一般財団法人環境イノベーション情報機構
作成日 | 2018.11.13 更新日 | 2018.11.14
TCRE
ティシーアールイー 【英】Transient Climate Response to Cumulative Carbon Emissions [略]TCRE [同義]累積炭素排出量に対する過渡的気候応答
解説
累積炭素排出量と気温上昇との定量的な対応関係のこと。IPCCの第5次評価報告書(2014)で新たな指標としてこの「累積炭素排出量に対する過渡的気候応答」が提示され、世界平均気温上昇が人為起源の二酸化炭素累積排出量にほぼ比例することが示された。そこでは、1000GtCの二酸化炭素排出量当り、0.8-2.5度の世界平均気温上昇の可能性が高いと見積もられている。
人為起源の二酸化炭素排出のみによって生じる昇温を1861-1880年に比べて高い可能性で2℃未満に抑えるには、全ての人為的発生源からの二酸化炭素の総排出量について、前述期間以降の累積収支を約1000PgCに抑える必要がある。この収支の約半分(445-585PgC)は2011年までに既に排出されている。予測されている二酸化炭素以外の強制力の温暖化効果、永久凍土またはメタンハイドレートから放出される可能性がある温室効果ガス、あるいは気温が2度未満にとどまる可能性をより高くする必要性を考慮すると、これらは全て収支がより小さくなることを示唆する。(2018年4月作成)
この解説に含まれる環境用語
この環境用語のカテゴリー
関連Webサイト
- 「気候変動(WG1)─炭素循環および累積炭素排出量に対する気候の過渡的応答」(環境情報科学43巻 (2014年) 3号):http://www.ceis.or.jp/search/entries/article/1/43/10249
- JCCCA講演「IPCC/WG1/AR5 『自然科学的根拠』について」:http://www.jccca.org/info/2013/ar5wg1_2.pdf
- IPCC気候変動2013自然科学的根拠要約(環境省):https://www.env.go.jp/council/06earth/y060-121/y060-121%EF%BC%8Fref03_2.pdf