一般財団法人環境イノベーション情報機構

EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.046

Issued: 2003.06.19

自転車で行こう!自転車利用の新しい取り組み

目次
三輪車タクシーで街を行く
自転車は京都観光の新しい足
通勤や買い物に使えるレンタサイクル
人力の三輪車タクシー「ベロタクシー」。京都市内(四条通、烏丸通、御池通、寺町通で囲まれたエリア)と東京都内(渋谷・原宿・表参道・青山・六本木など一部地域)で運行中

人力の三輪車タクシー「ベロタクシー」。京都市内(四条通、烏丸通、御池通、寺町通で囲まれたエリア)と東京都内(渋谷・原宿・表参道・青山・六本木など一部地域)で運行中

三輪車タクシーで街を行く

同じ道でもベロタクシーでゆっくりと進むと見える景色が違う

同じ道でもベロタクシーでゆっくりと進むと見える景色が違う

 「うわー、ありゃなんだ?」「ナーイス!」沿道の子どもたちや対向車を運転する外国人から歓声があがります。車道を走っているのは、人力の三輪車タクシー。全長約2メートルの車両には、前に1つ、後ろに2つの車輪。前方に座った運転手は足を前に投げ出すようにしてペダルをこぎます。客が乗る後部座席は2人がけ。時速約10キロでゆっくりと街を進んでいきます。
 「ベロタクシー」という名のこのタクシーは、昨年(2002年)4月から京都市内、同9月から東京都内のそれぞれ一部地域で営業を始めました。ベロタクシーを走らせているのは、NPO法人環境共生都市推進協会です。
 「ベロタクシーに乗ると、時間の流れかたがゆったりと感じる」と話すのは、同会事務局長の細尾友子さん。環境共生都市推進協会は、ヨーロッパで民間企業が運営しているベロタクシー(VELOTAXI)を日本に輸入。現在、京都市と東京都で計25台を走らせています。運賃は、東京都内の場合、初乗りは直線距離にして500メートルで300円。以降は100メートルにつき50円。同会では、運賃は運転手の人件費にあて、車両外装に企業の全面広告をのせ、会の運営費などは広告収入でまかなっています。
 利用者数は着実に増え、昨年10月からの3カ月だけで、利用者は1万人を超えました。観光や結婚式、イベント時の送迎での利用が多いほか、高齢者が買い物や通院に利用する例も増えているといいます。「ベロタクシーの導入がすぐに自動車利用量の減少につながるとは考えていない。むしろ、環境に関心を持ってもらうきっかけづくりとしての効果に期待している」と細尾さんは言います。


運転手は足を前に投げ出すようにしてペダルをこぐ

運転手は足を前に投げ出すようにしてペダルをこぐ


自転車は京都観光の新しい足

京の町屋を自転車で抜ける(写真提供:京都サイクリングツアープロジェクト)

京の町屋を自転車で抜ける(写真提供:京都サイクリングツアープロジェクト)

 駅でレンタサイクルを受け取り、市内を自転車で観光。帰る時に泊まったホテルに乗り捨て―。いま京都では、こんな新しい観光スタイルが注目されています。
 レンタサイクルの配達・回収を行っているのは、京都・サイクリング・ツアー・プロジェクト(KCTP)という任意団体です。2001年6月にレンタル事業を開始。マウンテンバイクなど90台を年間1万1000人に貸し出しました。今年(2003年)は台数を130台に増やして、受け入れ体制を強化しています。
 「京都観光には自転車が最適。環境負荷が少なく、健康にもいいと一石三鳥」(KCTP広報部)。同プロジェクトが自転車に目を付けた理由は、京都の交通事情と観光事情にあります。京都市内は一方通行の道が多く、車では回りにくい。車では行けない裏道にも隠れた名所が多くあります。「京都議定書が生まれた土地で、環境負荷の少ない自転車を普及させていきたい」(同)という思いもあります。
 KCTPは、市内3カ所に営業所を設置して自転車を貸し出しているほか、利用者が希望する場所まで指定の時間に自転車を配達するサービスも提供しています。レンタル料金は、車種により1日1000円〜3000円。配達・回収料金は500円。KCTPは、地元事情に精通したガイドによる自転車ツアーも行っています。


祇園界隈(写真提供:京都サイクリングツアープロジェクト)

祇園界隈(写真提供:京都サイクリングツアープロジェクト)


通勤や買い物に使えるレンタサイクル

 日常生活の中で自転車を利用する際には、いくつかの障害があります。たとえば、専用道がない、道路に段差がある、駐輪場がないなど。こうした障害をなくすためのハード・ソフト面の整備を進めている地域もあります。
 愛知県名古屋市や香川県高松市では、歩道を拡幅するなどして自転車専用道を設置。鹿児島県加世田市は、自転車利用促進のため、道路の段差をなくす工事を行っています。いずれも、自転車を利用しやすいまちづくりを促進する国土交通省の補助を得て実施しています。
 東京都足立区では、駐輪場「モビリティセンター」の設置を計画しています。駐輪スペースだけではなく、シャワー室や修理工房などを設置。レンタサイクルや自転車教室なども実施して、地域の核となる施設に育てたい考えです。
 すでに、通勤や買い物など、日常生活で利用するための地域密着型レンタサイクル事業を行っているところもあります。実施しているのは、NPO法人トライアル。昨年(2002年)、東京都板橋区内でICカードを利用したレンタサイクル事業を実験的に行いました。
 実験では、主要駅近くなど、区内3カ所にレンタサイクルステーションを設置。自動鍵管理装置により24時間利用できるようにしました。事前に登録した利用者は、ICカードで貸し出し手続きをします。カードを自転車のキーボックスにかざすと、鍵が抜き取れる仕組みです。利用後は、いずれかのステーションに自転車を返却します。実験の結果、利用者の約3割がマイカーの利用を自転車に切り替えていたことがわかりました。トライアルは、実験結果に基づき本格的な事業化を検討しています。

 環境負荷が少ない、小回りがきいて便利、健康にいいなどさまざまな側面から見直されている自転車。今後も、ハード・ソフト両面で自転車利用を促進する取り組みが進みそうです。


(記事・写真:土屋晴子)