No.013
Issued: 2023.03.24
第13回 滋賀県草津市長の橋川渉さんに聞く、身の回りの小さなことから取り組む姿勢と行動力をもつ“環境文化”を根付かせ、世代を超えて手渡す環境づくり
ゲスト:草津市長 橋川渉(はしかわ わたる)さん
- 福井県福井市出身。
- 京都大学文学部卒業後、草津市役所職員を経て、平成20年3月より草津市長就任。
- 現在4期目を務める。
- 座右の銘は、孟子の「至誠にして動かざる者は、未だこれあらざるなり」(誠心誠意、ことにあたれば、人は必ず動いてくれる)。
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 㓛刀正行
「急がば回れ」のことわざを生んだ水陸交通の要衝の歴史がつくる街道文化のまち
㓛刀理事長(以下、㓛刀)― 本日は、EICネット「首長に聞く!」にご登場いただきまして、ありがとうございます。 草津市の地域の特徴につきまして、ご紹介をお願いいたします。
橋川市長― 草津市は、日本列島の中央部にある滋賀県の南部に位置し、琵琶湖に面した都市です。
面積が、琵琶湖を入れて約68km2、そのうち琵琶湖が約20km2含まれておりますので、陸地部分は約48km2です。
大阪、京都、名古屋からも近い距離にありまして、近畿圏と中部圏を結節する地にあります。鉄道網では、滋賀県内は琵琶湖線という愛称で呼ばれているJR東海道本線と、草津駅を始点に山手の方に向かうJR草津線が運行していて、一般道路は国道1号と京滋バイパス、高速道路は名神高速道路と新名神高速道路が走り、そのインタージャンクションも草津市にある交通の要衝です。
地勢では、西に琵琶湖があって、湖岸から田園地帯が広がっています。中心部の市街地に住宅地や商業施設が建ち並び、市域の東になだらかに広がる丘陵地帯には、大企業の工場などが立地していて、その先には湖南アルプスの山並みや、近江富士と呼ばれる三上山の眺望が望めます。
市内に立地する特徴的な環境分野の施設としては、立命館大学のびわこ・くさつキャンパス、また、環境関係の施設では滋賀県立琵琶湖博物館、草津市立水生植物公園みずの森がある他、草津市を含む9市2町の下水の終末処理をする湖南中部浄化センターなどが集積し、人と環境の調和が図られています。
草津市立水生植物公園みずの森には、ロータス館という施設があります。草津市はもともとハスの名所でして、園地には多くのハスを栽培展示しており、ロータス館の温室の中では、一年を通してネッタイスイレンを見ることができます。
本市の特性としては、先ほどの話と少し重複しますが、琵琶湖畔一帯はのどかな田園風景が広がっていまして、近畿最大級のビニールハウス群のある野菜の一大産地になっています。琵琶湖対岸には比叡山や比良山の山並みがそびえ、四季の彩り豊かなまちです。
また、水陸交通の要衝として知られ、古代から官道が通り、江戸時代には街道文化が花開きます。縄文・弥生時代の遺跡をはじめ史跡南笠古墳群、また古代の製鉄所に当たる史跡瀬田丘陵生産遺跡群野路小野山製鉄遺跡などが分布しておりまして、草津の地には太古からの人の営みの歴史がありました。
古代官道の一つである推定東山道があり、また江戸時代になって五街道が整備されますと、東海道と中山道が分岐・合流する地として東海道52番目の宿場町草津宿が発展しました。東海道と中山道が分岐・合流するのは五街道の起点となる東京都の日本橋を除くと国内で唯一、ここ草津だけです。
ちょうど分岐・合流する地点に近接する史跡草津宿本陣は、現存する本陣の中では全国最大規模のものです。平成元年から平成7年にかけて保存修理を行いまして、現在一般公開しています。宿帳にあたる大福帳を見てみると、吉良上野介と浅野内匠頭が相前後して昼食をとったとか、皇女和宮様が泊まった記録も残されています。これも国指定史跡です。
さらに、琵琶湖では湖上交通が発達していて、湖上交通を取り仕切る船奉行の役割を、市内にある芦浦観音寺の住職が務めていました。市内には矢橋、山田、志那の3つの湊があり、そのうち多くの船が行き交う風景で知られる矢橋港は「矢橋帰帆」として近江八景の一つに選ばれています。
大津方面には、陸路よりも矢橋港から帆掛け船で水上を行く方が距離的には近くなりますが、琵琶湖が荒れると船止めや難破の危険もあって、むしろ陸路の方が安全で早く行けることがあります。そんなこと で、「急がば回れ」のことわざが生まれる、発祥の地となりました。人も物も行きかう街道文化が息づいたまちです。
また、様々な歴史文化遺産が受け継がれていまして、先ほどお話しした芦浦観音寺や草津のサンヤレ踊りが日本遺産に認定されています。近江湖南のサンヤレ踊りについては、全国41件の風流踊の一つとして、昨年11月にはユネスコ無形文化遺産に登録されています。
㓛刀― 私も昨日、半日かけて市内を回ってまいりました。改めて、歴史文化のまちということを感じました。
私事で恐縮ですが、私は中山道と甲州街道が交わっている、信州諏訪の出身でして、草津が東海道と中山道の分岐・合流点ということ、また大きさはずいぶん違いますが、草津の琵琶湖に対して諏訪湖があります。琵琶湖は向こう岸が見えないと思っていたのですが、このあたりではすぐそこに対岸が見えたものですから、風景もどこか似ていて、より親近感を覚えています。
ずっと住み続けたいまちの実現をめざして
㓛刀― さて、次に市長ご自身のご出身やご経歴をお話しいただけますでしょうか。
橋川市長― 私はもともと市の職員として昭和48年から勤めていまして、最後は政策推進部長でした。平成19年秋に退職しまして、翌年2月の市長選に立候補して、平成20年3月から市長をさせていただいています。現在4期目となります。
職員時代には、平成14年4月から環境部次長となりまして、ISO14001の取得を進めて、環境負荷の低減と環境保全への積極的な貢献に取り組んできました。また、市長になった直後の平成20年4月に「愛する地球のために約束する草津市条例」を施行いたしました。今や全国的に、世界的に地球温暖化などの環境問題に注目が集まっていますが、当時から地球を何とかしたいという思いで取組をはじめ、当時としては先進的な条例でした。
その後、超高齢化社会への対応として、誰もが生きがいを持ち、健やかに幸せに暮らせる「健幸都市」をめざしています。実現するためには、市だけが推進しても全体としての取組になっていきませんので、市民と市民、市民と行政がいっしょになって、環境問題をはじめとするさまざまな課題に取り組んでいきましょうと、「協働のまちづくり」を進めています。健幸都市は、「ずっと住み続けたいまち草津」をめざすことです。おかげさまで人口は伸びていまして、今後も維持していきたいと取り組んでいます。
この「ずっと住み続けたいまち」は、私の選挙公約として掲げたマニュフェストでした。1期目のときには「もっと草津」宣言として、もっと草津をよくしようよ!という掛け声でした。2期目のときには「さらに草津」宣言、3期目になって「ずっと草津」宣言、さらに4期目には「ずっと2草津」宣言を選挙のキャッチフレーズにさせていただき、進めさせていただいているところです。これまでのまちづくりで、特に力を入れてきたことは、子育て・教育の充実と、まちなかの魅力向上と地域再生でした。
子育て相談センターや子育て支援拠点の整備や、待機児童ゼロを実現してきました。また教育では学校図書館に司書を配置したり、10年前から電子黒板やパソコン・タブレット端末を導入してICT教育を推進したりと、子どもの学力・体力の向上を図り、生きる力を育んできました。教育は国家百年の大計であり、教育こそが未来を創ると、取り組んできたところです。
また、将来訪れる超高齢化社会を見据えて、先ほど申し上げましたように、健幸都市宣言を平成28年8月に行い、いきいき百歳体操の普及啓発をしたり、ウォーキングコースを整備したり、また食育でバランスのとれた食事を健康推進員とともに進めたりしています。
健康のための秘訣として、適度な運動・バランスのとれた食事・十分な睡眠も大事ですが、おしゃべりなどの社会活動が非常に大事だと、啓発に努めています。高齢化・超高齢化が進んでいきますと、認知症になる方も増えてきますので、草津市では「認知症があっても安心なまちづくり条例」をいち早く制定しまして、認知症対策も進めています。
まちなかの魅力向上では、草津駅を核にした中心市街地のまちづくりを進めています。天井川である草津川は、いったん決壊すると災害リスクが非常に高いため、平成14年に国の直轄事業として平地河川の付け替えをして、全長7kmの跡地が残りました。この草津川跡地を公園として整備し、「de愛ひろば」(0.8km)と「ai彩ひろば」(1.2km)がオープンしています。ハードとソフトの両方の観点から、国土交通大臣表彰を2回受賞している施設です。
市民体育館を建て替えた「YMITアリーナ」は、令和7年に開催を予定しています国民スポーツ大会・障害者スポーツ大会の会場にも使える施設になっています。また、市民総合交流センター「キラリエ草津」には、市の子育て支援拠点施設「ココクル♥ひろば」や男女共同参画センター、人権センターなどの他、草津商工会議所や外郭団体の草津市コミュニティ事業団や草津市社会福祉協議会も入った公民合築の施設として整備しています。
JR草津駅前にはマンションやホテルが建っていまして、活力・魅力のある駅周辺になっています。草津市内にはJR南草津駅もありまして、平成23年から新快速電車が停車するようになりました。これは1期目の選挙公約として掲げたものでして、利便性が高まって南草津エリアの魅力がこれまで以上にアップするとともに、現在、926戸の大規模区画整理事業も進めさせていただいています。おかげさまで、JR草津駅と南草津駅は、滋賀県にある駅としては乗降客数が1・2位となっています。
今後は、令和6年6月に国内有数の施設として(仮称)草津市立プールのオープンを予定しています。室内の温水プールで、50m、25m、飛び込みプールが常時利用できる施設になりますので、国民スポーツ大会などの全国規模の大会も開催できますし、市民・県民の健康(健幸)づくりにも活用していくことができると思っています。
また、郊外部は高齢化率も高いので、商業施設の誘致や住宅地の開発を通して利便性と魅力を高め、地域再生を進めてまいります。
㓛刀― 子育ての話がありましたが、草津市は人口がずっと増えている稀有な都市だそうですね。特に子育て世代が増えていて、小学校も増設されたという話を伺いました。若い世代の子育て・教育から、これから大変になる高齢世代の対策準備もされていらっしゃいます。先ほど認知症の方にとっておしゃべりが大事だというお話もありましたが、運動だけではなかなか認知症が止まらないのが、おしゃべりをするととても効果があるらしいですね。
橋川市長― おしゃべりすると脳の活性化が図られるのと、高齢に多い誤嚥性肺炎を防止することにもなります。もちろんリフレッシュにもなりますので、良いこと尽くめですから、おしゃべりを奨励しています。
㓛刀― それは良いことだと思います。ありがとうございました。
自然の恩恵と厳しさをまるごと味わうような学習活動を推進
㓛刀― では、環境関連についてお話を伺いたいと思います。
先ほどのお話で市長は当選された当初から環境問題にも力を入れていらっしゃっているということです。まずは、昨年(2022年)9月に策定された第三次草津市環境基本計画を中心にお話しください。
橋川市長― 環境基本計画では、めざす環境像として「人とひと 人と自然が織りなす 琵琶湖に開かれた環境文化都市 くさつ」と、環境と文化を併記しています。
環境文化というのは、常に環境への興味・関心を持って、大切さを知って、環境と自分の関わりを理解して、そして身の回りの小さなことから取り組む姿勢と行動力をもつ、これを環境文化と呼んで、草津市に根付かせて、世代を超えて手渡していくことを環境づくりの基本に置いています。
この「くさつ環境文化」をより根付かせるために、6つの各基本方針をけん引し、かつ横断的に進める取組として重点事業を設定しています。その一つが、今年度から展開しています、「いきもの自然学校」です。
2つの学区をモデル地域に設定して、各学区で住民全員が構成員となる、まちづくり協議会が主体となって、参加型の自然観察や体験イベントなどの環境学習プログラムを、市と協働で実施しているものです。
モデル地域の一つ、志津学区では全6回シリーズの里山自然学校を開校されて、里山でネイチャーゲームやホタル観察、樹木の伐採、薪割り体験、植樹などを実際に子どもたちといっしょにやっています。
実は私も12月の寒い日に、薪づくりのプログラムに参加しました。斧を扱うのはなかなか難しいものでしたが、スパンと割れると楽しいものですね。子どもたちは、薪の火で暖を取ったり、サツマイモやマシュマロを焼いたりして、自然の恩恵とある意味では厳しさをまるごと味わうような学習活動をしています。
もう一つのモデル地域の笠縫東学区は、川が流れて田園に囲まれた地域で、「笠縫東いきもの自然学校」として今年度開校しました。ホタルや草花の観察会、川の生き物調査の3回シリーズとして実施しました。
ここの小学校では、地域を流れる葉山川の生物調査をずっと以前から続けていまして、教室の一角を「葉山川博物館」と呼んで、子どもたちや保護者たちに生き物の大切さをしっかりと見ていただく、そんな取組を学校の活動として継続してこられたのです。これをさらに拡大・充実・強化する取組として、いきもの自然学校がスタートしたのです。
現在は外部講師の力を借りて、市もプログラム開発やイベント開催をサポートしていますが、今後は地域の方々が主体となって実践し、地域で学びあえる環境を作っていきたいと思っています。
もう一つ、草津市が誇れる活動があります。滋賀県にも経済同友会がありまして、平成21年に「琵琶湖いきものイニシアチブ~生物多様性の恵み豊かな社会を未来に引き継ぐために~」を宣言されています。草津市を中心とした湖南地域に立地する企業11社がこれに賛同して、「湖南企業いきもの応援団」を立ち上げて、地元に流れる狼川をフィールドに、魚や水生昆虫や水質を定期的に調査して、その結果をパネル展示にし、啓発活動もいっしょになってやっておられます。企業群が取り組まれる事例は全国的にも珍しいということもあって、「平成25年度しが生物多様性大賞」、「生物多様性アクション大賞2015まもろう部門優秀賞」を受賞しているところです。
㓛刀― 実は昨日、草津市こども環境会議のポスター展示を見させていただきましたが、その中に今お話しいただいた湖南企業いきもの応援団の活動もあって、「ああ、あれのことか!」と思って伺っていました。
橋川市長― 先ほどの狼川の調査研究も、企業の従業員さんが営業時間中に活動されています。企業のご理解があって続けられているものでして、早い時期から始めた活動で、しかも1つの企業が取り組むだけではなくて、11社(現在17社)が集まって同じことをするというのが素晴らしいなと思っています。
㓛刀― 企業側としても、環境活動に取り組まないと生き残れなくなってきていますので、よいチャンスになったのではないでしょうか。
令和3年12月に、市議会とともに気候非常事態宣言を行い、ゼロカーボンシティを表明
㓛刀― 次に、カーボンゼロをめざす脱炭素の取組に関してお話を伺えればと思います。
橋川市長― 先ほど申し上げました「愛する地球のために約束する草津市条例」は平成20年に施行しました。
条例では、地球温暖化対策に取り組んでいる市民や事業者、各種団体の皆さまが、市と協定を結び、地球温暖化対策に地域をあげて取り組んでいく仕組みをつくりました。
平成21年からは、市民や事業者、団体、市が一丸となって脱炭素社会への転換を図るための行動指針として「草津市地球冷やしたいプロジェクト」を策定し、地域のイベントなどで啓発活動を行うなど、協働して地球温暖化対策に取り組んできた歴史があります。令和3年3月には第4次のプロジェクトを策定しています。
令和3年12月には、国の脱炭素社会実現をめざす動きに呼応して、気候非常事態の宣言とゼロカーボンシティの表明を、市議会とともに行いました。多くの市町村では首長だけの宣言が多いと思いますが、議会とともに表明して、一歩一歩、着実な取組を進めているところです。
地球冷やしたいプロジェクトでは、重点アクションの一つとして「愛する地球のために約束する協定推進事業」を定めています。地球温暖化対策に取り組む事業者や団体の代表者や個人の皆さまと市長が協定を締結して、それぞれに力を入れる事業について宣言していただくことで、地球温暖化対策の草の根の活動を広げていこうとするものです。現在、すでに56社と協定を締結していますが、気候非常事態宣言後には宣言の賛同者を募りつつ、協定者をさらに拡大してこうという取組をさせていただいています。
同じく重点アクションの一つとして、環境省が推進する全国共通ポイントプログラム「エコ・アクション・ポイント制度」の活用を掲げています。市民の皆さまが環境にやさしい行動に自発的に取り組むきっかけとなり、住みよいまちづくりへとつながるよう、制度のさらなる周知を図っているところです。
それと、お手元に副読本「ゼロカーボンシティくさつ for 2050」をお渡ししていますが、こうした冊子や動画、ポスターなど市独自で作成した様々な啓発ツールを用いて、地元自治会や小中学校への出前講座などもしながら、環境学習に力を入れております。
㓛刀― ありがとうございました。草津市のホームページを見させていただいて、先ほどの「愛する地球のために約束」ということで、団体との協定についてご紹介いただきましたが、個人の方の宣言というのもされているのですよね。これはなかなかおもしろい取組だと思います。
一人ひとりが考えていかないといけないんですけど、なかなかアクションしていることがわからないので、こういう形で市に対して宣言するというのはよいですよね。ぜひ広めていただきたいと思います。
橋川市長― 気候非常事態宣言では、個人の宣言もあって、それは家族をあげて取り組もうよということですからね。令和5年1月現在で、個人の宣言は183名の方々からいただいています。
「こどもエコクラブ全国フェスティバル」の草津市開催をきっかけに、2001年から開始した「草津市こども環境会議」
㓛刀― すでに何度かお話しいただきましたが、草津市環境こども会議について改めてお聞きできればと思います。
実は、昨日ぜひ見てみたいと会場に伺いました。小学校低学年から高学年までたくさんのポスターが掲示されていて、すべて見させていただきました。薪割りのとき、のこぎりで切った丸太の年輪から木の年齢が読み取れたといったことも書かれていて、まとめ方もそれぞれに工夫されていて、バラエティに富んだものになっていました。今回で21回目ということですけど、長年に渡って続けていらっしゃって、素晴らしいなと思いました。
橋川市長― コロナにもめげず、工夫しながら続けています。
草津市こども環境会議は、2001年に始めた会議です。この年に「こどもエコクラブ全国フェスティバル」が草津市で開催されたのをきっかけに、子どもたちの環境保全活動の支援や環境学習の促進を目的として開始したものです。地球の未来を担う子どもたちを中心にして「交流・つながりの深まり」「達成感」をテーマに、子どもと大人が環境にかかわる取組について交流し話し合う場として毎年継続開催しています。
今年度で第21回の開催を迎えましたが、令和2年度はコロナで延期となり、昨年(令和3年)度にはwithコロナにおける交流イベントの開催手法を実行委員会で検討してきましたが、ちょうど感染拡大のピークと重なって「交流の部」は中止となってしまいました。
今年度もまだコロナが収束していない状況ですが、対面開催を避けて展示やオンラインでの実施として、何とかやっていこうよという意気込みの中で実施しています。サブテーマとして「つながろう みんなで!まもろう 私たちのくらし!」を掲げて、オンラインで参加する「交流の部」、壁新聞を通して活動を様々な方に見ていただく「展示の部」、活動を動画として公開する「情報発信の部」の3部構成による開催と、工夫してきました。
「交流の部」では、ZOOMの中で子どものグループと大人のグループの合わせて16の参加団体を4つのグループに分けまして、発表や質疑、意見交換を行った後、全体での意見を聞くことで、お互い学びあうという取組でした。グループの話し合いでは、学校の先生たちが進行役としてご活躍いただき、さまざまな立場の参加者の意見をまとめていただき、子どもたちの学びや交流を深めることができました。今後も、教育委員会との連携がとても大事だと感じているところです。
先ほどご紹介した市独自に作成している副読本などの啓発ツールも、こども環境会議「交流の部」で参加者の方に配布して、ディスカッションの題材とさせていただきました。子どもたちからは、「草津川跡地公園にソーラー滑り台をつくる」といったユニークなアイデアも飛び出してきています。天井川ですから、堤防の斜面を活用した提案です。
㓛刀― 壁新聞などを見させていただいて感じたことですが、こども環境会議に向けて授業の中で研究をしていこうということもあるのでしょうか?
橋川市長― こども環境会議は毎年開催していますから、授業の中で会議に向けて壁新聞作りをしようといったように、各学校がいい意味で競い合って参加してもらっている、そんな機運が生まれています。
㓛刀― 草津市は琵琶湖という素晴らしいフィールドがあって、固有の生物もいて、そういった生き物のことについて小学生がかなり細かく調べているのにはびっくりしました。顕微鏡を見ながら描いたのでしょうね、植物プランクトンや動物プランクトンの細かな絵を付けてまとめていました。ホタルの研究をまとめたものでは、ホタルの数のトレンドと水質検査の結果を比較して、水の汚染が原因でホタルが減っているといった考察もされていました。低学年で関心をもつところのスタートから、毎年積み重ねていくことでここまで進むのかと、非常に感心しました。子どもたちの発表を見ると、大人たちにとっても原動力になると思いますので、ぜひ今後も継続していってほしいと思います。私どもも微力ながら後援として協力させていただきたいと思います。
住む人、訪れる人、誰もが「健幸」になれるまちを実感していただけるような都市づくりを進めていく
㓛刀― 最後にEICネットの読者の方に向けてメッセージをいただければと思います。
橋川市長― 全国的には人口減少社会になっていますけど、草津市はまだまだ人口が増加している活気あふれるまちです。
京都・大阪にも近く、商業施設も充実していて、老若男女が楽しめる自然あふれるような公園もあって、自然にも恵まれています。東洋経済新報社が毎年発表している「住みよさランキング」の最新ランキングでは、近畿111市の中で3位、全国812市区の中では38位と、高い評価をいただいています。
魅力あふれる草津のまちを、さらに住みよく、働きやすい元気なまちにするためには、環境政策が非常に大事だと思いますので、より一層重視した取組を進めていきたいと思っています。住む人、訪れる人、誰もが「健幸」になれるまちを実感していただけるような都市づくり、まちづくりを今後とも進めてまいりますので、ご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
㓛刀― どうも長時間、ありがとうございました。
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