一般財団法人環境イノベーション情報機構
このゆびとまれ!エコキッズ

トイレの水はどこへ?

目的

  • 気づき:私たちの生活と水の汚濁との関わりに気づく
  • 知識:水の浄化の仕組みを知る
  • 行動:水の汚濁に配慮した生活を選択できる

背景

「厠(カワヤ)」は「川屋」?

水の流れを利用できる地域では、昔から河川や海が便所となってきました。これらの水系に流入した排泄物は、自然の浄化能力によって処理されてきました。日本では、すでに「古事記」の中に、大小便を川に流して始末する場として「厠(カワヤ)」が設けられていたことを示す記述がみられます。この「厠(カワヤ)」は、「川屋」(もしくは「川家」)、つまり天然の水洗便所であったとする説もあります。その後、農業の発展に伴って、し尿は貴重な肥料源として使われるようになり、汲み取り式の便所が定着しました。江戸時代の生活については、「リサイクルプラザ」の3階でし尿のリサイクルについても扱っています。併せてご覧下さい。

古代遺跡にみる便所跡

世界の歴史でも、古代インダス文明の遺跡、モヘンジョダロには、溝の上部を開け放した開渠式の排水溝を引いた水洗便所が設置されていました。ヨーロッパでも、古代ローマ文明の頃すでに下水道が構築され、水洗便所が整備されていたことが下水渠の遺跡などから確認されています。

衛生状態の悪化が下水道を発達させる

ヨーロッパでは、18世紀の産業革命によって都市への人口集中・増加が進み、河川に排出していた汚水による河川の汚濁や都市の衛生状態の悪化が著しくなりました。ペストやコレラなどの疫病が大流行し、都市の公衆衛生の観点から下水道の整備が進みました。

上水道の普及が下水処理の必要を生み出した

下水の問題が顕在してきた裏には、上水道の普及 ・発達があったことも見逃せません。日本の農村部では、集落の中に引かれた水路の水を洗い物など生活に利用してきましたが、その水量は少なく、汚濁負荷も小さかったことは留意する必要があります。排水中の有機物は、下流にある次の集落に至るまでに水中のさまざまな生物が利用するためきれいになっていました。逆にいえば、そうやって浄化される程度にしか汚さないという暗黙の了解もあったといえます。
一方、都市部を中心に上水道が発達し出して水利用が増えてくると、排水も大量に発生するようになります。日本でもコレラの大流行が契機となって、1900年に下水道法が制定され、下水道の整備が徐々に進みました。ヨーロッパでも、18世紀から19世紀の大都市で下水道の整備が進み、さらに19世紀後半に入ってからは汚水の処理技術が開発され、下水処理が行われるようになりました。
自然の浄化機能に任せていた水質の浄化は、上水道の発達 ・普及に伴う水利用の増加によって大量に発生するようになった排水が起こすさまざまな問題を解決する必要性に迫られます。発生する排水は量が増え、汚濁負荷も格段に高くなったのです。短時間のうちに効率的に処理するために、薬品を投入して固形物を沈殿させたり、微生物の接触を増大させる装置などが用いられる、近代的な下水処理技術が発達しました。こうした技術は、今日では世界各国で広く普及しています。
一方、下水道の整備されていない地域もまだ多く残っています。こうした地域では、集約的な処理ができませんが、浄化槽を設置して衛生面の配慮や環境への負荷軽減を図るなどの対応がとられています。

問題は解決していない

下水処理施設や浄化槽の整備によって、人間の排泄等による河川等水系への環境負荷は軽減されましたが、必ずしも万全なわけではありません。水の浄化のために投入する塩素と水中の有機物が化学反応を起こして発ガン性を示すトリハロメタンが発生する問題や、上流域の処理下水を合流した上水を使っている下流域の都市における水質悪化の問題など、さまざまな問題が生じています。
これら問題の解決には、技術の発展もさることながら、われわれ自身の活動によって汚水が発生していることをしっかりと認識することが大切といえます。水洗トイレの発達や下水道の整備は、清潔でさっぱりした生活の実現に大いに貢献したといえますが、逆に問題の所在を見えないところに押しやったともいえます。

発展

下水汚泥の処理

1日に240万トンも排出される下水汚泥

近代的な下水処理は、水中の汚濁物質を固形分として沈殿 ・分離して水を浄化しています。このため、大量の下水汚泥が発生することとなります。日本の下水道普及率は、平成10年度末で56%と先進国の中では低いものの、下水処理場から排出される下水汚泥の量は、1日当たり約240万トンと膨大な量にのぼります。
含水量99%の状態で排出される下水汚泥は、現状ではその大部分が、濃縮、微生物による消化、脱水などの行程を経て、汚泥焼却に適した流動床式焼却炉で焼却され、埋め立て処分されています。焼却によって生下水汚泥の約400分の1にまで濃縮されるものの、最終処分場の残余年数が逼迫している現在、焼却 ・埋立以外の処分方法が求められています。

進むリサイクル

下水汚泥は約7割が陸上 ・海上の埋立に用いられ、リサイクル率は3割程度でしかありません。脱水、乾燥や、コンポスト化処理をして、農地や公園緑地、街路樹などに施肥される緑農地利用の他、密閉した発酵槽の中で嫌気性微生物の作用によって発生するガスからメタンガスを取り出すエネルギー利用、焼却灰や溶融スラグを固化して建築資材やレンガを製造するなど建設資材としての利用等、リサイクルの用途も広がっています。

トイレットペーパーの使用とトイレ文化

使い捨てられるものにバージン素材を使うのはもったいない

トイレットペーパーは、通常、使用後には使い捨てられます。使い捨てられることがわかっている、消費の最終段階にある製品をバージン資源(木材パルプ)からつくるのは資源の無駄遣いであり、再生パルプ、それも他の用途には適さないものを使うべきだとの議論もあります。欧米では、わら半紙のようなごわごわの紙が置かれている場合も多いようです。
こうした背景もあって、古紙から再生したトイレットペーパーの普及は進んでいます。しかし、まだまだ白さや柔らかさに価値を見出す傾向が強く、省資源の観点よりも品質が重視されることが多いのが現状といえます。

トイレ文化の多様性

トイレに紙が置かれているのは常識かというと、世界の中では必ずしもそうではありません。むしろ、紙を使う国は世界の3分の1と、少数派に過ぎません。紙以外でお尻を拭く用具として使われているのは、水、小石、砂、葉っぱ、茎、樹皮、海草、海綿、雪など10数種類とバリエーションに富んでいます。

カラコルム山麓の循環型の生活

トレッキングとしても人気を集めるパキスタンのカラコルム山脈の麓の村では、1階が家畜小屋になっていて、人間は2階に住んでいます。2階の住居の端にトイレが設置してあって、ここから落とした糞便は階下の家畜が餌として食しています。家畜の肉や乳製品を食料とし、また糞は拾い集めて乾燥させて燃料にされています。

多様なトイレ文化と、環境への影響の差異

排泄という人間にとって根源的な行為も、地域が違うことでさまざまな多様性を示します。時代による変化も激しく、日本で現在使われているロール式のトイレットペーパーが主流になったのも、それほど遠い過去の話ではありません。歴史や文化について見ながら、排泄という行為やその産物を「水に流す」ことの影響について考察することが望まれます。

関連情報

関係省庁

下水道行政を所管するのは建設省都市局下水道部(http://www.moc.go.jp/)ですが、実際に下水道の建設や管理を担うのは地方公共団体です。また、農村部における排水処理施設の設置などを行う「農業集落排水事業」は、内容的には下水道行政と同様ですが、農林水産省構造改善局(http://www.maff.go.jp/)の所管で実施されています。他にも、厚生省生活衛生局水道環境部(http://www.mhw.go.jp)が、汚水処理施設である「し尿浄化槽」と「合併浄化槽」を所管し、さらに、環境省(http://www.env.go.jp)も、生活排水対策や排水規制などによって水系の水質保全を所管しています。

社団法人  日本下水道協会
〒100-0004  東京都千代田区大手町2-6-2(日本ビル1階)
TEL: 03-5200-0811(代)
FAX: 03-5200-0839(代)
http://www.alpha-web.ne.jp/jswa/
日本トイレ協会
毎年11月10日(イイトイレ)を「トイレの日」と定め、自治体との共催で「全国トイレシンポジウム」を開催するなど、総合的なトイレ環境の改善と、新しいトイレ文化の創出をめざして、各種団体 ・個人のネットワークにより活動している任意の団体。
http://www.toilet.or.jp/
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