やんばる国立公園の概要
やんばる国立公園は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、琉球列島の形成過程を反映した島々の地史を背景にヤンバルクイナなど多種多様な固有動植物及び希少動植物が生息・生育し、石灰岩の海食崖やカルスト地形、マングローブ林など多様な自然環境を有しています。また、このような自然環境の中での日々の暮らしで育まれてきた伝統的なやんばるらしさが息づく文化景観も特長です。
やんばる国立公園では、このような亜熱帯の大自然を舞台に、景勝地めぐり、トレッキング、カヌー、アニマルウォッチング、ドライブなどのレジャーが盛んに行われており、訪れる公園利用者へ良質な自然とのふれあいの場・機会を提供しています。
沖縄県におでかけの際には、ぜひ、やんばる国立公園にも足を運んでいただきたいと思います。
比地大滝
慶佐次湾のヒルギ林
やんばるの動植物
やんばる地域にはヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ケナガネズミ、オキナワトゲネズミ、オキナワイシカワガエル、ヤンバルテナガコガネなどの固有種が生息しています。また、高標高地では雲霧林が発達し、着生性のシダ植物やオキナワセッコクなどのラン科植物が生育しています。
河川上流から中流の渓流沿いには、熱帯・亜熱帯に特徴的な渓流植物が分布し、さらにやんばる地域に固有な両生類の産卵・生息環境にもなっています。スダジイやオキナワウラジロガシなどの広葉樹は生長して大径化が進むと幹に空洞ができ、さらに年月を経ると樹洞ができます。ノグチゲラやケナガネズミ、ヤンバルテナガコガネ等はこれらの環境を利用し、大径木が多く生育する森林に依存しています。
ヤンバルクイナ
ヤンバルテナガコガネ
やんばるの文化
琉球王府時代から近年まで、やんばる地域は薪炭や都城の建材・船などの用材となる林産物の生産・供給の場として重要な役割を果たしてきました。昭和に入るまでは海上輸送が主流で、沖縄島中南部との間で「山原船(やんばるせん)」による交易が盛んに行われました。国頭地域から首里王府へ重い材木を多人数で運ぶ時の歌は、クンジャンサバクイ(国頭木遣音頭)として伝えられています。山で薪炭や琉球藍づくりなどの生業が営まれていた名残として、現在も各所に、炭窯や藍つぼの跡が残っています。
海と山に囲まれたやんばる地域の集落では、海と山を一体として捉え、一つの空間から自然の恵みを受けているという空間認識が見られます。それを特徴づけるのが祭祀で、集落の邪気を払い豊作・豊漁を祈願するシヌグや海神(ウンジャミ・ウンガミ)祭などは、これを象徴的に表しており集落の伝統として受け継がれています。
シヌグ
ウンジャミ