一般財団法人環境イノベーション情報機構
急激に進む米国エネルギー革命2050 【第6回】コネクテッドホームとエネルギーのデジタル化
■ライブ配信 ■アーカイブ配信(開催日の3日以降)
【講師】
クリーンエネルギー研究所 代表
阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏
【開催趣旨】
米国におけるCOVID-19の感染拡大は収束の気配がなかなか見えないが、11月の大統領選挙に向かってエネルギー問題を含めた国の政策に関する議論が活発化してきている。4年前の大統領選挙では、石炭州が動向を握ったが、この4年間での石炭産業の衰退は明らかでありトランプも石炭産業を集票には使えない状況となっている。
米国にとって「エネルギー政策」が「国家安全保障上の問題」であるのは事実であるが、エネルギー自給率がほぼ100%になった米国にとっては、「新産業の創出」「安全安心」「次世代に何を残すか」がより多く語られるようになったように感じる。
連邦政府と州政府のねじれ構造や、化石燃料に依存する産業構造等の問題はあるが、エネルギー政策は連邦政府よりも州政府が主導しており、先進州を中心にクリーンエネルギーへのムーブメントは大きくなっている。
「エネルギーインフラを再構築する」という意識は、地方自治体政府や民間企業での共通認識となっており、SDGsやダイベストメントの流れは日々強くなっている。これは、再エネ発電100%を宣言した州が全米で15州に達し、160以上の自治体がパリ協定遵守を宣言していることからもわかる。
日本ではわかりづらいこれらの流れを認識することは、「周回遅れ」と言われる日本にとって非常に大事である。
米国に30年近く居住し、これらの流れをつぶさに見てきた講師が実施した「5回シリーズ」は幸い多くの方に参加いただいたが、「エネルギーのデジタル化」と「人工知能のエネルギーへの適用」という最新のトピックスを追加でお送りする。
【重点講義内容】
エジソン・テスラから始まった電力システムは、130年を経て、今大きな変革期を迎えようとしている。自由化、再エネ化、双方向化、デジタル化、AI制御、ベースロード無し等が急速に進み、これまで100年をかけて構築してきた電力インフラを構築し直さなければいけなくなってきている。
特に、電力を、エネルギー量であるkWhで判断するだけでなく、それが持つ別な価値を生み出し、その価値を多面的に活用することで新しい産業を生み出そうとしている。
このセミナーでは、米国で急速に進むコネクテッドホームとエネルギーのデジタル化を、豊富な実例を交えながら多方面から検証し、日本のエネルギー業界は今後どうあるべきかを考えたい。
1.エネルギー分野で今問題になっていること
(1)米国では再エネ100%を目指す州が15州
(2)分散電源の急速な発展
(3)グリッドエッジという考え方
(4)ベースロードという考え方はなくなる
(5)ハワイとカリフォルニアの状況
2.エネルギーのデジタル化の本質
(1)エネルギーはゼロサム、その中で何が出来るか
(2)kWhを超える価値はどこにあるのか
(3)価値の変化はサービスの変化
(4)データのガバナンス
3.先行して市場を抑えようとするプラットフォーマー
(1)アマゾン
(2)グーグルAlphabet
(3)マイクロソフト
(4)ITRON
(5)CISCO
(6)INTEL
4.コネクテッドホームの詳細
(1)IoTの家庭内への急速な進展と人工知能
(2)熱の管理
(3)ブロックチェーン
(4)デマンドレスポンス
(5)人工知能を用いた家庭の電力消費の解析
(6)スマートインバーター
(7)スマートサーモスタット
5.日本はこの流れの中で何をすべきか
6.質疑応答
【講師プロフィール】
シリコンバレー在住の著名コンサルタント。米国のクリーンエネルギーと、日本のビジネスへの影響にフォーカスしたコンサルタント会社の代表をつとめる。シリコンバレーを中心に、エネルギー問題の定点観測を長期間行い、今後の動向と日本企業の対応についてのきわめて明解なビジョンを持つ。専門分野は、エネルギー貯蔵、発送電分離、デマンドレスポンス、分散電源、太陽光発電、水素発電、電気自動車、等。
日本の大手エネルギー企業、日本政府機関、大学等のアドバイザーを多数務める。
シリコンバレーに20年以上在住。日立(日本と米国)にて17年間最先端の半導体の開発に携わったあと、そのビジネス経験や物性の知識を活用すべくエネルギー分野に。
「日経エネルギーNext」に「シリコンバレー発、電力Biz」を連載中
【登録日】2020.08.12