一般財団法人環境イノベーション情報機構
「小規模分散型エネルギーキャンペーン」 2009年4月-10月開催
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「小規模分散型エネルギーキャンペーン」 2009年4月-10月開催
関連URL:http://www.apex-ngo.org/campaign.html
主催:特定非営利活動法人APEX(Asian People's Exchange)
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今年は、温暖化を防止し、地球環境を保全していく上できわめて重要な年で、年末には京都議定書の次の枠組みを定めるCOP15(気候変動枠組条約第15回締約国会議)が開催されることはご存じのとおりです。これまで温暖化防止には消極的だったアメリカも、オバマ大統領の下で積極姿勢に転じました。私たちも、自分たちに何ができるかを考え、行動を起こす時ではないでしょうか。
エネルギー供給の面では、再生可能な自然エネルギーを用いた小規模分散型エネルギー供給を、多様にかつ広範に普及させていくことが不可欠と考えられます。APEXではかねてより、再生可能エネルギーのひとつであるバイオマスエネルギーに着目し、アジア地域で広く適用可能なバイオマスのエネルギー利用技術の開発に努めてきました。今年はいよいよ実用化に向けて一歩踏み出す段階となりましたが、それを機に、この春から秋にかけて、小規模分散型エネルギーについて考え、その普及を促進するための一連の企画を集中的に行なうこととなりました。いずれも、ご関心のある方はどなたでも参加いただけるものですので、ふるってお出かけ下さい。
【企画概要】
■APEXセミナー■
APEXセミナーでは、キャンペーン期間中、今後の望ましいエネルギー供給のあり方にかかわるテーマを集中してとりあげます。
4-10月開催、会場:東京都内
○6月7日(日)14:30-16:30
「適正技術とバイオマスエネルギー開発(仮題)」APEX代表理事 田中直
○低炭素社会の形成にかかわる西岡秀三さん(国立環境研究所特別客員研究員)の講演(予定)
○太陽電池・風力等の小規模分散型エネルギーの普及にかかわる活動を行なっているNGO、企業関係者、研究者等の講演 他
■「開発とNGO」研究会 シリーズ《環境・エコロジーの古典を読む》■
キャンペーン期間に合わせて、シリーズ「環境・エコロジーの古典を読む」を開催します。これまでの環境・エコロジーをめぐる思考の底流を形成してきた文献に学びながら、今日の環境問題を掘り下げ、その本質的な緩和・解決の方向を探ろうとするものです。
○第1回 4月12日(日)14:00-17:00
(テキスト)リン・ホワイト Jr. 『現在の生態学的危機の歴史的根源』、
(「機械と神-生態学的危機の歴史的根源」所収、青木靖三訳、みすず書房 1999年)
○第2回 5月10日(日)14:00-17:00
(テキスト)レイチェル・カーソン 『沈黙の春』、青樹築一訳、新潮社 1987年 (新潮文庫、 1974年)
副読本:石牟礼道子『苦海浄土』、講談社 1969年(『苦海浄土-わが水俣病』 講談社文庫 1972年)
○第3回 5月31日(日)14:00-17:00
(テキスト)デニス・メドウズ他『成長の限界』、大来佐武郎監訳、ダイヤモンド社1972年
副読本:ドネラ・H・メドウズ他 『成長の限界、人類の選択』、枝廣淳子訳、ダイヤモンド社 2005年
(以降、毎月1回開催)
■スタディツアー■
APEXの再生可能エネルギー関連プロジェクトの現場等を訪ねて回るスタディーツアーを行います。今後のアジア地域の望ましい発展にかかわるひとつのモデルを形成していこうとする試みを、是非実地にご覧下さい。
〈実施時期〉2009年8月下旬(予定)
〈コース〉東京-(インドネシア)バリ島-フローレス島-ジョクジャカルタ-ジャカルタ-東京、8泊9日
〈内容〉ジャトロファの複合的利用による環境保全型地域開発事業の見学、苗木づくり・収穫作業、地元住民との交流(フローレス)、バイオマスエネルギー実証プラント、コミュニティ排水処理プラント等の見学(ジョクジャカルタ)
■国際会議■
インドネシアは、熱帯性の気候と広大な国土に恵まれ、バイオマスエネルギー等の自然エネルギーを用いた持続可能な発展をなしとげていく可能性を持っていますが、まだそれらのエネルギーはごく一部しか利用されていません。そこで、バイオマスマスエネルギーの普及・推進を担おうとする人々のセクター横断的な参加を得て、情報を共有し、課題を明らかにして、バイオマスエネルギー利用の促進をはかる国際会議を開催する計画です。
実施時期: 2009年10月開催(予定)
場所: インドネシア ジョクジャカルタ
※キャンペーン、各種イベントの詳細は、ウェブサイトをご覧下さい。
http://www.apex-ngo.org/campaign.html
【お申し込み/お問い合せ先】
特定非営利活動法人APEX (担当:三木)
TEL:03-3875-9286 FAX:03-3875-9306
〒110-0003 東京都台東区根岸1-5-12井上ビル
E-mail:tokyo-office@apex-ngo.org
URL:http://www.apex-ngo.org/
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キャンペーンの趣旨
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■小規模分散型エネルギーへの転換を
これまでのエネルギー供給のあり方は、再生不可能な化石資源を用いた、大規模集中型のものが中心でした。しかし、そのようなあり方は、環境面ならびに資源面で限界につきあたっているばかりでなく、資源をめぐる争いや、権力の集中、貧富の格差など、社会に何かと緊張やアンバランスをもたらしてきたのではないでしょうか。今こそ、再生可能な自然エネルギーを用いた、小規模分散型エネルギー供給への転換が求められていると思われます。自然エネルギーは、その由来である太陽エネルギーが、広く薄く降り注いでいることからも、小規模で分散型のエネルギー源となる技術的根拠をもっていま
すが、そのようなエネルギー供給のあり方は、環境の観点からも社会的観点からも、さまざまな好ましい影響をもたらすと考えられます。
■環境に負担をかけません
バイオマス、太陽光、風力などの自然エネルギーによれば、二酸化炭素等の温室効果ガスを増大させることなくエネルギーを供給することができますので、それらのエネルギーへの転換を進めることは、省エネルギーとともに地球温暖化防止の決め手となることはいうまでもありません。また、自然エネルギーは、それぞれの地域の自然条件の中で生み出されてくるエネルギーであることから、地域の生態系の循環に無理なくなじみやすいものであるといえます。
■地域の自立性を高めます
近年のグローバル化の進展により、広域的・国際的なモノ・ヒト・カネ・情報の流通が飛躍的に拡大してきました。しかし、昨年来の経済危機でも如実に示されているように、地域間の相互依存性が高まることは、ひとたびそのシステムを揺るがす問題が起これば、その波をまともにかぶることにもつながります。もとより地域間の流通・交流を否定するものではありませんが、少なくともエネルギー・食糧・水などの基本的ニーズについては、それぞれの地域の自立性を高めていくことが、私たちの暮らし・生き方の自立と安定の上からも重要なのではないでしょうか。
■富の公平な分配を促し、雇用を生み出します
大規模集中型のエネルギー供給は、多額の投資と巨大技術を必要とするがゆえに、限られた人々に支配され、利潤動機により運営される場合が多いものです。一方、地域に根ざした小規模分散型のエネルギー供給は、住民の参加とコントロールのもとに展開しやすく、地域のニーズに沿ったエネルギー供給と、人々への公平な富の分配、雇用の創出を実現しやすいといえます。
■資源をめぐる緊張を緩和します
これまでの地域・民族・国家間の紛争は、石油など地域的に偏在する資源の利権獲得にかかわる緊張関係を、その重大な要因として含んでいる場合が少なくありません。地上に遍く降り注ぐ太陽エネルギーを由来とする自然エネルギーを普及させていくことは、そのような緊張を緩和していくことからも望ましいものです。
■都市と農村のバランスを取り戻します
都市には人口が過剰に集中して、インフラ、公害、犯罪等のさまざまな都市問題が生じ、農村は豊かな自然を持ちながら過疎化して荒廃する、という構図は、多くの国・地域で共通して見られる現象です。それぞれの地域で自前のエネルギーが調達されることは、地域の生活・産業基盤を整備していくことになり、都市と農村のバランスを取り戻すことにもつながります。
【登録日】2009.04.20