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救命ボート倫理 環境用語

作成日 | 2003.09.12  更新日 | 2009.10.14

救命ボート倫理

キュウメイボートリンリ   【英】Life Boat Ethics  

解説

人間が共倒れにならず生き残るためには、環境や資源を保全する必要があり、そのためには、多くの人間の犠牲を必要悪とみなす倫理。ギャレット・ハーディン(アメリカ、1915-)によって提唱された。

この倫理思想は、ほどほどの人が乗船している救命ボートを豊かな国に、また猛烈に混んでいる救命ボートを貧しい国とみなすもの。貧しい国の人々は、混雑している救命ボートから、余裕のある豊かな国の人々が乗る救命ボートに乗り移ることを願うが、余裕のあるボートでは、彼らの乗船を認めるかどうかの問題がわき起こる。ハーディンは、混雑したボートの乗客全員に対して余裕のあるボートへの乗船を認めると、すべてのボートが沈み「完璧な正義の実現が完璧な破局」になるとし、この問題を解決するためには、「豊かな国」のボートのことだけを考えるべきだと主張した。これに基づき、ハーディンは途上国に対するすべての援助を否定し、未来世代の権利を守るために、救命ボート倫理を主張した。しかし、この主張は、反人間的、配分的正義の侵害など強い反発を受けている。

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