一般財団法人環境イノベーション情報機構
バイオプラスチックの最新の市場・開発動向および今後の展望 〜生分解の現状、MBBP、PHBH、ポリ乳酸の特性と応用〜
第1部 生分解性プラスチックの現状・市場動向と今後の展望
【11:00-12:15】
講師:人見 清貴 氏(元デュポン(株) 先端技術研究所)
【講演主旨】
欧州、米国では汎用プラスチックの規制が一層強化される一方で、「生分解性プラスチック」の市場は拡大し続けている。この潮流は日本にも波及し、同様の規制が施行され始めている。背景には、プラスチックによる深刻な海洋汚染の問題が存在する。欧州、米国を追いかけるように「生分解性プラスチック」は、日本においてもその特徴である「ゴミにならないプラスチック」として注目を集めつつある。この講演では各国で拡大する生分解性プラスチック市場ならびにその基礎について、また日本を含むアジアで、欧州や米国とは異なる独特の成長を見せる市場について採り上げ、さらに商品開発のヒント、今後の展望を予測する。
【キーワード】
海洋汚染,SDGs,プラスチック規制,生分解性プラスチック,農業用マルチフィルム,グリーンプラ,バイオプラスチック,バイオマスプラ
【講演ポイント】
生分解性プラスチックが注目を集める理由やその背景、生分解性プラスチックの基礎から製品開発のヒント、どんな市場が拡大しているのかや、なぜ環境にメリットがあるとされるのか、生分解性プラスチック全般についての理解が得られる。
【習得できる知識】
・生分解性プラスチックの基礎
・知っておきたい生分解のメカニズム
・生分解性プラスチックの市場動向
・世界における生分解性プラスチックの市場動向と法規制
上記の点について詳しく理解できる。
【プログラム】
1.なぜ今、生分解性プラスチックが注目されているのか?
1-1 各国の汎用プラスチックの規制から見えてくるもの
2.生分解とは何か?
2-1 生分解とは何か
2-2 生分解性プラスチックの分解ステップ
2-3 分解速度とガラス転移点の関係
3.生分解性プラスチックの認証制度
3-1 日本での生分解性プラスチックの認証制度
3-2 海外での認証制度
4.生分解性プラスチックにはどんなものがあるのか?
4-1 日本で上市されている生分解性プラスチックの種類と特徴
4-2 注目される中国製の生分解性プラスチックの種類と特徴
4-3 酸化型生分解性プラスチックの問題点
5.生分解性プラスチックの成形課題と改善のポイント
5-1 吸湿と乾燥のコントロール
5-2 強度と分解速度の関係
5-3 ポリマーブレンド技術
6.生分解性プラスチックの市場動向
6-1 生分解性プラスチック製品の市場
6-2 生分解性プラスチック製品の課題
6-3 生分解性農業用マルチフィルムについて
6-4 グリーンプラ登録製品から読み取るトレンド
6-5 生分解性プラスチック製品の新たな展開
6-6 今後の展望
【質疑応答】
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第2部 海洋生分解機能を志向したバイオプラスチックの開発と社会実装に向けた取り組み
【13:00-14:15】
講師:大阪大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 教授 博士(工学) 宇山 浩 氏
【講演主旨】
廃プラスチックが社会問題化したことを契機に生分解性プラスチックへの関心が高まっている。また、地球温暖化防止、循環型社会構築に貢献するバイオマスプラスチックの普及も社会的に重要視されている。本講演では生分解性バイオマスプラスチックの開発動向と将来展望を述べる。特に演者が最近に取組んでいるデンプン含有プラスチックの社会普及に向けた産学連携活動を紹介する。加えて廃プラスチック・マイクロプラスチックによる海洋汚染を契機とする海洋生分解に関する現状を概説する。
【キーワード】
海洋生分解性プラスチック、脂肪族ポリエステル、SDGs、ポリマーブレンド、デンプン
【講演ポイント】
デンプンは汎用プラスチックより安価なバイオマス資源であり、熱可塑性デンプンペレットは生分解性向上や脱・減プラスチックへの貢献から、環境調和を訴求できる有力な環境調和材料として有望であり、これらの特性を紹介する。
【習得できる知識】
生分解性プラスチックの基礎知識と課題
海洋生分解性プラスチックの開発動向
デンプン含有プラスチックの基礎知識と開発動向
【プログラム】
1.環境に優しいプラスチックとは
2.バイオプラスチック(生分解性プラとバイオマスプラ)の基礎
2-1 バイオプラスチックの定義、概要
2-2 バイオプラスチックの用途例
3.海洋生分解性バイオマスプラスチック(MBBP)
3-1 多糖類の基礎
3-2 多糖類複合材料の合成と生分解性
3-3 デンプン熱可塑化とブレンドポリマーの実用化例
3-4 MBBP開発プラットフォーム
4.プラスチックによる海洋汚染
4-1 マクロプラスチックとマイクロプラスチック
4-2 プラスチックの海洋汚染の現状
4-3 環境問題に対する国際的な取組み
【質疑応答】
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第3部 環境配慮プラスチックについて
〜ポリ乳酸樹脂の特性と応用例、バイオマス・リサイクルプラの紹介も〜
【14:30-15:45】
講師:ユニチカ(株) 樹脂事業部 機能樹脂営業部長 工学博士 上田 一恵 氏
【著作】
環境配慮プラスチック関係多数
【講演主旨】
環境に配慮したプラスチックのニーズが高まっています。環境に配慮と言っても、バイオマス原料使用、生分解性、リサイクル、マスバランス方式など、多くの種類があります。それぞれの環境負荷は、なかなか比較することは難しいのですが、使えるところから少しずつ使うことが大切だと考えています。本講座ではそれらの特徴に言及しながら、代表的なプラスチックとしてポリ乳酸、共重合ポリエステル、耐熱ポリアミドなどの特性と実用化の紹介を行います。
【キーワード】
バイオマスプラスチック 生分解性プラスチック リサイクル
【講演ポイント】
環境配慮プラスチックには様々なものが提唱されているが、一長一短があり、どれが本命というものではない。それぞれの良い点を最大限活用し少しでも環境にやさしいプラスチックをどのように利用していくかの一助にしてほしい。
【習得できる知識】
環境配慮プラスチックの全体像と進んでいる実用例
【プログラム】
1.会社紹介 〜ユニチカ樹脂事業の紹介
2.環境配慮プラスチックの分類と開発動向
・バイオマスと生分解
・リサイクル(マテリアル・ケミカル)
・マスバランス方式
3.ポリ乳酸
3-1 ポリ乳酸の特徴と市場展開
3-2 ポリ乳酸の改質技術
4.共重合ポリエステル(バイオマス、リサイクル)
5.バイオマス耐熱ポリアミド
6.まとめ
【質疑応答】
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第4部 カネカ生分解性ポリマーGreen Planetの開発
【16:00-17:15】
講師:(株)カネカ Green Planet推進部 Green Planet Global Planning & Marketing グループ 企画チームリーダー 福田 竜司 氏
【講演主旨】
プラスチックは、日常生活で幅広く利用されていますが、不適正な処理により環境中に放出された製品による海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題との関連も指摘され、国際的な課題となっています。このような関心の高まりを背景に、G20大阪サミットで「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有化され、2050 年のカーボンニュートラル社会の実現に向けた取組として、バイオプラスチック導入ロードマップが策定され、バイオプラスチックへの関心が高まっています。バイオプラスチックは、植物由来原料からなるバイオマスプラスチックと微生物によりCO2と水にまで分解される生分解性プラスチックの総称です。当社は植物由来で、土中、海水中などの環境下で生分解するカネカ生分解性ポリマーGreen Planetの開発を通じ、課題解決への貢献を目指しています。Green Planetの特徴を紹介するとともに、環境循環型社会構築に向けて取り組んでいる環境省委託の廃食用油を原料とするGreen Planetを用いたライフサイクル実証事業の概要を紹介します。
【キーワード】
1.生分解性プラスチック
2.バイオプラスチック
3.PHBH
4.海洋プラスチックごみ問題
5.海洋生分解性
【講演ポイント】
海洋プラスチックごみ問題を背景とするプラスチック廃棄物を取り巻く環境とバイオプラスチック概要を解説するとともに、海洋生分解性を有するカネカ生分解性ポリマーGreen Planetを紹介します。
【習得できる知識】
バイオプラスチックの概要
生分解性ポリマーの特徴
【プログラム】
1.プラスチックを取り巻く環境
2.バイオプラスチックとは
3.微生物産生型カネカ生分解性ポリマーGreen planet
4.カネカ生分解性ポリマーGreen planetの生分解性
5.カネカ生分解性ポリマーGreen planetの開発状況
6.まとめ
【質疑応答】
【登録日】2021.11.26