一般財団法人環境イノベーション情報機構

EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.029

Issued: 2002.07.18

ヨハネスブルグサミットQ&A

目次
ヨハネスブルグサミットは何のために開催するの?
持続可能な発展のための過去10年間の取り組み結果は?
サミットではどんなことを決めるの?
民間の取り組みを促進するための施策は?
リオサミットとの関係は?
貧困問題が争点になっているようですが、環境のサミットではないの?
サミットは、南アフリカ共和国のヨハネスブルグで開催されます。

サミットは、南アフリカ共和国のヨハネスブルグで開催されます。

 6万人以上の参加が見込まれ、今年度最大の国際会議といわれる「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)」。8月26日から南アフリカ共和国・ヨハネスブルグで開催されるこの会議は、92年の「国連環境開発会議(リオサミット)」から10年目にあたる節目の会議となります。約1カ月後に開催が迫ったヨハネスブルグサミットについてQ&A形式でご紹介します。

ヨハネスブルグサミットは何のために開催するの?

 「持続可能な発展(開発)」【1】に向けた取り組み強化を各国政府が約束し、官民の具体的な行動を促進するためです。
 サミットでは、持続可能な発展のための過去10年間の取り組み結果を検証します。具体的には、リオサミットで策定された「アジェンダ21(持続可能な開発のための具体的行動計画)」【2】の実施状況を検証します。リオサミット以降の10年間に発生した新たな課題への対応について話し合います。これらの結果に基づき、各国代表が持続可能な発展に向けた取り組み強化を「政治声明」という形で約束します。
 サミットではまた、今後各国政府などが取り組むべき具体的事柄を「ヨハネスブルグ実施計画」として規定します。政府や企業、NGOがパートナーシップにより自主的に推進するプロジェクトも「約束文書」として公表します。


持続可能な発展のための過去10年間の取り組み結果は?

 「アジェンダ21の内容は素晴らしいが、実行面は不充分」―。国連のアナン事務総長は、アジェンダ21の実施状況を検証した報告書の中で、こう指摘しています。
 過去10年間の取り組みの中には、もちろん評価できる点も多くあります。たとえば、持続可能な発展という概念が広く知られるようになったこと。化学物質や気候変動、有害廃棄物などの交渉で進展もありました。
 しかし、持続可能な発展を実現するための道のりは、まだまだ遠いというのが現状です。アナン事務総長は報告書の中で、「地球環境はとても脆弱で、環境保全のための既存の施策はとても充分とはいえない」と述べています。


サミットではどんなことを決めるの?

 持続可能な発展を実現するために、今後各国政府などが取り組むべき事柄を「ヨハネスブルグ実施計画」に定めます。具体的には、「貧困撲滅」「持続可能でない生産・消費形態の変更」「天然資源の保全と管理」「グローバル化する世界における持続可能な開発」など10項目について、それぞれ実施すべき取り組みが規定される予定です。
 たとえば、「持続可能でない生産・消費形態の変更」については、5月段階の素案では、「資源の効率性を改善するための10年計画を策定する」「環境面や社会面での企業責任を向上させる」「公共事業への資金投資などの意思決定に持続可能性への配慮を取り入れる」など9項目が定められており、各項目についてさらに細かな複数の規定が設けられています。
 この実施計画で定められた取り組みが確実に実施されるよう、実施時期や進捗状況の確認方法なども定めることが期待されています。


民間の取り組みを促進するための施策は?

 実施計画のほかに、NGOや企業、地方自治体などがパートナーシップで進める自主的な取り組みを記載した「約束文書」も公表します。サミットの趣旨に合致している活動・団体が登録し、共同で活動を推進するパートナーを募集することができます。ただし、活動内容や活動範囲が国際的または地域的であること、明確な目的や期待できる成果、資金調達方法などがはっきりしていることなどいくつかの要件を満たしている必要があります。
 約束文書はサミットの正式文書として公表されますが、活動や進捗状況の管理などは、あくまでパートナー間で自主的に行います。政府の取り組みだけでは、持続可能な発展を実現することはできないため、ヨハネスブルグサミットではパートナーシップによる取り組みが盛りこまれることになりました。
 すでに、世界各国から多くのパートナーシップ事業への応募が寄せられています。日本政府も、「アジア太平洋環境技術戦略プロジェクト」などのパートナーシップ事業を登録しています。


リオサミットとの関係は?

 リオサミットでは、持続可能な発展に向けて各国が努力することが合意され、そのための長期行動計画・アジェンダ21が策定されました。ヨハネスブルグサミットでは、この概念と行動計画を具体的化するための方法を模索します。
 ヨハネスブルグ実施計画は、アジェンダ21に代わるものではなく、あくまでアジェンダ21に基づく取り組みを促進するために定められる計画です。


貧困問題が争点になっているようですが、環境のサミットではないの?

 サミットのテーマは、あくまで持続可能な発展です。持続可能な発展を実現するためには、環境保全や経済発展と並んで貧困問題の解決が不可欠です。そこで、ヨハネスブルグサミットでは、貧困問題もひとつのテーマとして取り上げられます。
 5月に開催された、ヨハネスブルグサミット最終準備会合では、実施計画の内容について多くの合意が成立しましたが、貿易問題や資金問題の一部については、先進国と途上国の対立により合意できませんでした。合意されなかった点は、サミットへ持ち越しとなっています。


【1】持続可能な発展(開発)
将来世代が苦労するほど資源を浪費したり生態系を壊したりしない程度の発展。地球の資源や生態系の許容量と社会経済活動のバランスがとれた発展を指す。
【2】アジェンダ21
持続可能な発展を実現するために、リオサミットで策定された行動計画。資源浪費の削減、貧困撲滅、大気・海洋・野生生物保護・持続可能な農業などについて2,500以上の具体的な行動が提案されている。

(記事:土屋晴子)