一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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No.083

Issued: 2018.11.19

農研機構 中央農業研究センター 虫・鳥害研究領域長の後藤千枝さんに聞く、農作物の虫害対策における生物農薬のこれまでの成果

後藤 千枝(ごとう ちえ)さん

実施日時:平成30年10月19日(金)11時〜
ゲスト:後藤 千枝(ごとう ちえ)さん
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター 虫・鳥獣害研究領域 領域長。
  • 1982年 北海道大学農学部農業生物学科卒。農学博士。
  • チョウ目を始めとする害虫の多様な病原微生物の研究からバキュロウイルスの遺伝子構造の解析へと進み、さらにウイルス利用によるヤガ類の防除技術の開発研究に取り組んできた。近年は、土着天敵の利用技術開発、薬剤抵抗性管理、SIP新たな植物保護、有機農業などの研究プロジェクトの取りまとめ役を務め、持続型農業を推進する作物保護システムの構築をめざしている。
目次
害虫による加害箇所は、商品の品質を左右する重要なポイント
化学農薬による病害虫の薬剤抵抗性が問題になり、薬剤以外の対策が必要になってきた
微生物農薬は培養して作れるし、製剤化すれば一般的な化学農薬と同じように長く使える
ウイルス製剤は幼虫に感染させて増やし、農薬と同じように畑に散布すると、食べた害虫が病気になって死ぬ
有機農業で栽培する作物の何割かは害虫に食べられて失われることを前提にしているように、どこまでのレベルを求めるかによって判断していく必要がある
天敵が現場で働くための能力の維持や向上のための技術的なサポートに力を入れている
単独では解決しないことが多いし、1つのものに頼っていると弊害が出てくることもある

害虫による加害箇所は、商品の品質を左右する重要なポイント

大塚理事長(以下、大塚)― 本日は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構・中央農業研究センターで長年にわたり農作物の虫害と昆虫病原微生物の研究に携わられ、現在は虫・鳥獣害研究領域の領域長をされておられる後藤千枝さんにお出ましいただきました。農作物の病虫害対策は、私たちの食の安全にも持続的な農業生産にも深く関係し、とくに近年開発が進んでいる生物農薬には大きな期待が寄せられています。
早速ですが、農作物の病虫害にはどのような種類があり、対処する際のポイントとその特徴などとも関連づけてご紹介ください。

後藤さん― 病害虫とまとめて言うことが多いのですが、専門家は、虫害と病害に分けて仕事をしており、私は虫害の方が専門ですので、今日は虫害を中心にお話をさせていただきます。
虫害の場合でも、さまざまな分け方があります。1つは、どこを加害する害虫かによって分けるやり方です。作物であれば、地下部には根がありますし、茎もあれば、葉っぱもあって、花や実もあります。特に農業被害を考える時には、商品になる部分を加害するのかそうでないのかによって、その害虫の重要性が変わってきますから、どこをアタックする害虫なのかは非常に重要です。
もう1つ重要なのは、害虫の口の形状です。食べることで被害を及ぼすことがほとんどですから、ストローみたいな口で刺して汁を吸うのか、それともムシャムシャとかじって食べるのかといったことが、大事な特徴と言えると思います。

大塚― そのような特徴が対処法にも関係するということですね。

後藤さん― そうですね。例えば、地上部を加害するものだったら、農薬をかけるなど目に見えるところで対処できますが、土の中になってしまうと見えませんから、土の中に入れて効く薬をあらかじめ処方したり、あるいは接ぎ木など根っこの部分に抵抗性のあるものを使ったりします。

害虫の例。モンシロチョウの幼虫はいわゆる青虫。加害部位は葉で、咀嚼性害虫の一種(加害は幼虫ステージのみ)。

同じく害虫のマメコガネは、幼虫期に根を食べ、成虫になると葉を食べる。


化学農薬による病害虫の薬剤抵抗性が問題になり、薬剤以外の対策が必要になってきた

大塚― 虫害を予防するうえで、後藤さんたちのグループで大事にしている観点にはどのようなことがありますか。

後藤さん― 特に施設栽培の害虫に対しては、「入れない」「増やさない」「出さない」という標語のような言い方で、農家の方々にお願いしています。自分の畑に入ってこないようにする、入った場合でも増やさないようにする、もし自分の畑に入った場合はよそに出さないことで、被害の拡大を食い止めましょうというのが、今非常に大事なポイントだと考えています。

大塚― こうした虫害等の防除に使われるのが「生物農薬」、後藤さんたちの研究テーマです。具体的な話も後ほど伺いたいと思いますが、「農薬」というと、どうしても化学農薬のイメージが強くなります。日本で化学農薬が広く使われるようになったのはそれほど古くなく、戦後、1950年代ぐらいからだと言われています。一方、農業は昔から行われていたわけですから、それ以前に農業の現場でとられてきた病虫害対策もあったと思うのですが、その辺りについてお話しいただけますか。

後藤さん― あまり積極的な対応はできていなかったというのが正直なところだと思います。それまでの経験に基づいて、害虫が出る時期を避けて栽培をする、あるいは害虫が出やすいところには作物を植えないといった適地適作ともいえる考え方でしのいでいたように思います。
積極的な例をあげれば、日本には稲の代表的な害虫にウンカという吸汁害虫がいますが、ウンカ対策として、被害が大きくなる時期に、田んぼに鯨油を撒いて薄っすらと油の膜を作っておき、そこに虫を払い落とすようにしていました。落ちた虫は、体表にある気門(呼吸をする器官の開口部)が油で塞がれて死んでしまうのです。

大塚― 1950年代以降、産業の変革が進み、農業の分野でも化学農薬が使われるなど大きな転換期を迎えたと思います。後藤さんの立場からは、日本の農業の変化をどのように捉えておられますか。
また、こうした中で生物農薬などが使われるようになったのには、その必要性というかきっかけがあったと思いますが、いかがですか。

後藤さん― 機械化と農薬(化学農薬)の使用によって、農業の生産性がものすごく上がったことが大きかったと思います。かつては、それこそ病害虫によって飢饉になってしまうこともあったのですから。人が作業にかける労力も大きく変わったと思います。
ただ、初期の農薬は結構きついものが多くて、皆殺し的に作用してしまうものでした。過去に使われた農薬については、害虫以外の生物への作用はあまり考慮されないまま、害虫への効き目だけで開発されてきたものがあったと思います。そのため、農家の方が農薬を散布した後に体調が悪くなることも当時はあったのです。
農薬の害が深刻になって――レイチェル・カーソン【1】の『沈黙の春』という有名な本がありましたよね――、農薬一辺倒ではいけない、別の手段を開発しようということで、私たち研究者は取り組んできました。その研究テーマの中に、私が研究していた病原微生物があり、天敵の昆虫の利用もその対象だったのです。

大塚― 研究者にとっては、まさに新たなテーマへのチャレンジだったのですね。

後藤さん― 1980年代、ちょうど私が就職した頃には、「カブリダニ」【2】など、天敵の研究が大学でも始まっていました。その頃、病害虫の薬剤抵抗性が問題になっていたこともあり、薬剤以外の対策が必要になってきた、そんな研究の流れがあったと思います。
その後、科学も発達して、人々の価値観も変わってきました。農薬に関する制度も整備され、非常に改善されたと考えています。化学農薬も使用方法をきちんと守っていれば、環境への影響も抑えられると考えてよいのではないかと今は思っています。

微生物農薬は培養して作れるし、製剤化すれば一般的な化学農薬と同じように長く使える

天敵昆虫を使う例として、寄生蜂がある。ヤガの卵に寄生するタマゴコバチの成虫。

アブラムシの天敵アブラバチの成虫。左下はアブラムシのコロニー。左中ほどと右下にある膨らんだ薄茶色のものはアブラバチに寄生されて外観が変わってしまったアブラムシで、この状態になったものをマミー(ミイラのこと)と呼ぶ。


ウイルス製剤は幼虫に感染させて増やし、農薬と同じように畑に散布すると、食べた害虫が病気になって死ぬ

大塚― ウイルスを使った生物農薬についても、いくつか具体例をご紹介いただけますか。

後藤さん― 私自身はなかなか商品化までできなかったのですが、多くの研究者が努力された中で、チャハマキやチャノコカクモンハマキというガの幼虫に対しウイルス病を使ったウイルス製剤が日本で実用化され、生物農薬として使われています。チャハマキやチャノコカクモンハマキは、茶を食い荒らす害虫で、ウイルス製剤は、鹿児島などの茶の産地で広く使われています。
また、海外の例で言うと、コドリンガというリンゴの害虫のガがいます。日本には入ってきていませんが、ヨーロッパやアメリカで大きな問題になっています。日本の場合、リンゴの有機栽培は非常に難しいとされています。それに対し、海外では有機リンゴ農家が比較的多く、その場合のリンゴ栽培に欠かせないと言われているのが、このコドリンガのウイルス製剤です。

大塚― 防除の仕組みはどうなっているのですか。

後藤さん― このウイルスは、ガの幼虫に感染します。ウイルスをつくる時には、幼虫に感染させて増やすのです。そして、製剤にしてから、農薬と同じようにリンゴ園に散布すると、それを食べた害虫が病気になり死ぬわけです。

大塚― 害虫が直接食べるというのはわかりやすいですね。ところで、幼虫は食べたがるというか、積極的に食べるのですか。

後藤さん― 葉っぱに付くので、知らずにウイルスもいっしょに食べることになります。コドリンガの場合、幼虫は食べてから数日で感染して死んでしまうことが多いのです。

大塚― チャハマキやチャノコカクモンハマキも、同じように幼虫が食べるのですね。生物農薬には、このようなタイプのものが多いのでしょうか。

後藤さん― そうですね。先ほどバクテリアが作る毒素についてお話ししましたが、これも口から入って腸で効くものです。ただし、糸状菌――カビですね――の場合は、カビの胞子が飛んでいって、虫の体に付いて発芽しますので、体表面に付いて効くことになります。

ドイツで使用されているコドリンガ顆粒病ウイルス製剤。顆粒病ウイルス【3】は、顕微鏡で観察可能なサイズのタンパク質の塊にウイルス粒子が包み込まれて生産されるため、土の中では数年間活性が維持される。

糸状菌病に感染して死亡したガの幼虫。体全体が菌糸で覆われ、周囲には胞子が粉のように飛び散っている。


有機農業で栽培する作物の何割かは害虫に食べられて失われることを前提にしているように、どこまでのレベルを求めるかによって判断していく必要がある

大塚― どのウイルスがどの害虫に作用するか、その関係性というのは、科学的に解明されているのでしょうか。

後藤さん― 感染実験をして、どの範囲の虫まで感染するかについては詳しく調べられています。これを「宿主域」と言います。生物農薬の長所でもあり、短所でもあるのですが、病原微生物、特にウイルスというのは感染できる相手がすごく限られています。ですから、特定の害虫には効果的でも、他の虫には全く効かないということになります。作物には何種類もの虫が発生しますから、化学農薬に比較すると効果は限定的にならざるを得ません。

大塚― 生物農薬の研究がこれから発展していくと、ほとんどの農作物に対応できるようになっていくとも思えるのですが、後藤さんはどうお考えですか。

後藤さん― 生物農薬だけですべてを解決するのはやはり難しいと思いますね。
害虫の防除は、作物の品質や収量、その安定性を目指しているわけですから、どこまで求めるかによって、どのような対処が適切か決まってきます。例えば、有機栽培をやっている農家さんの場合、栽培しているうちの何割かは害虫に食べられて失われることを前提にされていると思うのです。それと同じように、どこまでのレベルを求めるかによって、生物農薬だけでいけるのか、あるいは他の技術も導入してミックスして対処するのかを判断していく必要があると思います。

大塚― わかりました。見方を変え、生物農薬が目指すところはどこにあると言えるのでしょうか。

後藤さん― 先ほどもお話ししたように、今、生物農薬が受け入れられている背景の1つに、薬剤抵抗性の害虫が多発していることがあげられます。化学農薬だけでは抑えきれなくなっているところで、生物農薬が求められているのです。
例えば、イチゴの生産地では、ハダニが問題になっています。ハダニというのは、薬剤抵抗性が非常に発達しやすい害虫なので、化学農薬だけでは防除し切れず、天敵であるカブリダニを生物農薬として導入しています。つまり、化学農薬で抑え切れずに困っている部分を、生物農薬で置き換えていく、あるいは、生物農薬が補助していくといった使い方が現実的なところかと思います。

大塚― 農業に従事されている方が虫害で困っているときに、研究者が努力して新たな解決策を見つけていくというような関係なのでしょうか。

後藤さん― そうですね。生物には必ず天敵がいますから。ただ、使いやすい天敵かそうでない天敵かという問題はあります。

大塚― 具体的には、どういうことが問題なのですか。

後藤さん― ずいぶん以前から、さまざまな天敵動物や天敵微生物が研究されてきましたが、現場である農家が導入する際に重視される販売価格に強く関わる要因である生産コストや使いやすさが大きなハードルになってきました。
生物農薬は「生もの」ですから、手に入れてすぐ使うのが一番よいわけですが、使うタイミングが難しい場合があります。それで、あらかじめ圃場に仕込んでおいたり、あるいは長く居着けるようにしたりと、研究者もいろいろと工夫するわけです。
例えばカブリダニでは、さまざまな製剤が開発されてきましたが、最も基本的なタイプは、増やしたカブリダニをバーミキュライトのような緩衝材といっしょにボトルに詰めた状態で販売されています。それを作物の上にふりかけて使うのです。それに対して、新たに開発された製剤は、ティーバッグの袋のようなものに入っています。袋の中にはカブリダニの餌になるものも入っています。比喩的に表現すれば、お弁当付きで畑に連れていき、そこから出動してもらうのです。その後、さらに技術革新を進め、袋を耐水性素材で包んだり、水分が保持できるようなポリマーを入れたりして、カブリダニが長く居着けるようにした資材も開発されました。使い勝手に優れ効果を安定させているのです。


天敵の働きを助ける資材として、耐水性素材のシェルター【4】が開発されている。
湿度調節のための吸水性ポリマーを入れることによって、天敵の定着性や放出性の向上が期待できる。


天敵が現場で働くための能力の維持や向上のための技術的なサポートに力を入れている

害虫をエサとして食べる捕食者タイプの生物農薬の一種、タバコカスミカメ。コナジラミやアザミウマの主要な天敵であるタバコカスミカメを導入して生息数を増やせば、害虫が発生しにくくなる。

大塚― 生産コストがネックの1つになっているとのことですが、どういうコストが大きいのですか。

後藤さん― 例えば、ウイルス製剤の場合、生きているホスト──防除したい害虫のことです──を使って増やすのですが、飼育するための場所と人手が必要になります。餌も確保しなくてはなりません。害虫を食べる捕食性の天敵の場合、もし生エサ(害虫)で飼い続けようとすれば、手間もコストも大きくなります。最近では、コスト削減のため生エサに代わる人工飼料の開発が進められています。

大塚― そのような技術開発も、研究所で実施されているのですか。

後藤さん― 今、さまざまな開発プロジェクトを天敵メーカーの企業さんと組んで実施しています。コスト削減については、私たちの研究所より、企業さんがいろいろと努力されています。

大塚― 言い換えると、後藤さんたちの研究は、ウイルス学などに基づく専門性の高い内容ということでしょうか。

後藤さん― 私たちの機関では多くの研究をしており、企業さんとの共同プロジェクトでは、現場の使い勝手の改善を担っている場合もあります。例えば、作物がどのくらい生長したタイミングで投入すると効果的かという研究もしています。また、天敵生物も生きていますから、定着するために適した植物があり、害虫がいないときにはその花粉や蜜などを食べることもあるのです。つまり、天敵生物が好む植物を圃場の中に植えることで、天敵の働きを助けられるわけです。このような植物を、天敵温存植物と呼んでいますが、そういった研究にも私たちは力を入れています。
まとめると、メーカーさんが天敵を増やし、コストダウンを図るための努力をされているのに対して、私たちは天敵が現場で働くための能力の維持や向上のための技術的なサポートに力を入れていると言えます。

大塚― 実験室の研究も欠かせないものの、現場での仕事が大事ということですね。

後藤さん― そうですね。やはり現場で使ってもらえる技術が重要です。実証試験ということで、農家さんにお邪魔して、技術を導入してどのくらい使えるかを試すのは必須ですね。



タバコカスミカメの天敵温存植物となるクレオメとバーベナ。
圃場内の日当たりのよい場所に植栽すると、栽培期間を通して天敵を温存できる【5】


大塚― 現在開発中の研究についても、ご紹介いただけますか。

後藤さん― もうほぼ完成に近づいているのですが、複数の害虫に対応ができるシステムづくりに取り組んでいます。閉鎖環境に近い状態の施設栽培が主な対象になりますが、その中で天敵をはじめとする資材を組み合わせて入れて使う仕組みです。例えば、いわゆる植物工場を含む施設栽培の現場で、トマトとイチゴの2つの作物を対象に、実際に使える技術に仕上がってきています。

大塚― 期待しています。

単独では解決しないことが多いし、1つのものに頼っていると弊害が出てくることもある

大塚― 最後になりますが、生物農薬の研究開発をなされていて考えることなど、後藤さんからEICネットの読者にメッセージをいただければと思います。

後藤さん― 私たちの研究は、“生きているものの力を上手く結集して”というのが1つのキーワードかなと思っています。1つ1つの技術は、例えば今回お話しした生物農薬もそうですが、単独では解決しないことが多くありますし、1つのものに頼っていると弊害が出てくることもありますから、複数の技術をうまく組み合わせて使っていくというのが、これからの農業で大事になってくると思います。

大塚― 私たちに対して、こういう部分をもっと理解してほしいということはありますか。

後藤さん― 意外に知られていない生き物同士の関係など、私たちが研究しているような小さな生き物にもっと関心をもっていただき、それらの生き物にちょっと目を向けて観察してみてほしいですね。植物でも昆虫でも、生き物の姿を観察すると、非常に興味深い世界が広がっているのがわかると思います。

大塚― 現場に応用するための技術が大事なことはもちろんですが、生物の世界のおもしろさを背景に研究を進めてられていると感じました。後藤さんたちの研究テーマはますます重要になるわけで、これからの研究成果に期待しております。本日はどうもありがとうございました。

農研機構中央農業研究センター 虫・鳥害研究領域長の後藤千枝さん(右)と、一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長の大塚柳太郎(左)。


【1】レイチェル・カーソン(Rachel L. Carson)(1907.5.27-1964.4.14)
アメリカ人で、ジョンズ・ホプキンス大学で修士号を取得し、アメリカ連邦政府の漁業局(後に、魚類野生生物局)に勤務し、自然保護に関するエッセイや単行本を数多く執筆した。特に、1962年に雑誌『ニューヨーカー』に掲載され同年に単行本としても刊行された『沈黙の春(Silent Spring)』で、DDTなどの合成化学物質の危険性を指摘したことが、政治家などを含む多くの人びとに環境問題への関心を呼び起こし、環境保護運動が盛り上がる引き金になった。
【2】カブリダニ
ダニ目のカブリダニ科に属する。植物に棲むものが多く、主としてハダニを捕食することからハダニの天敵として知られる。天敵農薬として以前から利用されているものとして、ミヤコカブリダニ、チリカブリダニがあるが、近年は、コナジラミやアザミウマなどの微小昆虫を捕食するスワルスキーカブリダニの利用が増えている。
【3】顆粒性ウイルス(Granulovirus: GV)
顆粒性ウイルス属は、核多角体ウイルス(Nucleopolyhedrovirus: NPV)属とともに、バキュロウイルス科というDNAウイルスの1つの科を形成している。バキュロウイルスは、チョウなどの節足動物に感染し、宿主特異性が高く宿主に対する致死作用が強い一方で、他の動物には安全なので生物農薬に適している。
【4】耐水性素材のシェルター
農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業 (実用技術開発ステージ・現場ニーズ対応型、26070C)の成果。
【5】タバコカスミカメの天敵温存植物となるクレオメとバーベナ
内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代農林水産業創造技術」(管理法人農研機構生研支援センター)で研究を実施中。
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