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イベント情報カリフォルニア州で急増する大型エネルギー貯蔵施設とテスラのエネルギービジネス

カリフォルニア州で急増する大型エネルギー貯蔵施設とテスラのエネルギービジネス

【カテゴリ】 エネルギー その他(エネルギー)

【開催日】2022.05.16

【開催地】東京都


■会場受講 ■ライブ配信

【講師】
クリーンエネルギー研究所 代表
阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏

【重点講義内容】
カリフォルニア州は、2050年のパリ協定遵守に向かって、全セクターでの脱炭素化が急速に進んでおり、これは全米にとっての先進モデルとなっている。発電セクターでの再エネ発電比率は順調に伸びており、「2030年の再エネ発電比率60%」に向かってまっしぐらに進んでいる。2022年現在でも、日によっては、短時間ではあるが80%以上が再エネ電力になる。
反面、変動の大きい再エネ発電比率が増えることと、ベースロードがなくなることによる問題点も出始めており、その準備・対策が果たして間に合うのか不安も多く、講師は、これを「2030年問題」と呼んでいる。カリフォルニア州政府は、色々な施策で乗り越えようとしているが、現時点では「大型のエネルギー貯蔵装置による力による抑え込み」が主な対策となっている。2013年に制定された州法(AB2514)による、大手電力会社への1.3GWの設置の義務化を契機に、エネルギー貯蔵事業者と電力会社間の新規契約が一気に増加しており、準備・設置・テスト期間を経て、2020年から急速にオンラインになり始め、2021年末には累計で4GWとなった(分散型を含む)。
2022年2月に州政府によって承認されたプランでは、2030年までの大型ソーラー施設増設14GWに対して、大型エネルギー貯蔵も同量の14GWを増設するという破格の計画になっている。カリフォルニア州の春・秋のピークは30GW程度なので、その巨大さが分かるであろう。通常のピークならバッテリーで半分を賄うことができる。
これに伴い、エネルギー貯蔵装置は、これまでの主な活躍の場であった「アンシラリーサービス市場」から、今後は「エネルギー市場」そのものに移って行くことになる。「変動吸収(長中短期)は、エネルギー市場のリソースで賄う」というこれまでのカリフォルニア州の方針を、さらに一歩進めることになるが、これは大きな実験でもある。
運輸セクターに目を向けると、2021年のカリフォルニア州の新車販売台数に占めるBEV(バッテリー電気自動車)販売シェアは、驚異の9.5%となった(全米では3.4%、日本は1%前後)。カリフォルニア州では2035年にガソリン車の販売が禁止されるが、このペースで進むと、意外にすんなりと「Late Majority(34%)」まではEV化が進むかもしれない(Laggards(16%)はICEに拘り続けると思う)。
EVメーカーとして有名なテスラは、EVに留まらずに、定置型エネルギー貯蔵装置、太陽光発電施設、マイクログリッド、家庭向け冷暖房装置、エネルギーマネージメントシステム等への積極進出と、「自前での垂直統合」を目指している。特に定置型エネルギー貯蔵装置(分散型と大型の両方)では大きなシェアを誇る。これは、EVで用いるバッテリーセルとの共通利用を最初から考えているだけではなく、エネルギービジネスの理解と、今後あるべき世界観に向けた地道な努力の賜物でもある。これらのビジネスモデルは「諸刃の剣」的なところはあるが、今のところイーロンマスクはうまく乗り切っている。
米国(シリコンバレー)に30年以上居住し、エネルギービジネスとテスラの動向をつぶさに見てきた講師が、最新のトピックスを交えながら、大型エネルギー貯蔵装置の動向と、テスラのエネルギービジネスの現状と今後の動向をお伝えする。

1.背景
 (1)脱炭素に向けたエネルギー革命
 (2)バイデン政権の目標
 (3)カリフォルニア州の目標
2.カリフォルニア州の大型エネルギー貯蔵
 (1)2032年までの再エネとエネルギー貯蔵の目標
 (2)エネルギー貯蔵事業者・系統運用者・電力会社にとっての経済性
 (3)大型エネルギー貯蔵施設の有効活用に向けた制度設計
 (4)アンシラリーサービス市場とエネルギー市場の使い分け
 (5)再エネ併設型と単独設置型の使い分け
 (6)続く火災事故
3.テスラのエネルギービジネス
 (1)ビジネス向けと家庭向けエネルギー貯蔵で大きなシェアを持つも、供給が追いつかない
 (2)カリフォルニア州で稼働が始まった巨大なエネルギー貯蔵施設
 (3)エネルギーを貯めるだけでなくどう活用するかがポイント
 (4)バッテリー自社製造にいよいよ乗り出す
 (5)新しいフォームファクター4680セルの量産化と低価格化が鍵
 (6)ギガファクトリーの動向
 (7)パナソニックと中国との協業モデル
4.質疑応答/名刺交換

※プログラムは最新状況に応じて変更する場合があります

【講師】
阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏
シリコンバレー在住の著名コンサルタント。米国のクリーンエネルギーと、日本のビジネスへの影響にフォーカスしたコンサルタント会社の代表をつとめる。シリコンバレーを中心に、エネルギー問題の定点観測を長期間行い、今後の動向と日本企業の対応についてのきわめて明解なビジョンを持つ。専門分野は、エネルギー貯蔵、発送電分離、デマンドレスポンス、分散電源、太陽光発電、水素発電、電気自動車、等。
日本の大手エネルギー企業、日本政府機関、大学等のアドバイザーを多数務める。
シリコンバレーに30年以上在住。日立(日本と米国)にて17年間最先端の半導体の開発に携わったあと、そのビジネス経験や物性の知識を活用すべくエネルギー分野に。
ホームページhttp://www.technology4terra.org
「日経エネルギーNext」に「シリコンバレー発、電力Biz」を連載中
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/112900154/113000002/
※近著:【「脱炭素化」はとまらない!-カリフォルニアとハワイの場合-】
https://www.amazon.co.jp/dp/4425985214

【登録日】2022.03.02

登録者情報

【登録日】 2022.03.02

【登録者】新社会システム総合研究所

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