一般財団法人環境イノベーション情報機構

EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.026

Issued: 2002.06.06

カーシェアリング事業化の試み車を共同利用して環境負荷削減

目次
横浜市では企業20社が30台の電気自動車を共同利用
カーシェアリング向けシステムを提供する新会社
カーシェアリング専門のNPOも誕生
シーイーブイシェアリングは、神奈川県横浜市で、電気自動車を使ったカーシェアリングのモデル事業を展開

シーイーブイシェアリングは、神奈川県横浜市で、電気自動車を使ったカーシェアリングのモデル事業を展開

 車を持っていなくても、自家用車感覚で利用できる―。複数の個人や事業者が車を共同利用する「カーシェアリング」の特徴です。カーシェアリングは、自動車のむだな利用が減り、二酸化炭素排出量や大気汚染物質の削減につながると同時に、都市部の渋滞緩和や駐車場不足問題の解決にも貢献すると期待されています。欧米ではすでに普及しつつあるカーシェアリング。日本でも事業化の動きが出てきました。

横浜市では企業20社が30台の電気自動車を共同利用

電気自動車使用後には、使用距離・時間とあわせてガソリン車と比較した二酸化炭素排出抑制量が表示される。

電気自動車使用後には、使用距離・時間とあわせてガソリン車と比較した二酸化炭素排出抑制量が表示される。

 「得意先回りに行ってきます」―。神奈川県横浜市・みなとみらい21地区のあるメーカー。営業担当者が向かったのは、社の駐車場ではなく、カーシェアリング用ステーション(専用駐車場)。予約してある車に乗り込むと、同地区内の得意先に向かいました。
 カーシェアリングは、会員制で個人や事業者が自動車を共同利用する仕組み。燃料費や保険代、駐車場代などの維持費も、使用量に応じて会員が負担します。共同所有といっても、実際はカーシェアリングの事業会社が車両を所有し、会員に時間貸しする場合が多く、レンタカーの仕組みに似ています。一番の違いは、会員制で運営することです。
 みなとみらい21地区では、シーイーブイシェアリング株式会社(東京都港区)が(財)自動車走行電子技術協会の委託を受けて、カーシェアリングのモデル実験を行っています。現在、事業者20社が会員登録し、電気自動車30台を共同利用。同地区内に7カ所ステーションを設け、各ステーションに車を置いています。利用者は、借りたステーションに車を戻してもいいし、目的地などで最寄のステーションで乗り捨てることもできます。
 月会費は1口1万5000円。1口で1日1台の車を使う権利を得ます。この他に、利用料として1時間につき400円を支払う仕組みです。利用料には、燃料費や保険代などが含まれます。リースやレンタカーと比較すると、利用量が月に3〜4日以内、1回の走行が3時間・30km程度以下の場合は、カーシェアリングを利用した方が割安になるといいます。


カーシェアリング向けシステムを提供する新会社

シーイーブイシェアリングでは、カーシェアリングの利用会員にICカードを配布。予約した車両にカードをかざすとドアロックが解除される。

シーイーブイシェアリングでは、カーシェアリングの利用会員にICカードを配布。予約した車両にカードをかざすとドアロックが解除される。

 シーイーブイシェアリングは、カーシェアリング専用の車両予約・管理システムを提供するため、2002年2月に設立されました。オリックス(株)を筆頭株主に、スズキ(株)、日本電気(株)、あいおい損害保険(株)など7社が出資しています。
 「カーシェアリング事業への参入を検討している企業や自治体は多いが、予約や車両管理のシステムを独自に開発すると、多額の初期投資が必要となる。そこで、専用システムを提供し、事業への参入を促進する」。執行役員の高山光正さんは、新会社設立のねらいをこう話します。
 シーイーブイシェアリングの提供するシステムは、インターネットや携帯電話から利用日時や車種などを予約できる仕組みです。管理者も利用状況などがネット上で把握できます。ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー:インターネットを利用したソフトの期間貸し)方式でシステムを提供します。
 システム利用料金は、ガソリン車が1台につき月2万円、電気自動車は同1万7000円程度を予定しています。電気自動車の利用料金を下げることで、電気自動車の普及促進も図る考えです。すでに、マンション管理会社や不動産デベロッパーなどがシステムの導入を検討しており、5年後には、車両1000台分のシステム提供を目指しています。


カーシェアリング専門のNPOも誕生

 一方、カーシェアリングを専門に行うNPO(非営利組織)も誕生しました。2002年5月に設立された「カーシェアリングネットワーク(CSN)」です。NPOの西日本リサイクル運動市民の会(福岡県福岡市)と福岡市、九州電力(株)の三者が共同で設立しました。これまで、実験的にカーシェアリングを行う例はありましたが、本格的な事業化は全国初の試みです。
 「ドイツでは、カーシェアリング利用者の多くがマイカーを手放したという実例もある。まずは市内で事業を開始し、成果があがれば九州全域に広げていきたい」。CSN事務局の長尾誠さんは、力強く抱負を語ります。
 CSNでは、2002年10月に、電気自動車を利用したカーシェアリング事業を開始します。ステーションは、市内とその周辺に約10カ所設置し、会費は月1000円程度、利用料は1時間600円程度とする予定です。今後、一般家庭や企業などから広く会員を募集します。当面は2005年9月まで3年間事業を実施し、利用実績などに応じて、期間の延長や企業化も検討する予定です。

 自動車利用の新しい形態、カーシェアリングが日本でも定着していくか。今後の両者の動向が注目されます。


(記事:土屋晴子)