一般財団法人環境イノベーション情報機構

EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.003

Issued: 2001.05.30

家電リサイクル法(後編)

目次
指摘される問題点
各主体の取り組みと今後に向けて
「このゆびとまれ!エコキッズ」より(本文と直接関係ありません)

「このゆびとまれ!エコキッズ」より
(本文と直接関係ありません)

 前編では、家電リサイクル法の概要や、施行前後に報道されたニュースなどを中心に見てきました。後編では、これらの少し整理して家電リサイクル法の問題点や今後のあり方等を考えていきたいと思います。

指摘される問題点

 ニュース等でさまざまな現実の問題が報道されているように、家電リサイクル法にはいくつかの課題が指摘されます。では具体的に何が問題なのでしょうか。どうすればよりよい体制を築けるでしょうか。
 本格施行後5年経過後、制度全般について再検討する」と明記されている(概要より)ように、運用しながら各主体の理解を深めつつ、よりよい方法を探っていくことが求められます。以下にいくつか、指摘されている問題点について整理してみました。

  • 消費者に求められる大きな経済的負担
     2001年4月1日、日が変わると同時に消費者(排出者)に課せられることになった大きな処理費の負担は、法律の趣旨を理解しても頭の痛い問題といえます。3月末日までの自治体による粗大ごみの引き取り料金(1000円前後)に比べて10倍近く跳ね上がることになるなど、消費者への負担の急増は不満感を誘発するとの指摘も多いようです(インパク「捨てる」パビリオンの「今日の捨てる」や朝日新聞など)。
     また、北海道新聞で特集された「もっと知りたい家電リサイクル法」では、生活保護者などに経済弱者に対する負担軽減策対する千歳市や旭川市の取り組み事例なども紹介しています。
  • 多発する不法投棄と、悩ましいその対策
     各地のニュースでも大きく報道されたように、不法投棄の発生が現実のものとなっています。投棄された廃家電は自治体が回収し、さらにリサイクル料金等を「不心得もの」に代わって支払い、正規の回収ルートに乗せなければなりません。
     環境省が3月中に実施したアンケートでは、不法投棄を心配する自治体は95.1%、未然防止のための対策について「予定している;検討中;今後検討予定」(当時)を合わせて85.8%、また不法投棄に備えて予算を計上している自治体は53.7%という結果も出ています。
  • 小売店による「不当競争」の激化
     家電リサイクル法では、収集運搬料を小売店が独自に設定できることになっています。大手家電量販店等が運搬料を負担するなどの販売戦略を展開することで、零細店が淘汰される懸念なども指摘されています(北海道新聞;熊日新聞;朝日新聞など)。消費者の費用負担が適正なものかを判断するためにも、情報公開の仕組みが必要などとも指摘されます。
  • 収集運搬料の地域格差等が生む不平感
     収集運搬料金の個人負担についても、全国一律の法律では回収所やリサイクル施設の立地条件など地域格差による負担の差が不平感・不満感を誘発するとの指摘もあります。特に離島県の沖縄などでは頭の痛い問題となっているとのことです。沖縄県内の新聞沖縄タイムスや琉球新報では、4月1日の社説でこうした離島特有の問題を指摘し、「現在(当時)でも廃車の山になっている県内の離島では、消費者負担の運搬料がかさむようだと廃家電の山を築くことになりかねない」(沖縄タイムス「循環型社会への第一歩」)、「島しょ県である沖縄で、全国一律の法律では、収集・運搬料金の原則消費者負担はあまりにも重い。理念は理解しながらも特に離島町村の対応は厳しい」(琉球新報「家電リサイクル法・長く大事に使う意識を」)と何らかの対応が必要と指摘しています。
  • リユースの後退を招く逆効果への懸念
     大阪府吹田市のくるくるプラザでは、市民がリサイクル活動の実践や体験をする場として指導員を配した「市民工房」を開設しています。このうち、廃家電等を修理して販売なども行なっていた「市民工房3(家電製品の工房)」が、平成13年3月末日で閉鎖せれています。利用状況等も鑑みて決まった方針のようですが、こうした施設等が運営しにくくなる「不要品の引き取り義務」の新規発生についても問題が指摘されています。

 なお、東京大学生産技術研究所の安井至教授が開設している市民のための環境学ガイドでも、家電リサイクル法について何度か取り上げています。
 廃家電リサイクルの問題点(1998.03.16 追加 1998.04.22)では、多様な観点から廃家電のリサイクルの問題について論じています。料金前払いのデポジット制を導入するべきだという主張も多い中、その課題等についても指摘し、闇雲に現行制度に反対するのではなく、「実際に行うための仕組みをいろいろと考えてみても、これならば完全だという方法はないように思える。だからといって、現時点で何もやらないよりは、何か行動をすべきである。市民に環境に対する意識を持ってもらうには、知識を幾ら伝達してもそれだけでは駄目で、ある種の体験をしてもらいながら、次を考えることがもっとも重要である。」とも記しています。


各主体の取り組みと今後に向けて

 各主体の具体的な取り組みや提案等について紹介しているサイトもみつかりました。
 家電メーカー側の取り組みについて報告するのは北海道新聞の特集「もっと知りたい家電リサイクル法」。千葉県市川市にある東浜リサイクルセンターで稼動している家電製品専門のリサイクル工場や、法律施行に向けて試運転を続ける(当時)「北海道エコリサイクルシステムズ」の様子などが報告されています。
 自治体の取り組みとして、独自の廃家電収集・処理事業を決定し、メーカー公表のリサイクル処理料金+収集運搬費より安価な料金体系を設定した全国でも珍しい事例が京都新聞の2月23日の記事に紹介されています。「家電リサイクル法を不採用 京都府船井郡 独自の収集でより安く」。記事によると、京都府船井郡及び北桑田郡の18町のごみ収集を担う「船井郡衛生管理組合」では、4月1日以降も廃家電を一般廃棄物として収集・保管して、9月から稼動を予定している民間リサイクル複合施設に処理を委託し、低コスト化を実現するとのことでした。
 また、市民側でも処理料金を支払って廃家電を処分するという家電リサイクル法にかわる代替案として、「市民リサイクルセンター」を設立の動きやそれに対するアンケートの募集もありました(科学技術振興事業団 CREST研究チームの環境リサーチャー・伊藤健司氏が運営する「エコちゃんとトーク −市民のための環境公開討論会−」より)。「市民リサイクルセンター」の仕組みとしては、廃家電を持ち込むことで収集運搬料の一部が返金され、また同時に持ち込んだ廃家電を自分で分解処理するとリサイクル料金の一部が返金され、さらに他人の持ち込んだ廃家電も併せて分解処理すればアルバイト料が支払われるなどといった提案がされています。
 また、家電リサイクル法の問題点としても指摘されているように、修理して継続使用したり、中古品等の再使用(リユース)を図るなど製品を製品として長く使いつづけることも重要といえます。
 (財)関西消費者協会のホームページでは、大阪府立消費生活センターの発行する「消費生活FAX通信」を掲載しています。平成13年3月号では、家電リサイクル法の施行に合わせた特集「家電製品の上手な修理の頼み方」を取り上げています。大量消費型の生活スタイルを変えて、修理して使いつづけるためのシステムを充実させることで高い修理費の単価を下げるなど、市民の意識や具体的行動も重要としています。また、県立神戸工業高校 情報技術科教諭である西川敏弘氏が運営する神戸発生涯教育情報では、「家電技術」に関する通信教育を利用した資格取得紹介されています。(財)電子文化研究所が実施する「家庭電器修理技士(初級)」資格(通信教育講座修了により授与される)や、(財)家電製品協会が実施する電子機器修理技術者試験等についての概要や取得体験談等を読んでいると、資格を所得するかはともかく、家電の修理技術を身につけてみたいという気にもさせられました。

 四国新聞の4月16日付け「一日一言」では、日本人の資源無駄遣い的消費行動について言及し、社会システム全体の組み替えの必要性について指摘しています。琉球新報の4月1日社説「家電リサイクル法・長く大事に使う意識を」でも、生活レベルでの実感が必要であり、リユースの促進など製品を長く使う生活習慣を育てることが必要と論じています。
 国の環境基本計画(平成12年12月閣議決定)でも、「第一に廃棄物等の発生の抑制を図ります。第二に発生した循環資源は製品や部品としての再使用を図ります。第三に再使用されない循環資源は原材料としての再生利用を図ります。第四に再使用及び再生利用がされない循環資源については熱回収を図ります。第五に循環的な利用が行われない循環資源は適正に処分します。ただし、この順位によらない方が環境への負荷を低減できる場合には、この優先順位にこだわることなく、より適切な方法を選択します」(第3章 第1部 第2節 4.重点的取組事項 ア.政策手法等の考え方 の、(ア)対策の優先順位)とあるように、製品や部品としての再使用を原則的に優先しています。

 さまざまな代替手段も含めて、循環型社会を構築するためにどんな仕組みが必要かなど、各主体が責任と実感を持って考え・取り組んでいくことが望まれるといえるでしょう。