一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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このゆびとまれ!エコキッズ

車とエネルギー

目的

  • 気づき:車は便利な交通手段だが、エネルギー消費や排気ガス問題などの負の要素も持つことを知る
  • 知識:さまざまなエネルギーを動力源とする交通手段があることと、それぞれがどのように環境負荷を与えているか理解する
  • 行動:時と場合に応じて、環境に配慮した交通手段を選択することができる

背景

自動車のない生活は考えられない

自動車は、現代社会において必要不可欠な存在となっています。大都市など公共交通が充実した地域以外での移動手段として、またいつでもどこへでも手軽に出かけられる便利な乗り物としてもはや自動車のない社会を想像することは難しくなっています。しかし、その一方で大気汚染や騒音 ・振動といった公害、道路建設に伴う自然破壊などの環境問題や、交通事故などの社会問題を引き起こす原因にもなっています。

エネルギー効率の悪い自動車

日本のCO2排出のほぼ2割が運輸部門から排出され、そのうち約9割が自動車(乗用車、トラック、バス)により排出されているという算出データがあります。輸送機関別の二酸化炭素排出原単位(1トンの荷物を1キロメートル運ぶときに排出される二酸化炭素量、単位はgC/トン・キロ)としては、営業用普通トラック48、営業用小型トラック180、自家用小型トラック599、鉄道6、内航海運10、航空402という値が、「地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議」資料として示されています。

一方、輸送機関別の輸送分担率は、昭和25年度に自動車が63.1%、鉄道が26.9%、内航海運10.1%、国内航空0%だったのが、昭和40年度にはそれぞれ83.8%、9.3%、6.9%、0.0%と鉄道が1桁台に落ち込み、さらに昭和57年度に自動車の分担率が90%を越え、平成7年度には90.6%、1.2%、8.3%、0.0%となっています(平成8年度版 陸運統計要覧より)。自動車による占有の状況と、鉄道のシェア縮小がともに著しく進んでいることが読みとれます。
なお、エネルギー資源の枯渇性等に関しては、「(2−1)電気のもとは?」で扱っています。

自動車は、大気汚染の発生源

また、自動車はNOxやSPMの主要な発生源でもあります。平成10年8月の川崎判決ではNO2が健康に与える影響について、また平成12年1月の尼崎判決ではSPMと健康被害との因果関係について認定されています。NOx、SPMとも環境基準の達成率は、近年横這いでなかなか改善していないのが現状です。

賢く使っていくことが肝要

規制の強化や技術開発による対策も今後進むことが予想されますが、代替手段も含めて賢く使っていくことが必要となります。利便性と環境に及ぼす影響という、自動車の持つ2面性について認識を促していくことが重要といえます。

発展

自動車に起因する諸問題への対策

自動車は現代社会にとって欠かせないものとなっているだけに、全くなくすのは困難な状況にあります。しかし、数を制限するなど制度面での対応や、使い方の工夫、技術開発による対策など、自動車由来の環境負荷や健康被害を減らすことは可能です。

制度面では、交通量の総量規制や特定地域への流入規制、排出規制の強化などがすでに実施されています。また、こうした制度を導入するための価値観は、使い方の工夫にも反映されます。個人としての工夫が社会的な価値観として合意が取れるようになれば、制度化されたり社会資本の整備が進むなど、支援 ・促進にもつながります。信号待ちなどでいったんエンジンを切ることで燃料の浪費や大気汚染物質棟の排出を減らす「アイドリングストップ」は、一部公共バスなどでニュートラル状態でクラッチを切ると自動的にエンジンが止まり、発車時にクラッチを踏み込むとエンジンがかかるように改良されたエンジンが導入されるなど、技術開発の革新と併せて公共交通での率先的な導入が図られています。また、特定の日に車を使わない「ノーカーデー」も自治体の公共車で制度化されていたり、車の所有を個人から複数世帯での共有に変更する「カーシェアリング」も社会実験として自治体と企業、市民の協力の下で事業化される例もみられる他、都市の周辺部に駐車して中心部の移動には公共交通等を使う「パーク&ライド」がさまざまに応用したかたちで各地に導入されるなど、個人の行動としての取り組みが発展して、社会システムとして整備される状況もできつつあるといえます。

技術的な対応としては、燃費向上や排出量の改善の他、ハイブリッドカーや電気自動車の開発 ・実用化などがあげられます。

東京都の「ディーゼル車NO!作戦」は、ディーゼル車による大気汚染の現状を改善するために、制度として都心部への流入規制や軽油優遇税制の是正などの提案や、排ガス浄化装置や代替車の開発など技術革新による早急な対策の強化、さらに事業者や市民に対する意識啓発など、総合的な提案や取り組みとして各方面の注目を集めています。

道路の問題

車が走るには、道路が必要となります。しかし、道路建設にはさまざまな問題が内包し、地域住民による反対運動が起こることもしばし起こります。

道路建設による直接的な自然破壊は、特に山岳地等の観光道路の建設などで顕著であり、スーパー林道や大規模林道の問題や、白神山地の青秋林道、第二東名高速道路の建設など、全国各地で多くの反対運動が起こってきました。

道路建設による直接的な自然破壊は、特に山岳地等の観光道路の建設などで顕著であり、スーパー林道や大規模林道の問題や、白神山地の青秋林道、第二東名高速道路の建設など、全国各地で多くの反対運動が起こってきました。

その他、道路建設にかかる予算が直接 ・間接に住民の生活 ・環境予算を圧迫し、また多額の負担を強いることや、国や都道府県の計画事業を上から押しつけ、地域の自治を阻害するといった議論もあります。

大局的な視点からの交通政策も必要ですが、地域を走る道路の問題は、地域の構成員である住民が地域社会のこととして捉えるべき問題といえます。

廃自動車の処理とリサイクル

日本の自動車保有台数は1996年時点で約6800万台に達しています。しかし、一方で年間500万台に及ぶ廃自動車が排出されています。

自動車には、鉄、アルミ、ガラス、プラスチック、ゴムなどさまざまな素材が使われています。普通自動車に使われている材料は重量で約1トン、部品数では2万点以上にもおよびます。自動車のリサイクルシステムはかなり高度に整備されているといえ、ほぼ100%が回収され、再生資源化率は約75%に達しています。しかし、再生されないシュレッダーダストは埋立処分されており、処分場の不足や処理費の高騰、有害物質の溶出などが問題となっています。約50万トンの産業廃棄物が不法投棄された「豊島問題」(香川県)では、主にシュレッダーダストが積み上げられ、地下水や海洋にどす黒い汚水が浸み出し、また汚染による風評によって地元の漁業にも影響が出るなど、大きな社会問題となっています。

廃自動車のリサイクルは、「再資源の利用の促進に関する法律(リサイクル法)」で第1種指定製品に指定されたこともあって、リサイクル率が大きく向上しました。同法では、設計段階で分解しやすい設計やリサイクルしやすい材料の選定などの事前評価を義務づけています。今後の課題としては、より一層のリサイクル率向上とあわせて、増加する路上放置自動車や豊島問題など不法投棄への対応があげられます。

関連情報

国土交通省
https://www.mlit.go.jp/
社団法人 全国通運連盟
〒101-0063 東京都千代田区神田淡路2-21 淡路町MHビル5F
TEL: 03-5296-1670(代)
JR電話: 057-5290
FAX: 03-5296-1673
http://www.t-renmei.or.jp/
ディーゼル車NO!作戦
東京都環境局自動車公害対策部ディーゼル車対策係
TEL: 03-5388-3497
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/vehicle/air_pollution/diesel/plan/bbs/log_051-100.html
財団法人 公害地域再生センター(あおぞら財団)
西淀川訴訟の和解金をもとに設立された法人で、被害の継承や地域再生に向けた啓発、提言などを行っています。
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1 三洋ビル4階
TEL: 06-6475-8885
FAX: 06-6478-5885
http://www.aozora.or.jp
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