一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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エコチャレンジャー 環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

No.050

Issued: 2016.02.22

公益財団法人廃棄物・3R研究財団・田中勝理事長に聞く、廃棄物の適正処理と循環型社会形成への道筋

田中 勝(たなか・まさる)さん

実施日時:平成28年2月1日(月)13:30〜
ゲスト:田中 勝(たなか まさる)さん
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

  • 公益財団法人廃棄物・3R研究財団理事長。公立鳥取環境大学客員教授。
  • 1964年京都大学卒業。1970年米国ノースウェスタン大学大学院博士課程修了。米国ミシガン州立ウェインステイト大学助教授、厚生省国立公衆衛生院廃棄物工学部長、岡山大学教授、鳥取環境大学サステイナビリティ研究所長・特任教授を経て現職。大学発のベンチャー企業廃棄物工学研究所を2007年に設立。
  • また、東京都廃棄物審議会会長、東京たま広域資源循環組合技術委員長、有害・医療廃棄物研究会会長などに従事。元廃棄物学会会長、環境省中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会長。
  • 専門は廃棄物工学。著書に「新・廃棄物学入門」「医療廃棄物白書2007」「循環型社会への処方箋」「循環型社会評価手法の基礎知識」「戦略的廃棄物マネジメント」「ごみハンドブック」「アジア・太平洋地域における廃棄物処理(英文)」「ごみ収集―理論と実践」など多数。
目次
廃棄物分野の研究にかかわるようになったきっかけは、アメリカの大学院に留学したときにさかのぼる
野焼き同然の埋め立て処分から、より安全な焼却炉の導入がはじまった
ゴミを片づけることが生態系の破壊を防ぎ、ゴミの焼却量を減らしてリサイクル量を増やすことがCO2の排出を削減する
最終処分場の場合、廃止条件や跡地利用など、関連する多くの課題も視野に入れなければならない
廃棄物の処理は、関係者の多いことが特徴
ヨーロッパ諸国の廃棄物処理には、政策における合理性を感じる
日頃から廃棄物処理にきちんと対応できる人材を養成することの重要性を強く感じた

廃棄物分野の研究にかかわるようになったきっかけは、アメリカの大学院に留学したときにさかのぼる

大塚理事長(以下、大塚)―  エコチャレンジャーにお出ましいただきありがとうございます。
 田中さんは、廃棄物工学がご専門で、日米の大学・研究機関で教育研究者として、そしてベンチャー企業のトップとしても活躍され、現在は廃棄物・3R研究財団理事長をなされておられます。また、環境省中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会長などを歴任され、現在も東京都廃棄物審議会会長をお務めです。本日は、廃棄物の適正処理や循環型社会形成への道筋などについて、経験談を交えたお話を伺いたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 早速ですが、田中さんが廃棄物の研究を志されたきっかけの紹介からお話しいただけますでしょうか。

田中さん―  私が廃棄物分野の研究にかかわるようになったきっかけは、アメリカの大学院に留学したときにさかのぼります。奨学金を出してくれるという大学から、研究テーマに「大気環境」か「廃棄物」のどちらかを選ぶようにという指示を受けたのです。私は廃棄物分野を選びました。その理由ですが、地球上に人口が急増し人びとが豊かな生活を求めており、必然的に廃棄物がどんどん増え深刻な問題になるような予感がしたからです。

大塚―  その頃、アメリカの大学はどのような状況だったのですか。

田中さん―  私が留学したのは1965年です。入学したのは、イリノイ州のシカゴの北・エバンストンにあるノースウエスタン大学で、環境衛生工学分野を専攻したのです。この頃、アメリカでは廃棄物処理法がつくられ、まずは人材養成ということで、主だった大学に人材養成のための基金が提供され、大学院生を募集していたのです。当時、日本からアメリカに留学した学生は多かったのですが、この分野に進んだのは私だけでした。
 私は修士課程で、ゴミの収集の効率化というテーマで研究をはじめることになりました。

大塚―  どのようなアプローチで研究なさったのですか。

田中さん―  計画論に重点を置いていました。最初の研究は、シカゴ市のゴミ収集トラックのそれぞれが何時から何時まで収集したかを把握し、収集時間帯を考慮したゴミ収集頻度とゴミ回収量の関係を、コンピュータを使って解析したのです。

大塚―  そのような研究は、日本ではあまり手がつけられていなかったのですか。

田中さん―  そうですね。ごくわずかだったと思います。私も、関連する日本の資料を集めてみましたが、京都市におけるゴミ収集の論文と、当時の厚生省から出された廃棄物分野の報告書がいくつかあったくらいです。

大塚―  日本の高度経済成長期に、アメリカで長く研究されたわけですね。

田中さん―  ほぼ10年です。

ごみ総排出量と1人1日当たりゴミ排出量の推移(出典:『平成27年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』)
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野焼き同然の埋め立て処分から、より安全な焼却炉の導入がはじまった

大塚―  その後日本に帰られ、国立公衆衛生院(現・国立保健医療科学院)にお勤めになられたわけですが、日本で研究をはじめられた1970年代半ばには、廃棄物の質も量も大きく変わりつつあったのではないですか。

田中さん―  経済成長とともにGDPが上がり、それがもろに影響し、ゴミの発生量が急増していました。もっとも、GDPが上がったので廃棄物処理に使える予算も増えました。いわば、野焼き同然の埋め立て処分から、より安全な焼却炉の導入がはじまったのです。量より質が問題になったともいえます。
 1983年11月に、ダイオキシン問題が新聞で大きく取り上げられました。「ゴミ焼却炉から猛毒ダイオキシン排出」というような見出しだったと思います。大騒ぎになり、すべてのゴミ焼却炉が運転できなくなるという危機感をもちましたね。
 私はその2、3年前から、ダイオキシンに関する研究を手掛けていましたので、国立公衆衛生院の当時の鈴木武夫院長を座長に組織されたダイオキシン専門家会議に加わりました。強く印象に残っているのは、小さなリスクほど大きく報道されるということです。というのは、超微量のダイオキシンがすぐに健康上の問題を引き起こさないにもかかわらず、新聞に大きく報道され恐れられ大問題になったのです。私たちは、実態調査、リスクマネジメント、適正処理に係る技術開発などの研究に着手しました。その中心になったのがこの財団(廃棄物・3R研究財団)で、当時は廃棄物研究財団という名前でした。

大塚―  田中さんがダイオキシンに着目されたのは、大きな問題になる2、3年前だったのですね。

田中さん―  1983年より前から、ダイオキシンの問題が海外の文献で取り上げられていました。たとえば、イタリアのミラノで焼却炉の建設が止まった理由として、ダイオキシンの問題が関連づけて指摘されています。
 私は、ダイオキシンは将来大きな問題になるかもしれないと感じました。公害関連の予算を使って、まずダイオキシンとはどういうものかについて、化学分析の専門家と共同して取り組みました。また、疫学の専門家や廃棄物焼却の専門家とも共同研究を行い、半年くらいでレポートを出したこともあります。今思うと、そのおかげでなんとか対応できたのです。

大塚―  先見の明があったのですね。

田中さん―  その頃、産官学の共同研究チームをつくったことが大きかったと思います。一般廃棄物の処理ですので、市町村の協力・支援は不可欠でした。研究面で特筆されるのは、焼却炉の建設や運転を行っていた民間企業の現場を利用し、ダイオキシンが発生する条件や、発生を抑制する条件について、燃焼温度や滞留時間などのパラメータを変えデータを蓄積できたことです。この成果に基づき、1990年に『ダイオキシン類発生防止等ガイドライン』、さらに1997年にその新ガイドラインがつくられたのです。
 この時のダイオキシン対策チームは、規模が大きかったにもかかわらずチームワークがよく取れていました。

ゴミを片づけることが生態系の破壊を防ぎ、ゴミの焼却量を減らしてリサイクル量を増やすことがCO2の排出を削減する

大塚―  田中さんは、2000年に国立公衆衛生院を退任され、岡山大学、そして鳥取環境大学で教育と研究をつづけられました。その頃に書きとめられた内容を中心に、昨年『ごみは宝の山』というご著書を出版されています。その冒頭で、地球規模での環境の3大危機として「地球温暖化の危機」「資源浪費による危機」「生態系の危機」をあげておられるのが印象的です。

田中さん―  我が国の「21世紀環境立国戦略」【1】でも強調されているように、世界共通の目標は持続可能な社会をつくることです。そのためには「循環型社会」「自然共生社会」「低炭素社会」でなければなりませんが、その根底に位置するのが資源循環型社会の構築であり、廃棄物の適正処理がその鍵を握っているのです。分かりやすい例をあげれば、ゴミを片づけることが生態系の破壊を防ぎますし、ゴミの焼却量を減らしリサイクル量を増やすことがCO2の排出を削減するのです。

持続可能な社会に向けた総合的な取組(出典:『21世紀環境立国戦略』(H19.6.1閣議決定))
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循環型社会のイメージ図(出典:『平成26年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』)
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大塚―  廃棄物処理の重要性はよく分かります。

田中さん―  私はよく、廃棄物分野の仕事に従事している方々にPDMが大事だよと申してきました。最初のPは、仕事に『誇り』(PRIDE)をもってもらいたいからです。次のDは、廃棄物の仕事が社会から尊敬されることを『夢』(DREAM)と表現しています。最後のMは、廃棄物問題を解決することを自分たちの『使命』(MISSION)にしてほしいということです。

大塚―  田中さんが研究をはじめられた頃に比べると、廃棄物の捉え方やその処理への認識が大きく変わってきたように感じています。

田中さん―  昔は、「汚い・きつい・危険な」仕事ということで、3Kという表現もよくされましたよね。ご指摘のとおり、廃棄物や資源循環に対する理解が大きく変わりましたが、私は廃棄物にかかわっている方々を励まそうと今でも「PDMが大事だよ」と申していますし、廃棄物に限らずどの分野でもPDMが大事だと言いたいのです。

最終処分場の場合、廃止条件や跡地利用など、関連する多くの課題も視野に入れなければならない

大塚―  公益財団法人廃棄物・3R研究財団は、廃棄物研究のパイオニアともいえる存在ですが、最近の財団の活動をとおして、現在どのような問題が重要になっているかをご紹介いただけますか。

田中さん―  この財団は平成元年に設立されたのですが、先ほど申しあげたように、最初は廃棄物研究財団という名前でした。今や、廃棄物問題の解決には廃棄物の適正処理に加え3Rの推進が不可欠になっており、財団もこの両輪で活動を進めています。最近の研究の特徴は、災害廃棄物に関連したテーマやエネルギー問題と関係するテーマが増えていることです。たとえば、エネルギー回収の高度化というテーマでは、廃棄物を発電に用いることなどに取り組んでいます。また、廃棄物の最後の砦ともいえる最終処分場に関係して、災害廃棄物の最終処分場や仮置き場、さらには仮設の焼却場の設置に活用するなども、重要な検討テーマになっています。

大塚―  技術的な開発だけでなく、検討すべき多くの課題があるのですね。

田中さん―  どのテーマでも計画つくりが重要なのですが、たとえば最終処分場の場合ですと、最終処分場を廃止する条件ですとか、あるいは跡地利用ですとか、関連する多くの課題も視野に入れなければなりません。

大塚―  今お話が出た災害廃棄物にかかわることですが、東日本大震災で出た廃棄物の処理はどのような状況になっているのでしょうか。

田中さん―  災害廃棄物は発生から3年以内に処理するのが基本です。実際、東日本大震災の廃棄物の多くは片づいたと思います。しかし、福島第一原発の事故で漏れ出した放射性物質に汚染された廃棄物が、現在も大きな問題になっています。
 1キログラムあたり8000ベクレル(Bq)を超える廃棄物が指定廃棄物とよばれますが、指定廃棄物が解決を困難にしています。廃棄物そのものが嫌われる上に、放射性というリスクが上乗せされているので、処理について住民の方から理解を得るのがなかなかむずかしいのです。

財団年次報告会(H27.9.10)

財団年次報告会(H27.9.10)

災害廃棄物(出典:環境省災害廃棄物処理情報サイト)

災害廃棄物(出典:環境省災害廃棄物処理情報サイト)

平成25年度ごみ焼発電施設数と発電能力(出典:『平成27年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』)
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廃棄物の処理は、関係者の多いことが特徴

大塚―  災害廃棄物処理の鍵となる1つが、住民の理解あるいは住民との合意形成なのですね。

田中さん―  そうです。廃棄物の処理は、災害廃棄物に限られるわけではありませんが、関係者の多いことが特徴です。生産者、消費者である住民、処理業者など多岐にわたります。これらの関係者が連携し、モノの生産から最終的な処理までを適切に管理することが大事で、ライフサイクル・アプローチ【2】とよばれる考え方で対応する必要があるのです。
 私たちの財団は、行政、生産者、消費者、あるいは研究者など、さまざまな立場の人たちのネットワークを活用し、ライフサイクル・アプローチに基づく問題解決を目指しているのです。

大塚―  多くの関係者の中の「消費者である住民」には、どのようなことを期待されていますか。

田中さん―  一般の住民の方にお願いしたいのは、可燃ゴミと資源ゴミを分ける分別をしっかりしていただきたいことです。
 また、自治体や子ども会などの呼びかけで行われる、ペットボトルや新聞・雑誌の集団回収などにも参加していただきたいと思います。一人ひとりの行動が合わさると、ゴミ問題の解決にとどまらず、資源を大切にする、あるいは環境を大切にするというマインドが醸成されるからです。モノを大切にすることは人を大切にすることにつながり、平和な社会につながるだろうと思っています。

ヨーロッパ諸国の廃棄物処理には、政策における合理性を感じる

大塚―  少し話題を変え、廃棄物処理にみられる諸外国の特徴などについて、日本と比較しながらご紹介いただきたいと思います。

田中さん―  地域によっても異なりますが、アメリカでは経済面が重視され廃棄物の合理的な処理がなされています。廃棄物の種類により必要な処理費を詳細に検討するなど、経済合理性に徹する傾向が強くみられます。それに対して、日本には金額を重視しない風潮があります。結果として、リサイクルのための経費がかかりすぎるとか、資源を無駄にするリサイクルが起きることもあるように感じています。私は、解析したデータを広く公表し、合理的な判断をするほうがいいと思うことがありますね。
 ヨーロッパ諸国は、廃棄物処理に対し原則ともいえる考え方を強くもっていると思います。よく知られているのは、OECD(経済協力開発機構)が1972年に勧告を出したPPP【3】とよばれる「汚染者負担原則」です。OECDはEPR【4】とよばれる「拡大生産者責任」も提唱しており、ヨーロッパで広く受け入られています。資源の保全のためにリサイクルを推進するのが眼目ですが、自国の国益も強く意識しており、たとえば外国からの輸入品のリサイクルに対する責任を生産国に取らせることもあります。また、イギリスなどでも広く行われているPFI【5】では、公共施設にかかる経費負担に民間の資金や技術・知恵を最大限に活用しており、政策における合理性を感じます。
 このように、欧米諸国で行われている廃棄物処理には日本が参考にすべきことがあると感じます。また、日本では各自治体がゴミ処理などを域内で完結しようとして、施設の稼働率を低下させるケースがあることも気になっています。

大塚―  改善を期待したいと思います。

日頃から廃棄物処理にきちんと対応できる人材を養成することの重要性を強く感じた

大塚―  ところで、開発途上国についてはいかがでしょう。最近は、アジア諸国などへの支援も増えているようですが。

田中さん―  そうですね。今でも開発途上国は、水銀廃棄物やPCB【6】という人の健康に危険な廃棄物の処理に十分な予算を回せず、野焼き状態の不衛生な処理がなされているのが現状です。水銀廃棄物を例にとっても、日本で開発した技術を用いて処理レベルを高める余地がたくさんあると思います。そのために、何よりも大事なのが人材養成への支援でしょう。もう1つ大事なのは、ソフト面というか、3Rの推進、すなわち廃棄物の量を減らす、そしてリユースやリサイクルを増やすことへの支援です。3Rの推進は、高度な技術や多額の資金を使わなくても可能だからです。

アジア生産性機構「3Rに関する研修事業」(H26年7月)

アジア生産性機構「3Rに関する研修事業」(H26年7月)

アジア生産性機構「3Rに関する研修事業」(H26年7月)

大塚―  最後になりますが、EICネットをご覧になっておられる方々に、田中さんからのメッセージをいただきたいと思います。

田中さん―  先ほど申し上げた、東日本大震災からの復興・復旧にかかわった経験からお話しします。当研究財団は、政府による災害廃棄物対策指針の作成をお手伝いしたのですが、私が強く感じたのは、日頃から廃棄物処理にきちんと対応できる人材を養成することの重要性です。申し上げたいのは、災害廃棄物への対応のスペシャリストを養成するのではなく、多様な問題を解決する能力をもつ人材を養成すべきということです。というのも、何十年に1回起きるか起きないかの災害廃棄物だけに特化するのではなく、さまざまな廃棄物を処理する能力を高め継承することが有効であり、そのためには日頃からの準備が必要と確信したのです。
 日頃から廃棄物の処理に前向きに取り組むという視点は、先ほど申し上げた、モノを大切にする、環境を大切にする、そして同時に人を大切にすることにつながると考えています。その先に、皆で社会にいいことをしましょうというマインドが、平和で望ましい社会つくりの基盤にもなると思うのです。

大塚―  田中さんから、廃棄物をめぐるさまざまな見方や考え方とともに、廃棄物問題の解決には日頃からの地道な努力が大事なこと、その先に暮らしやすく平和な社会を目指そうというお考えを伺うことができました。本日はありがとうございました。

公益財団法人廃棄物・3R研究財団理事長の田中勝さん(右)と、一般財団法人環境イノベーション情報機構理事長の大塚柳太郎(左)。

公益財団法人廃棄物・3R研究財団理事長の田中勝さん(右)と、一般財団法人環境イノベーション情報機構理事長の大塚柳太郎(左)。


注釈

【1】21世紀環境立国戦略
 平成19年6月1日に、中央環境審議会の提言を踏まえ閣議決定された国家戦略で、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会つくりを統合的に進め、地球環境の危機を克服する持続可能な社会つくりを目指している。
【2】ライフサイクル・アプローチ(Life cycle approach)
 製品やサービスを最初から最後までを一貫したサイクルと捉えることで、サイクル全体としてできるだけ環境への影響を小さくすることを目指している。
【3】PPP(Polluter-pays principle;汚染者負担原則)
 OECD(経済協力開発機構)が1972年に採択した「環境政策の国際経済的側面に関する指導原則」に含まれる考え方。当初は汚染者にすべての損害費用を支払わせるという意味で「汚染者支払原則」とよばれたが、日本などで公害原因企業の汚染回復責任・被害者救済責任に力点が移されたのにともない、「汚染者負担原則」とよばれることが一般化した。
【4】EPR(Extended producer responsibility;拡大生産者責任)
 OECD(経済協力開発機構)が提唱した考え方で、製品の製造者および輸入業者が製品のライフサイクルの最初から最後までにわたり、環境に及ぼす影響を最小にするよう応分の責任を負うこと。1991年のドイツの包装廃棄物政令がEPRの最初の実践例にあたる。日本では、容器包装・家電・自動車などの廃棄物処理やリサイクルに関する法律に適用されている。
【5】PFI(Private finance initiative)
 公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法。
【6】PCB(Polychlorinated biphenyl;ポリ塩化ビフェニル)
 PCBには10種類の化学式があり、置換塩素の位置によって209の異性体が存在する。脂肪に溶けやすい性質から、慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し、発癌性をはじめ多くの症状を引き起こすことが知られている。PCBの中で、コプラナーPCB類がきわめて強い毒性を示す。
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