一般財団法人環境イノベーション情報機構

EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.036

Issued: 2002.10.31

動き出したシックハウス対策法規制や業界の自主的取り組みが始まる

目次
2つの化学物質を使った建材を法律で使用制限・禁止
学校やホテルなどの施設には濃度測定を義務づけ
原因物質が製品に含まれる量を積極開示する企業も

2つの化学物質を使った建材を法律で使用制限・禁止

 ホルムアルデヒドを出すおそれがある建材は使用を制限。クロルピリホスを放散するおそれがある建材は、使用を禁止―。今年(2002年)7月に建築基準法が改正され、シックハウス症の二大要因とされるホルムアルデヒドとクロルピリホスという揮発性有機化合物(英語でVolatile Organic Compounds、以下VOC)を規制する対策が盛り込まれました。これまでも、厚生労働省がホルムアルデヒドやトルエンなど13の原因物質の室内濃度指針値を定めて衛生基準に適用していましたが、法律で使用が規制されるのは初めてです。
 ホルムアルデヒドは、合板や壁紙、フローリング材の接着剤などに使われる化学物質。厚生労働省が決めた室内濃度の指針を超えないよう、建材の使用量を制限します。一方、シロアリ駆除剤などに使われるクロルピリホスは、使う量がごく微量でも、厚生労働省の指針値を超える可能性が高いため、室内に放出するおそれのある建材への使用が禁止されました。
 シックハウスが社会問題化してきたことを受けて、国土交通省は、いよいよ原因物質を含む建材の使用規制に踏み切ったのです。改正法は、来年(2003年)7月までに施行される予定。国土交通省は、これら以外の化学物質についても、建材から室内空気中に放散されるしくみや、放散量と汚染濃度の関係が明らかになり次第、規制対象に加えていきたい考えです。


学校やホテルなどの施設には濃度測定を義務づけ

 学校やホテル、デパートなどの施設についても、対策を求める仕組みが整ってきました。
 文部科学省は、「学校環境衛生の基準」を改定し、ホルムアルデヒドやトルエンなど4物質の濃度を毎年1度検査することを学校に義務づけました。調査結果によっては、発生原因の解明や発生を抑える努力、換気の強化などが求められます。この基準は、今年4月から適用されています。
 厚生労働省は、学校やホテル、デパートの新築や大規模な改修時に、ホルムアルデヒド濃度の測定を義務づける方針です。違反した場合は、都道府県などが改善命令を出し、従わなければ建物の使用を中止する罰則も予定しています。


原因物質が製品に含まれる量を積極開示する企業も

 産業界でも、自主的な取り組みが広がっています。(社)住宅生産団体連合会は、室内空気汚染の自主基準である「住宅内の化学物質による室内空気質に関する指針」を昨年(2001年)3月に改正しました。現在入手できる建材を使用した上で、室内の汚染濃度を減らすためのガイドラインです。同指針の活用で、厚生労働省の指針値などを早期に達成することを目指しています。
 企業のなかには、シックハウス原因物質の含有量が少ない製品を採用したり、積極的に含有量などの情報を公開したりするところも出てきました。
 大手ゼネコン(総合建設会社)の鹿島は、「健康配慮ハウジング」というホームページを開設。壁紙や床材などの住宅部材について、メーカーや商品別にシックハウス原因物質の含有量などの情報を公開しています。社内で使用していたデータベースを顧客の要望にこたえて公開したものです。
 塗料メーカーの日本ペイントは、自社製品の環境負荷情報をホームページで公開しています。住宅などに使う建設用塗料について、VOC含有量を掲載。個別製品の情報だけでなく、上塗り用塗料と下塗り用塗料を重ねて使った場合のVOC量を、約250通り紹介しました。製品中のVOC量をここまで詳細に開示するのは業界初といいます。

 法律などの枠組み整備や業界の自主的な取り組みが進むことで、シックハウス問題は改善が期待できますが、安全な住宅や建材に対する消費者側からの要求や厳しいチェックも不可欠です。家を建てる際のシックハウス対策やチェックポイントを解説したホームページも登場しています。


(記事:土屋晴子)