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No.017

Issued: 2002.01.31

中古衣料リサイクルに向けた動き

目次
ユニクロがフリースのリサイクルに着手
反毛・固形燃料化の2種類の方法でフリースをリサイクル
帝人ではポリエステル製品を原料に戻してリサイクル
国や業界でもリサイクルシステムを検討
ポリエステル製品から回収したDMT(ジメチルテレフタレート)写真提供=帝人株式会社

ポリエステル製品から回収したDMT(ジメチルテレフタレート)
写真提供=帝人株式会社

 「これまでの中古衣料リサイクルが曲がり角を迎えている」―。12月の「pick up!」では、中古衣料リサイクルの現状と課題を紹介しました。こうした状況を受けて、衣料品メーカーを中心に、中古衣料リサイクルに向けた取り組みが出てきました。アパレル業界や国でも、中古衣料リサイクルの新たな手法の検討が始まっています。

ユニクロがフリースのリサイクルに着手

 「ユニクロ【1】は、ご不要になったフリースを回収し、リサイクルします」—。ユニクロでは、2001年9月から自社で販売したフリースの回収を始めました【2】。不要となったフリースを全国550のユニクロ店頭で回収。回収したフリースは、[1]断熱材などの原料に再生[2]固形燃料に加工してエネルギー原料として使用―という2種類の方法で処理します。
 「当社の事業が社会に与える影響が大きくなってきたため、企業責任として社会に貢献できる方法を模索しました」。ユニクロブランドを生産・販売するファーストリテイリング・社会貢献室の林泰寛リーダーは、製品の回収・リサイクルに取り組み始めた理由をこう話します。顧客の間から、製品の環境配慮やリサイクルへの要望が増えてきたという背景もあります。


反毛・固形燃料化の2種類の方法でフリースをリサイクル


 フリースを対象としたのは、「ポリエステル100%というリサイクルしやすい素材だったこと。そして、ある程度の回収量が期待できたこと」(林リーダー)。ユニクロのフリース販売量は、98年の約200万枚から2000年には約2600万枚と急速に増加。98年からの3年間で合計約3650万枚を販売しました。回収率がたとえ1%でも約36万枚という量になります。
 ユニクロでは、2001年10月から本格的にフリースの回収を開始。2002年1月初めまでの間に、約1万4000枚が集まりました。一定量に達するまで保管し、リサイクルに回す予定です。
 店に持ち込まれたフリースは、店員がファスナーなどを切り取ってはずします。断熱材などに再生するものは、反毛工場で糸をほぐしてフェルト状に加工。固形燃料化するものは、専門メーカーの工場で加工します。
 「固形燃料に加工してエネルギーとして再利用する方法には批判もありますが、断熱材などにリサイクルするだけでは、回収量が多くなった時に処理しきれません。そこで、大量に集まっても対応できるよう、2種類の方法でリサイクルすることにしました」と林リーダーは言います。


帝人ではポリエステル製品を原料に戻してリサイクル

帝人では、ポリエステル製品を原料に戻す「新原料リサイクル」の技術を使って、2002年4月からPETボトルのリサイクルを開始。回収されたPETボトルはDMTに戻し、再びPETボトルの原料に加工します。

帝人では、ポリエステル製品を原料に戻す「新原料リサイクル」の技術を使って、2002年4月からPETボトルのリサイクルを開始。
回収されたPETボトルはDMTに戻し、再びPETボトルの原料に加工します。


 一方、新たなリサイクルの手法として注目されているのが、ポリエステル製品を化学分解して原料に戻す方法です。ジメチルテレフタレート(DMT)というポリエステルの原料に戻します。
 開発した帝人【3】では、「石油から製造した場合と同じぐらい純度の高いDMTが回収できる」(広報・IR室)とこの手法に自信を持っています。これまでは、再生品の用途は断熱材などに限られていましたが、この手法を使えば、バージン原料同様、どんな製品の原料にも使えます。
 ただし、「ポリエステル製衣料のリサイクルは技術的には可能だが、組成が明らかなポリエステル製品が一定量確実に集まる仕組みがないと、事業としてリサイクルするのは難しい」(帝人の広報・IR室)。市場に出た製品の中からポリエステル製品だけを回収する仕組みが必要となるわけです。


国や業界でもリサイクルシステムを検討

 回収の仕組みを構築しようという動きもあります。検討を進めているのは、「アパレル・リサイクルシステム開発委員会」。アパレルメーカーや素材メーカー、小売店など衣料品に関わる業界横断の委員会です。
 同委員会では、まずは中古衣料回収のためのマーク制度導入を検討しています。たとえば綿100%の製品には赤、ポリエステル100%は緑、といった具合に組成に応じて識別マークを付け、分別回収を容易にしようというものです。
 国も動き出しました。経済産業省は2001年12月に、「繊維製品リサイクル推進会議」を設置。メーカーや小売店のほか繊維リサイクル業者、市民団体などが参加。中古衣料などのリサイクルシステム構築方法を議論しています。

 アパレル・リサイクルシステム開発委員会が実施したアンケート調査の結果によると、「たんすが洋服で満杯・ほぼ満杯」の人は75%。「それでも新しい洋服を買う」人は、そのうち75%。効率的なリサイクルシステムの構築と同時に、衣料品の消費のあり方も見直していく必要がありそうです。


【1】ユニクロ
https://www.uniqlo.com/jp/
【2】ユニクロ 全商品リサイクル活動
https://www.uniqlo.com/jp/sustainability/recycle/
【3】帝人株式会社
https://www.teijin.co.jp/

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(記事:土屋晴子、取材協力:株式会社 ファーストリテイリング、帝人株式会社)

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