけどね。
でも、相手のミスを拍手喝采したり、相手チームを罵倒したり憎んだりするようになるとそれは行き過ぎだ。
スポーツは国際親善に寄与することもあるけど、逆にショービニズムに犯される危険もあるってことを自覚しておいた方がいい。基本的にオリンピックはすぐれた個人と個人、チームとチームが競い合うもので、国威発揚のためじゃないし、国家の威信を背負うものでもないんだ。

Aさんそりゃそうでしょうけど(不満そう)。

H教授ま、昔のプロレスと、今のK1とかPRIDEといった格闘技の観衆の反応を比較してみるとその心配はなさそうだけどね。


Aさんセンセイ、いったいなにが言いたいんですか。

H教授要は、「われわれ国民は」とか「われわれ県民は」とか安易に使わない方がいい。国民も県民も十人十色なんだから。そしてその方がある意味では健全なんだ。
でね、国民とか県民とかが十人十色でなくなるときというのが、さっき言ったショービニズムに犯されたときで、その端緒はスポーツにもあるんではないかということだ。たかがスポーツ、されどスポーツというわけだね。

Aさんふうん、なんだかよくわかんないなあ。でもワタシ、そりゃあ日本を熱狂的に応援したけど、でも大丈夫、抱かれたいのはヨン様!

H教授なんだ、それは?

Aさんえー、「冬のソナタ」しらないんですか?

H教授お、渋いじゃないか。ベルイマンだろう(註:「秋のソナタ」と勘違いしている?)。
そうか、キミも映画ファンだったのか。マイケル・ムーアの「華氏911」はもう見たか?

Aさんもうヤダ! センセイと話していると、アタマが痛くなってくる。


原発事故起きる!

Aさんところで、とうとう原発が事故を起こしましたよ! 「通常は限りなく安全」(第18講)なんじゃなかったんですか!

H教授そのあと「絶対ってものはないからなあ」と断ってるよ。
でも驚いた。事故を起こした二次系配管の部分ってのは原発特有のものじゃなく、火力発電所にもあって、歴史も長いから、技術的にはしっかり確立したものだと思ってたんだけど、とんでもなかったよね。


Aさん放射線漏れはなかったんですよね。

H教授うん、タービンに高温高圧の蒸気を送り込む二次系配管だったからね。
でも、あの事故で破裂した破片が隣の建物の一次系配管や原子炉を直撃していたら...と思うとぞっとした。もしそうなってたら、ご自慢の多重防護がきちんと機能したかどうか...。

Aさん犠牲になられた方々は全員関電の社員じゃないそうですね。


H教授うん、日本の社会は大企業と零細企業、本工と下請・孫請労働者の二重構造で成り立っているなんていうことが、昔よく言われていた。後者の犠牲のうえに前者の繁栄が成り立っているってね。
でも経済成長の結果、国民の間に中流意識が広く浸透し、あまりそういうことは言われなくなったんだ。でも、やっぱりその構図は変わってないことがよくわかった。アウトソーシングなんてカッコいいカタカナで誤魔化しているけど、本質的には同じだもんなあ。

Aさん事故後の対応もひどいものでしたよねえ。関連会社と責任の押し付け合いで。
エネルギーや環境行政にもこの影響はあるんでしょうか?

H教授もちろんだよ。エネルギー行政で言えば、核燃料サイクル論議にも影を落としてくるだろう。プルサーマルの導入も遅延しそうだ。
環境行政にも深刻な問題が出てくる。関電の原発は逐次停止させて検査するそうだし、ほかの電力会社だってあわてて検査するところも出てくるかもしれない。
それは当然だけど、異常猛暑でエアコンはつけっぱなしになるわ、さっき話題に出たオリンピックと高校野球もあるからテレビの電力使用も増えるわ、で、そうした電力需要に対応するため火力発電をフル稼働させなきゃならないだろう。
今夏はまちがいなくCO2の排出量は昨年を大幅に上回ったんじゃないかな。これで京都議定書の国際公約の遵守は絶望的だね。

Aさんどうすればいいんですか。

H教授温暖化対策税だけじゃなく、前講では半ば冗談だったけど、化石燃料の輸入制限も考える時期にきているのかもしれないぜ。

Aさんそんなことすれば電気代もガソリン代も大幅アップまちがいなしですよ!

H教授そうなればデフレ対策にもなるし、ライフスタイルも変わらざるをえなくなるじゃないか。省エネ競争や自然エネルギーの開発も活発になるだろうし。

Aさんだって...。


打ち水考

H教授ライフスタイルといえば、キミ、最近一所懸命打ち水をしているらしいじゃないか。

Aさんええ、そうすると気化熱を奪って周辺の気温が2℃くらい下がるらしいですし、実際ちょっとヒヤッとします。これって昔の人の知恵ですね。

H教授環境省も盛んに薦めているし、大阪では行政主導でちょっとしたブームみたいになっているらしい【1】

Aさんいいことじゃないですか。これもライフスタイルの見直しですよ(鼻高々)。

H教授キミが打ち水するその水は?

Aさんえ? もちろん水道の水ですよ。


H教授処理水だとか、冷えてしまった風呂の残り湯だとか、川の水を汲み上げて打ち水するのは大賛成だけど、水道水ってのはちょっとひっかかるなあ。
まあ、LCA【2】したわけじゃないから断定的なことはいえないけど、自然を破壊してダムを作り、高いカネをかけて浄水処理したものをもったいないじゃないか。
水をかけるわけじゃないけどさ(笑―本人のみ)

Aさんもう、センセイの意地悪!

H教授(小さく)「水をかける」って洒落がわかんなかったか。
(気を取り直して)打ち水もいいけど、なによりもエネルギーの抑制が本線だということを忘れちゃいけない。そして、気候緩和のためには緑地だとか水環境の確保・拡大をやらなきゃいけないんだ。
昔、「君の名は」っていうラジオドラマがあった。今でいえば冬ソナみたいなものだけど...。

Aさんなんだ、冬ソナ知ってたんですか。

H教授あたりまえじゃないか。ボクの若いころってちょっとヨン様に似てたんだぜ。

Aさんヨン様への冒涜だ!

H教授ええい、また脱線だ。
そのドラマの舞台が数寄屋橋。でもその数寄屋橋は今は影も形もない。高度成長の初期、都心の汚濁小河川の暗渠化を進めたからだ。臭いものに蓋をしろの発想だね。だから開放水面が減少し、都市環境の悪化を招いたんだ。
本来なら水質改善を進め、きれいな河川を取り戻し、潤いのある都市環境の形成を目指すべきだったんだ。今となっては取り返しがつかないことだけどね。


「成長の限界」の限界 ―石油は化石燃料か?

Aさんはいはい、そりゃワタシだって、ヒートアイランド対策の本命は水と緑の都市づくり、さらにはこれ以上の都市化の抑制で、温暖化対策の本線は化石燃料の使用抑制だってことくらいわかってます。
それに化石燃料はなんといっても限りある貴重な資源ですもんね。でも、ローマクラブの「成長の限界」(1972)では石油はあと21年しか持たないって書いてあったけど、ぜんぜん違うじゃないですか。


H教授石油だけじゃないさ。あとのエネルギー資源も金属資源も予測は全部外れている。

Aさんどうしてですか?

H教授あと何年というのは、その時点で技術的、コスト的に採掘可能な資源の埋蔵量―それを可採埋蔵量というんだけど― をその時点での年間生産量で割って出したんだけど、基本的には採掘技術の発達と資源価値の上昇により可採埋蔵量はどんどん増えるんだ。
最新のデータじゃあと43年ということになっているらしいが、これも怪しい。

Aさんじゃ、可採埋蔵量じゃなく、絶対埋蔵量を用いればいいじゃないですか。


H教授たとえば鉄を考えてみよう。地球のマントルや核のかなりの部分は鉄。それを年間生産量で割れば事実上永久に枯渇しないという結論になる。

Aさんそれは極端でしょう。マントルや核から採掘できるわけじゃないですか。

H教授じゃ、金を考えてみよう。普通の岩石1トンあたり金は平均1グラムつまり1ppm含まれている。海水にも金は溶けている。だから金という資源も枯渇することがない。

Aさんなんかおかしいなあ。

H教授だから採掘技術の発達と資源価値の上昇をどう見積もるかによって、あと何十年、何百年持つかというのは変わってくる。そしてその見積もりはとてもむつかしいんだ。
どんなに採掘技術が発達し、資源価値が上昇したとしても、マントルから鉄を採掘することはないと思うし、ただの岩石や海水から金を採取するというのはありえないと思うけどね。

Aさんということは常識的にいえば石油はじめいろんな地下資源はいつかは枯渇するんでしょう。

H教授ま、ふつうはそう考えるよね。

Aさんちがうという人もいるんですか。


H教授石油について言えば、もともと化石燃料ではなく、地球の構成部分のひとつで、マントルや地殻深部から沁みだしているものだという説を唱える人もいる。石油だけじゃない、天然ガスもそうだし、無煙炭という上質の石炭までそうだというんだが、ここまでくると眉にツバを塗りたくなる。

Aさんホントなんですか?

H教授いわゆる化石燃料の大半がじつは非化石燃料だという説にはほとんどの学者は否定的だけど、石油の一部はそういう出来方があっても、おかしくないと考えている人はいるようだよ。
ま、いずれにせよ科学的真理は多数決で決めるもんじゃないし、まったくのトンデモ学説と決め付けることはできないようだ。
ただ、この説に立つと、石油資源枯渇説は土台からおかしくなってくる。

Aさんふうん

H教授それだけじゃない、成因の話は省くが、海洋底には「メタンハイドレード」【3】という水分子の結晶構造の中にメタンが閉じこめられたシャーベット状の未利用エネルギー資源が大量にある。いずれにせよ現在の技術ではメタンハイドレードを採掘して地上に持ってくるのに必要なエネルギーの方が、採取したメタンハイドレードのもつ潜在的エネルギーを圧倒的に上回っているから実用化の見通しはないんだけど、これだって技術の発達と資源価値の上昇しだいでどうなるかわからない。


Aさんじゃエネルギーの将来は心配ないということですか。

H教授第12講でも紹介したロンボルグ流にいえばそうなる。
ただ、もしそうだとしても─ボクはきわめて懐疑的だけど─ メタンハイドレードは炭化水素系のエネルギー資源だから、温室効果ガスを出すのには変わりはなく、百年単位のオーダーで考えれば温暖化や生態系にとって致命的な結果をもたらすと思うよ。

温泉と国立公園

Aさんセンセイ、ぼちぼち身近な環境行政時評に行きましょうよ。最近の話題は何ですか。

H教授ひとつは温泉の不当表示。長野の白骨温泉にはじまって、つぎからつぎに波及してきた。もともと温泉法【4】では、地中から湧き出る温度が25度以上か、硫黄やラドンなど特定の物質が一定量含まれていれば、お湯というほど温かくなくったって「温泉」と表示でき、再検温や再分析の義務もない。そもそもそれが問題だと思うけど。
ま、それは差し置いて、今まで環境行政の中で温泉行政というのは等閑視されてたけど、これからは忙しくなるだろうな。環境省も人手不足の中で大変だな。

Aさんえー、温泉って所管は環境省なんですか。

H教授もちろんだよ、温泉法という法律を所管している。ボクが現役のころは環境庁自然保護局のなかで温泉係ってのがあって、事務官がひとり配置されているだけだった。もっとも都道府県では環境部局ではなくて保健部局が対応しているところが多かったと思うけど。へえ、知らなかった。


Aさんへえ、知らなかった。

H教授温泉の所有権、利用権はどうなっているか、地下水と対比していっぺん調べてごらん。結構オモシロイと思うよ。
日本人はもともと温泉好きだけど、今は温泉ブームだ。ボクの住んでいるところでもクルマで30分以内のところに温泉が5つもできたよ。といってもどれも日帰りの公衆浴場だけど。
国立公園の利用者は年々減っているらしい。その原因としてパックで行く海外旅行の方が、自分たちで行く国内旅行よりかえって安価なこと、また職場の慰安旅行が廃れたことがあげられるけど、もうひとつ、身近なところにこういう施設が増えたということもあるんじゃないかな。

Aさんじゃ、日本の国立公園の将来はお先真っ暗ということですか。

H教授そんなことはない。日本では国立公園は、環境庁(当時)やレンジャーの思いとはうらはらに、マスツーリズムによる物見遊山の場として使われてきたけど、本来はもっと静かに自然と親しむ場なんだ。だから、こういう時代にこそ、自然を学び、自然から学ぶ国立公園本来の姿に戻ると前向きに捉えるべきだ。
温泉だってそうだ。ドンチャン騒ぎするんじゃなく、自然の中での癒しの場としなくっちゃいけない。

Aさんなるほど。
ほかには?

ごみ処理施設補助金廃止?

H教授そうそう、つい先日の新聞でみたばかりで、詳しくは調べてないけど、全国知事会【5】が3兆円の税源委譲を可能にするために、それに見合う廃止すべき補助金の案を政府に提言したそうだ。

Aさんいいことじゃないですか。センセイの年来の主張のひとつでしょう?


H教授そのなかに、なんとごみ処理施設整備の補助金1,100億円が入ってるんだ。とんでもないことだと思うよ。

Aさんセンセ、センセイ。そういうのを総論賛成、各論反対っていうんじゃないですか。よく批判してたくせに。

H教授どうせキミのことだからそういうだろうと思ったけど、それを承知の上で反対してるんだ!


Aさんだってごみ処理って典型的な基礎自治体本来の業務なんでしょう。たしか「固有事務」というんですよね。

H教授地方分権法ができて、今は「自治事務」というようになっている。
たしかにキミが言うように、法的には市町村の自治事務だ。だけど、それは昔の、ごみなんて量自体がたかがしれているし、その大半は放っておいても─ま、衛生上は問題あるけど─ 自然の循環のなかで分解してしまうものだった時代の名残なんだ。
でも今はちがう。量が増え、内容も多岐に渡り、自然の循環の中では到底処理できないものがいっぱいある。それを市町村にやってもらうためには補助金ぐらい出さなきゃ。
だいたい、市町村長会がいうんならまだしも、なんで知事会がいうか不思議だ。

Aさんま、それはともかくとして、ごみ処理施設って廃棄物処理法で補助するって書いてあるんですか。

H教授法定の補助金もあるけど、予算補助とか奨励補助とか言って法文上の根拠がないものがある。ごみ処理施設なんかもそうなんだ。
だけど、ごみ処理施設の補助金なんて、補助率は低くて、呼び水みたいなもんなんだけど、それでも国の補助金が付くからこそ、市町村の財政部局が渋々予算化してくれるところがいっぱいある。もし補助がなくなれば、老朽化した炉でもまだ使えるとかなんとかいって、予算化できなくなるところがたくさん出てくると思うよ。それでなくても、今でも開発優先の首長の自治体が多いんだから。

Aさんそういう首長を選んだのも住民でしょう。

H教授まったく、キミって言う奴は...。
老朽化した施設の労働者や周辺住民にツケがまわされるだけじゃないか!
ま、いい。でもそう言うんだったら、最低限EPR(拡大生産者責任)の原則化による市町村処理のごみの大幅減量が必要だ。

Aさんそれなりに進んでるんじゃないですか。メーカーによる二輪車のリサイクルルートもできたって新聞にありましたよ。


H教授廃家電もそうだけど、いずれも処理費はユーザーもちだ。

Aさんメーカー持ちにしたって価格に転嫁されるだけだから同じじゃないですか。

H教授それはちがうけど、ま、いい。でも、その昔はどんなポンコツのクルマでも売れたんだ。「処理費」なんて発想が出てくること自体おかしい。

Aさんえー、またとんでもないことを。

H教授リサイクル、リユースすることが個人にとっても社会にとっても得になるような仕組みにしなけりゃいけない。容器包装リサイクル法を作り、メーカーサイドも相当負担しているけど、結果的には市町村の負担の方が大きいって結果も出てる。
それだけカネをかけてリサイクルしているけど、それに見合うだけの環境負荷やエネルギーの消費が減ったかどうかは怪しいね。

Aさん(膨れっ面で)じゃ、どうすればいいんですか。

H教授たとえばバージン資源税をかけて、リサイクル財の方を安くするようにする。一方じゃ、リサイクル、リユース産業の優秀事業者には税の減免を行う。税収中立のもとで環境シフトしなくっちゃ。


Aさんでもリサイクル、リユースの方がかえってエネルギーを消費したり、環境負荷が多いことだってあるんじゃないですか。

H教授そういう製品を作ること自体を規制するか、作るときに目の玉の飛び出るような高い税金をかければいいんだ。

Aさんうーん、それも暴論のような...。
それに古紙にしてもペットボトルにしても最近は途上国に原料として輸出することが増えてきたから、だいぶ事情も好転したんじゃないですか。

H教授その話もテレビで見たけど、公害輸出だって騒がれなきゃいいけどね。自由意志による取引だからいいようなもんだけど、ある意味じゃツケを回しているような気がしないでもないなあ。

Aさんうーん、なんだかアタマがこんがらがってきた。ほかにはなんかありますか。

H教授そうそう、環境省若手の3Rプロジェクト(第11講)の報告書を入手した。なかなかの力作だけど、もう紙面―というかどうか知らないけど─ も残り少なくなった。次回に回そう。

Aさん(小さく)来月の話題が思いつかないから、取っておくつもりだわ。ホント、せこいんだから。


H教授コラコラ、聞こえたぞ。キミはそういう憎まれ口ばっかり叩いているから、石垣だって...。

Aさん(キッと睨みつけ)ワタシの性格が悪いからキャンセルされたといいたいんですか!

H教授(小さくなって)...いえ、なんでもありません。
うー、おっかない。クワバラクワバラ。

バブル崩壊再論

Aさんそんなことより、センセイ、前講で本庁時代はバブル崩壊前夜だって言ってましたよね。研究所に行ってからバブルが弾けたって。

H教授うん、それがなにか?

Aさんセンセイの履歴によると本庁から研究所に行ったのは'93年ですよ。バブル崩壊は'91年ですから、とっくにバブルは弾けてました。バブル崩壊はセンセイの定番話ですよ。ちょっと、というかすごくボケてきたんじゃないですか。

H教授え? そうだっけ? ま、いいじゃないか、キミだってしょっちゅう年齢詐称してるじゃないか。

Aさん誤魔化さないでください!

H教授わかった、わかった。要はバブル崩壊とは言っても大恐慌のときのブラックマンデーのような劇的なものじゃなくて、崩壊っていう実感がなかったということだ。だからバブル崩壊とかバブルが弾けたというマスコミの方が間違っている。急速に収縮したというべきだよね。

Aさんもうセンセイたら、ああ言えばこう言うし、ああせい、こうせいとうるさいし...。

H教授仕方ないよ。ああせい、厚生(こうせい)省出身なんだから。


注釈

【1】打ち水
打ち水大作戦
御堂筋打ち水大作戦
【2】LCA
ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment)のこと
EICネット環境用語集「LCA」
【3】メタンハイドレード
「燃える氷」と表現されるメタンハイドレード。
地下資源として存在し、石油・天然ガスなどに代わる次世代エネルギー資源として注目を集めている。
メタンハイドレード資源開発研究コンソーシアム
【4】温泉法
EICネット環境用語集「温泉法」
環境省自然環境局(「温泉の保護と利用」についての情報)
【5】全国知事会
全国知事会
「国庫補助負担金等に関する改革案」(8月24日)
→「移譲対象補助金」一覧(平成17年度及び18年度に廃止して税源移譲すべき国庫補助負担金)の1項目として、廃棄物処理施設整備費補助116,727百万円があがっている。
同概要

(8月21日執筆、同月末日編集了)