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諫早湾干拓 環境用語

作成日 | 2003.09.10  更新日 | 2011.07.01

諫早湾干拓

イサハヤワンカンタク   【英】Isahaya Bay Reclamation  

解説

諫早湾干拓事業は、有明海の西側に位置する長崎県諫早湾の湾奥部を潮受堤防で閉め切り、その内部に調整池と干拓地を造成する、いわゆる複式干拓事業で、洪水・高潮などに対する防災機能の強化と農地の造成を目的として1950年代から農林水産省が事業を進めてきた。事業の必要性に対する疑問と、干潟に生息するムツゴロウや渡来するシギ・チドリ類やカモ類等の自然環境に対する影響の懸念から、地元の自然保護団体等が反対運動を展開していたが、1997年、全長7kmに及ぶ潮受堤防が完成し、湾奥部の閉め切りが行われた。

その後、2000年に有明海の養殖のりが記録的な凶作となり、干拓事業が有明海の環境に与えた影響を巡って様々な議論が起ってきた。このため、農林水産省は2002年4月から5月にかけて試験的に水門を開いて環境影響を把握するための調査(短期開門調査)を行ったが、湾奥部の閉め切りが有明海の環境にどの程度の影響を与えているかを明らかにするまでには至らず、中・長期の開門調査は実施しないこととされた(2004年)。

こうしたなか、有明海沿岸の漁業者らは、有明海の環境変化とそれによる漁業被害は諫早湾干拓事業に主因があるとして、佐賀地方裁判所に国を提訴した(2002年)が、佐賀地方裁判所では認められたものの、福岡高等裁判所、最高裁判所では認められなかった。

しかし、差し止めと同時に提訴した、堤防撤去を求める訴訟では、2008年に正反対の司法判断が出された。第一審の佐賀地方裁判所では国に5年間の常時開門を国に命じ、2010年12月に福岡高等裁判所もこれを支持する判決を出した。これを受け、菅直人首相は、福岡高等裁判所の判決について上告を断念すると表明した。

地元商工団体、農業関係者はこれに猛反発し、長崎県など地元自治体も開門反対を訴えている。

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