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座礁資産 環境用語

作成日 | 2017.07.18  更新日 | 2017.07.19

座礁資産

ザショウシサン   【英】Stranded Asset  

解説

座礁資産とは、市場環境や社会環境の激変により、価値が大きく毀損する資産のこと。特に注目されているのは石炭、石油、天然ガスなど化石燃料資産。

現在、化石燃料は重要なエネルギー源として価値ある資産であるが、気候変動対応により二酸化炭素排出量削減をしなければならなくなると、エネルギー源として活用できなくなり、資産価値が大きく下がる。資産価値が減少すると、その資産を保有する企業は、財務会計上、資産価値の減損処理をしなければならず、企業の損益計算書と貸借対照表を大きく痛める。このように価値が大きく毀損する資産は「座礁資産」、英語で「Stranded Assets」と呼ばれる。座礁資産という言葉は、国際環境NGOのCarbon Tracker Initiativeが2011年に発表した報告書「Unburnable Carbon」の中で初めて提唱した概念であり、この報告書は、地球の年間平均気温の上昇を抑制するためには排出できるCO2の量に限りがあり、地中に埋蔵したまま使用できない化石燃料の価値を試算している。

世界の主要機関投資家の間では、石炭等の化石燃料を座礁資産と捉え、企業価値に影響を与えるリスクを評価し、気候変動のリスクを明示的に認識し、回収不能となる資産(座礁資産)となる化石燃料関連への投資の引き上げ(ダイベストメント)をする動きが拡大している。たとえばノルウェー公的年金基金は保有する石炭関連株式をすべて売却する方針を決定した。この中には日本の北海道電力や四国電力も含まれている。化石燃料資産を保有し続けることが、中長期的にもビジネスリスクの大きいものになっているとの認識が高まったからである。ダイベストメントの実施を宣言・公表しているのは、2015年12月現在で、43カ国以上の500機関、2024個人以上にのぼり、その資産規模は3兆4千億米ドル(400兆円以上)に達している。(2017年2月作成)

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