一般財団法人環境イノベーション情報機構

EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.014

Issued: 2001.12.06

環境にやさしいカレンダー

目次
環境に配慮したカレンダーが増えている
金具部分を紙に替えたカレンダー
紙やインキも環境に配慮
環境をモチーフにしたカレンダー

 今年のカレンダーも、いよいよ残すところあと1枚となりました。もう来年のカレンダーは購入済みですか。それは、環境にやさしいものですか—カレンダーの環境配慮の動向を探ります。

環境に配慮したカレンダーが増えている

 東京・銀座の大手文房具店伊東屋は、新年度のカレンダーや手帳を求める買い物客でにぎわっています。「環境にやさしいカレンダーはありませんか」と尋ねると、「環境を全面に出していなくても、環境に配慮したカレンダーはたくさん出ています」との答えが返ってきました。
 伊東屋広報室によれば、環境に配慮したカレンダーは年々増加しているとのこと。再生紙を使ったり、捨てるときに留め具と紙を分別しやすく工夫するなど、細かな配慮が見られるということです。なるほど、「このカレンダーにはリサイクルペーパーを使用しています」「プラスチックの留め具部分は焼却しても有害なガスを出しません」といった説明書きが目立ちます。


金具部分を紙に替えたカレンダー

大日本印刷の環境配慮型カレンダーの仕様例(上:金具の代わりに樹脂系接着剤を使い紙でくるむ方式、下:木綿糸で縫い止める方式)

大日本印刷の環境配慮型カレンダーの仕様例
(上:金具の代わりに樹脂系接着剤を使い紙でくるむ方式、下:木綿糸で縫い止める方式)

 「昨年度、環境に配慮した規格のカレンダー販売量が従来製品を上回りました」。こう語るのは、大日本印刷株式会社【1】商印事業部生産本部の吉田稔彦リーダー。おもに企業カレンダーの生産を手がける同社では、92年頃からカレンダーの環境配慮に取り組んでいます。
 中でも力を入れているのが、留め具部分の金具を紙に替えた製品。インキを接着剤代わりに使い紙をくっつけるタイプ、たばねた紙の上部に切り込みを入れて接着剤を流し込み、上から紙で覆うタイプ、ノートや通帳と同じように糸で綴じるタイプの3種類があります。

 このような加工をすると、カレンダーの価格は約1割増しになります。それでも、「特に企業が作る自社カレンダーには、環境配慮の要望が多い」と吉田リーダーは言います。そもそも大日本印刷が留め具の工夫に取り組んだのも、企業からの依頼がきっかけでした。「カレンダーは、企業姿勢を示す格好の道具。自社の環境配慮の取り組みをアピールするには最適です」(吉田リーダー)。
 99年には、大日本印刷が生産するカレンダーのうち金具式と紙式の割合はともに25%でした。これが、2001年には金具式20%、紙式35%と紙式が上回り、現在では、同社の販売するカレンダーの主力製品となっています。


紙やインキも環境に配慮

 留め具だけではありません。「紙やインキも環境に配慮したものを使ってほしいという要望が増えています」と吉田リーダーは言います。中でも再生紙や大豆(油)インキの指定が多いとのこと。
 大豆(油)インキは、原料中の石油系溶剤の含有量を減らし、代わりに植物性の大豆油を使ったもの。大豆(油)インキとして認定されるための公的な基準はありませんが、アメリカ大豆協会がインキに含まれる大豆油量の推奨基準を設けています。これを満たしたインキは「ソイ(大豆)シール」という同協会のロゴマークを使用できます。
 最近では、石油系溶剤を全く使わない大豆(油)インキも商品化されています。カレンダーの印刷に石油系溶剤ゼロのインキを指定する企業もあるということです。
 大日本印刷では、卓上タイプのカレンダーの環境配慮にも取り組み、プラスチックケースを使わない製品の実用化にこぎつけました。来年度から企業への採用を呼びかけていく予定です。
 同じく企業などのカレンダー生産を手がける凸版印刷でも、紙やインキ、留め具などの環境配慮を進めています。同社では、企業で不要になったカタログなどを回収し、これを原料とした再生紙で、その企業のカレンダーを作るといった構想もあります。


環境をモチーフにしたカレンダー

弥栄中学校の生徒達が作成したカレンダー(左から '99年版、2000年版、2001年版)

弥栄中学校の生徒達が作成したカレンダー
(左から '99年版、2000年版、2001年版)

 一方、「中味」が環境に配慮しているカレンダーもあります。島根県弥栄村の弥栄村立弥栄中学校では、学校での環境の取り組みを生徒達がイラストなどにまとめ、カレンダーを作っています。このカレンダーは、役場の協力を得て村内の全家庭に配布しています。

 環境をテーマに取り上げ、使い終わったら再活用できるユニークなカレンダーもあります。アオイ環境株式会社【2】がNGOの協力を得て作成したカレンダーには、裏面に環境問題の解説がついています。使い終わったら裏面の説明書きを切り取り、冊子にして保存できます。カレンダーとしての寿命が終わった後は、環境教材に変身するというわけです。売り上げの一部はNGOに寄付されます。
 自らカレンダーを制作している環境NGOもあります。
 東京・青山の地球環境パートナーシッププラザ【3】では、NGOが発行するカレンダーを集めて毎年ホームページで紹介しています。大自然や動物の写真を掲載したものや環境問題をひとコマまんがで風刺しているものなど、活動に合わせてカレンダーの内容もバラエティー豊かです。「カレンダーの売り上げは、NGOにとっての大切な収入源。プレゼントなどにもぜひ購入してほしい」。担当の小野亜由美さんは、こう訴えます。
 カレンダーは、毎日のように目をとめるもの。そして、1年間使うもの。デザインや機能とあわせて、「環境」もひとつの選択基準にしてはいかがでしょうか。


【1】大日本印刷株式会社
https://www.dnp.co.jp/
【2】アオイ株式会社
https://www.aoikankyo.co.jp/
【3】地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)
http://www.geoc.jp/

(記事:土屋晴子、図・写真の提供:大日本印刷株式会社、弥栄中学校)