一般財団法人環境イノベーション情報機構
このゆびとまれ!エコキッズ

服のはなし

目的

  • 気づき:不要になったものにも、「捨てる」という以外の選択肢があることに気づく
  • 知識:不要になったものの具体的な処理方法のさまざまについて知る
  • 行動:不要になったものの処理方法に配慮することができる

背景

本項のテーマは2つに整理できます。ひとつは、人間の基本的欲求である衣・食・住のうち、特に環境との関わりについて考えること、もうひとつは、不要になったものの処理の仕方について学ぶことです。

衣服のさまざまな機能

衣服の機能としては、変化の激しい自然環境から身を守る身体の保護機能がまずあげられます。強い日射しを避けたり、冷気から身を守ること、あるいは熱く焼けた/凍てついた冷たい地表から足裏を保護するといった、体温の調整装置・皮膚の保護膜・身体運動のサポーターなどの衣服の機能的な働きは、他の動物のように毛皮、鱗、あるいは羽毛などを持たない人間にとっては重要な意味を持つといえるでしょう。
さらに人間にとっての衣服はそれらだけに留まらず、装飾や象徴といった社会的な意味をも現します。これらは、機能性という面からはむしろ本来の目的を阻害するような特異な発展をとげる場合も多く見れらます。こうした衣服の形態や色彩は、時代や社会の変遷によって違いをみせますが、いずれにしろその時代に入手できた素材によってつくられていることだけは変わりがありません。

古布類の再生用途

近年の日本では、使い古した衣類を中心とした古布類が洋紙の原料として利用されていたことから、古紙と一緒に回収されていました。近頃あまり見かけなくなってしまったちり紙交換業者が「古新聞、古雑誌、ボロ切れなどございましたら、...」と街中を徘徊していたのも記憶に新しいところです。また現在でも、集団回収などのルートによってリサイクルされている地域は数多くあります。

年間100万トンもの古着・古布類が不要とされている

全国の家庭から毎年約100万トンが放出されているとされる古布類のうち、回収されリサイクルされている量は約20万トン程度と推定されています。多くは、ごみとして廃棄されているのが現状です。

視点

3Rの意味

集団回収による古着のリサイクル

地方自治体やPTA・自治会などによる集団回収等でリサイクルされている古着・古布類は、状態の良いものが主に輸出用の中古衣料として使われる以外は、大部分がウエスと呼ばれる工場用雑巾に再利用されるか、繊維状に解きほぐされて糸状に紡いだ反毛材料として軍手やカーペットの裏地、また熱や薬品等で処理して防音材や断熱材として利用されるフェルトなどに再生されています。
不要になった古着・古布を有効利用することは大切な環境保全行動といえます。しかし、さらに一歩進めるならば、他人に譲ったり、別の形に加工して生かす以前に、自分で使い続ける工夫をする方がより環境への負荷を軽減することができるといえます。

大量生産・大量消費・大量廃棄のライフスタイルでは、ごみが減らない

ごみ問題では、「3つのR(Reduce、Reuse、Recycle)」が重要な視点として指摘されていますが、これらのRは並列の関係ではなく、その順番に意味があるとされます。つまり、RecycleよりもReuseを、さらに最も優先されるのがReduceとなります。集団回収によるリユース・リサイクルに参加しても、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提としたライフスタイルを継続したままであれば、結果として廃棄物の総量はなかなか減りません。リサイクルやリユースは、それ自体が目的なのではなく、生産や消費を減らすことで廃棄を減らすという視点を踏まえて、そのための方法として捉えるべきだといえます。

エネルギーを投入して強引に回しているリサイクルの輪

人間の活動によるリサイクルやリユースは、自然界のサイクル(循環)とは異なり、大量のエネルギーを投入して、また多大な手間暇かけて成り立たせています。大量に排出される廃棄物を短時間のうちに効率よく処理するために、回収のコストや労力、あるいは再生のためのエネルギーをかけてリユースやリサイクルの輪を回すのでは、ときに廃棄する以上の環境負荷を与えることにもなります。エネルギー的には、再資源化するよりもそのままのかたちで使えるリユースの方が優先されるべきであり、それ以上に生産や消費そのもの、あるいは生産時の資源やエネルギーの使用を減らしたり、製品の寿命を延ばすといった、リデュースを優先することが重要といえます。

価値観の問題

冒頭にあげたように、衣服は他の生活必需品以上に人間の生活にとって欠くべからざる基本的なアイテムといえます。しかしその一方で、必要以上の機能性の追求や、ファッション性や飽きによって廃棄される「まだ十分に使える」状態の衣類など、「機能性や必要性」だけではない意味合いも併せ持つといえます。
どこまでが必要なもので、どこから先は過度の欲求によるものといえるでしょうか。持続可能な資源活用のあり方や、廃棄の抑制などを視野に入れて、自分自身の選択としてどこまでを許容していくか、考えていくことが大切です。これらの線引きは、社会としての、あるいはその人なりの価値観に基づくものといえます。では、他の誰でもないあなた自身の基準をどこに見出していけばよいでしょうか。
こうした個人の責任と自立した考え方を、子どもたちに対して育成・促進するような投げかけを工夫していくことが、持続可能な社会のあり方について論じる基盤として必要となってくるといえるでしょう。

発展

衣服の素材と生産による環境負荷

さまざまな衣服の素材

木綿や絹、羊毛などの天然素材から、アクリルやナイロン、ポリエステルなどの合成繊維まで、衣服の素材はさまざまあります。時代や地域に応じて、手に入る素材が使われていますが、それぞれの素材の特性と、衣服の機能やデザイン、生産性との関わり等、その素材が選ばれる理由があります。

当時の環境をどのように利用してきたか、またそれによる影響は?

時代や地域によって異なる素材やスタイルを取る衣服について調べることで、その時代や地域の特徴や人々の生活の様子を知ることができます。同じ素材でも、時代や地域が違えばその生産方法や使い方も変わってきます。このとき、単に過去にどんな服が着られていたのかといった歴史的事実の学習だけにとどめるのではなく、当時の人々がその時代の環境をどのように利用して衣服をつくっていたのか、それによって当時の環境に対してどのような影響があったか、そしてそうした歴史や文化は、現代ではどのように受け継がれているのかといった視点が重視されるべきだといえます。

綿花の栽培と、環境への視点

例えば、木綿は綿花を栽培して収穫しますが、近年の換金作物として利潤の最大化をめざした農業形態によって栽培されるものは、大量の農薬が投入されるなど環境負荷の非常に高いものとなっています。その背景には、衣料品が口に入るものではないこともあって、農産物であるよりも工業製品の生産という認識が強くなっていることが示唆されます。

このような認識の下で栽培される綿花は、種の段階で防虫剤が散布され、植えてからは除草剤や害虫駆除の農薬、発育促進のための化学肥料がまかれ、収穫時にも省力化や品質向上を目的に枯葉剤が使われるなど薬漬けの状態といえます。さらに、生地にされるときにも、糸切れを防ぐための化学糊や、化学染料、防縮加工剤、柔軟仕上げ剤などさまざまな薬剤が添加されて、加工されています。

これに対して、環境面や使用する人の健康面に配慮した木綿生産として、「オーガニックコットン」が提唱されています。オーガニックコットンは、化学薬剤によって栽培や生産の効率や量を調節するのではなく、植物本来の生長する力を大切にした栽培や加工方法を取ることとしています。

裂織やパッチワーク、キルトづくり

古布類は捨てる以外にも、人に無償/有償で譲ったり、ウエスの素材として再生産されるなど自分の手元から離れた上で活用される道と同時に、穴が開いたら修繕するなど自分で使い続ける方法もあります。修繕に関する技術講習や裂織・パッチワークやキルトづくりなどを実際に経験してみることは、知識としてだけでなく実際に自分にもできる技能の獲得にもつながります。

日本では、古来より裂織(サキオリ)の技術が発達してきています。まだ布が貴重だった時代に、そのままでは使えないほど着古して弱くなった布を裂いて細い紐にして、これを織物の横糸として織り込んで使っていました。これが「裂織」(または「ぼろ織り」)と呼ばれる技術です。このとき、ただ織り込むだけではなく、1本1本配色を考えながら織り上げたため、織った人の個性あふれる美しい横縞模様に仕上がりました。できた生地は丈夫で厚手で防寒に適し、北国の農民の労働着や、漁師の沖着物として利用されました。

一方、欧米では、パッチワークやキルトの技術が発展しています。これは、数世紀前からおこなわれており、現在でも自己表現のできる針仕事として愛好されています。そもそもは裂織と同様、必要に迫られて生まれた民衆工芸で、不要な古布で温かいベッドカバー等をつくることを目的としていましたが、現在ではむしろアートとして認識されるようになっています。

こうした技術をリサイクルの視点から捉え、現在に復活して活動している団体も多数あります。地域のリサイクルプラザなどで確認してみると情報が得られることでしょう。

関連情報

集団回収による古布類の回収について

各自治体のごみ/リサイクル担当課に問い合わせてみると地域の実施状況がわかるでしょう。自分の住んでいる自治体で回収を行っていない場合でも、自治会や学校など市民活動による回収や、近隣自治体による回収などの可能性もあります。

JFSA(日本ファイバーリサイクル連帯協議会)
回収した古着は、主にパキスタン等で中古衣料として販売し、その収益を現地の学校支援などに充てています。古着を捨ててしまわずにリサイクルに回すという生活見直しのきっかけとして捉えると同時に、途上国支援の具体的行動としての活動を行っています。詳しくは事務局まで問い合わせるようにして下さい。
TEL/FAX: 043-234-1206(木曜日定休)
ファイバー・リサイクル・ネットワーク
〒223-0017 横浜市南区宿町2-40 大和ビル101
TEL: 045-710-6507
FAX: 045-710-6508
https://www.fiber-recycle-nw.org/
フリーマーケット、ガレージセール
フリーマーケットは、市民が各家庭に眠っている不用品などをもち寄って販売するもので、公園などを会場に、多くの人が集まってにぎわいます。不用品を捨てずに必要とする人に安く販売することで、ごみの減量や資源の再利用に役立てるリサイクル運動として多くの地域で実施されています。同じような目的のものとしては、個人や家族で開催するガレージセールやガーデンセールなどもあります。
リサイクル運動市民の会(TEL: 03-3226-6800)などがフリーマーケットの運営や情報提供を行っている他、各自治体のごみ対策関連部局でも主催もしくは情報を持っていることが予想されます。
綿花の栽培
財団法人  日本綿業振興会では、綿製品PRの一環として、昭和48年より綿の種プレゼントを毎年2月〜3月いっぱいまで実施しています。返信用切手を貼った返信用封筒(送り先の宛名を書いてください)を同封して、下記宛に送付すれば、1袋(6〜7粒入り)が送られてきます。

〒541-0051 大阪中央区備後町2-5-8 綿業会館
一般財団法人 日本綿業振興会 「綿の種プレゼント係」
TEL: 06-6231-2665
FAX: 06-6231-4661
http://www.cotton.or.jp/
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