一般財団法人環境イノベーション情報機構

EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.239

Issued: 2015.02.06

「ESDに関するユネスコ世界会議」の成果と今後の展開について(環境省総合環境政策局環境教育推進室)

目次
ESDに関するユネスコ世界会議の成果
ESD国内実施計画の見直し
「国連ESDの10年」後の環境教育推進方策
国際的な潮流と連携

 日本がヨハネスブルグサミット(2002年)で提唱し、2005年から始まった「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」(以下「国連ESDの10年」)が、2014年に最終年を迎えて、同年11月には、「ESDに関するユネスコ世界会議」が岡山県岡山市と愛知県名古屋市で開催されました。あらためて”ESDとは何か”、“なぜESDなのか”を考えながら「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」(以下「ESDに関するユネスコ世界会議」)の成果等について報告いたします。

※ESD(Education for Sustainable Developmentの略)は、一人ひとりが世界の人々や将来世代、また、環境との関係性の中で生きていることを認識し、持続可能な社会の実現に向けて行動を変革するための教育のことを言います。


ESDに関するユネスコ世界会議の成果 ─「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」の正式な開始と「あいち・なごや宣言」の採択等─

 「ESDに関するユネスコ世界会議」は、岡山県岡山市でステークホルダーの主たる会合(以下「ステークホルダー会合」)が開催され、愛知県名古屋市で閣僚級会合及び全体の取りまとめ会合(以下「閣僚級会合」)が開催されました。ステークホルダー会合では、「ESDに関する地域の拠点(RCE)グローバル会議」(世界47カ国・地域、参加者総数272名)、「ユネスコスクール世界大会」等が開催され、それぞれ「2014年以降のRCEとESDに関する岡山宣言(RCE岡山宣言)」、「ユネスコスクール世界大会Student(高校生)フォーラム共同宣言」等が取りまとめられるなど、閣僚級会合に向けて、大きな盛り上がりをみせました。そして、閣僚級会合では、「国連ESDの10年」の後継プログラムである「GAP」が正式に開始され、ステークホルダー会合での宣言等を受け、「あいち・なごや宣言」が採択されるなどの成果により、今後もESDに取り組んで行くことが確認されました。


ESD国内実施計画の見直し ─取り組むべき分野と適切な役割分担─

 「ESDに関するユネスコ世界会議」において、「GAP」が開始され、引き続きESDを推進していくため、現在、国内においても「ESD実施計画」の見直しがなされており、その内容も「GAP」における5つの優先行動分野を中心に取組を推進する方向で検討されています。例えば、“ユース”の参画など、将来の持続可能な社会づくりを担う若者への教育・支援や、日本のESD推進の特徴とも言える“地域”を軸とした取組の継続・発展などについて、各ステークホルダーが協力し、それぞれの持ち味を活かすことができる計画づくりを目指しています。そのほか、普及啓発の充実、分野横断的な施策等の取組、評価・モニタリングとその結果のフィードバック、海外との連携などが見直しの論点となっています。

ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)

【5つの優先行動分野】

  • (a)政策的支援:ESDに関する政策的支援
  • (b)機関包括型アプローチ:キャンパスや施設の管理なども含め、機関全体でESDを実施
  • (c)教育者:ESDを実践する教育者の育成
  • (d)ユース:ESDへの若者の参加の支援
  • (e)地域コミュニティ:ESDへの地域コミュニティの参加の促進

「国連ESDの10年」後の環境教育推進方策 ─「人材の育成」、「教材・プログラムの開発・整備」、「連携・支援体制の整備」─

 「国連ESDの10年」の取組をふりかえり、環境省においては2015年以降も引き続きESDを推進していくために、北川前環境副大臣を座長に外部有識者の参画を得て、懇談会を開催してきました。懇談会では、ESDの実践において、「地域特性に応じた人材育成や教材・プログラム作成等を進め、その成果を他の地域でも活用出来るよう連携・ネットワーク体制を構築することが必要」との指摘などがあり、環境省では、この懇談会の結果を踏まえ、「人材の育成」、「教材・プログラムの開発・整備」、「連携・支援の整備」を柱としてESDの促進に取り組んでいくこととしています。特に、「国連ESDの10年」の結果として、地域に根付いてきた取組など、優れた取組を全国各地で推進していくために、様々な主体が参加した各地域をつなぐ全国的なネットワークとその支援体制の構築は必要であり、「ESDのこれから」に向けた取組であると考えています。

国際的な潮流と連携 ─環境省がESDと関わりをもつ国際的な潮流─

 前述にもある「GAP」は、「ESDに関するユネスコ世界会議」において公式に開始され、「GAPを実施するためのロードマップ」も公表されました。「GAPコミットメント」も公表され、環境省を含む、世界各国の約360団体がそれぞれのESDの取組について誓約を公表しました。また、現在「持続可能な開発目標(SDGs)」の策定が進められています。「ポスト2015アジェンダ」と統合して、2015年秋の採択に向け、国連で活発な議論が行われています。その他、「気候変動枠組条約」、「生物多様性条約」、「持続可能な生産と消費に関する10年計画枠組み」など様々な国際的な潮流があります。
 はじめのGAPはESDがメインテーマですが、その他は、持続可能な開発の要素をテーマにした潮流であり、その中に教育・ESDの要素が盛り込まれています。

 これらの国内外の潮流に乗って、環境省は国内外に向けて、これからもESDをますます推進して参ります。

(記事・写真:環境省総合環境政策局環境教育推進室)