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安全で公正な地球システムバウンダリー 環境用語

作成日 | 2024.09.01  更新日 | 2024.10.04

安全で公正な地球システムバウンダリー

アンゼンデコウセイナチキュウシステムバウンダリー   【英】Safe and Just Earth System Boundary  

解説

国際的な科学者チームである地球委員会(Earth Commission)が、2023年にプラネタリー・バウンダリー等の文献のレビューやモデル研究等に基づき提唱した概念で、従来からの「地球が安定を保てる(安全な)限界」に、新たに「全ての生物が繁栄することができる(公正な)限界」を加えて、統合的・定量的に地球の資源の限界を示している。

気候、生物圏(自然生態系が保全された地域、地域での自然の恩恵)、淡水(表流水地下水)、栄養(窒素リン)及び大気循環(エアロゾル放出)について、この5分野の地球システムの安定性とレジリエンスを維持できる限界と、自然の恩恵を享受でき、人々、地域社会や国家等への重大な負の影響(被害)を最小化できる限界の両者を比較統合し、厳しい方を「安全で公正な地球システムバウンダリー」(ESB)としている。なお、この場合の「公正」には、生物種間、世代間及び世代内の公正を含んでいる。また、空間スケールとしてローカルからグローバルレベルでの評価を可能としている。

たとえば、気候変動の場合、安全な限界としてパリ協定で合意された工業化以前からの気温上昇を1.5℃以内とし、一方で重大な影響が生じない公正な限界として1℃以内とし、ESBとしてはより厳しい1℃以内の温度上昇を示している。

ESBの5分野8項目のうち、エアロゾル放出以外は限界を超えており、世界人口の86%に負の影響を与えている。人類のウェルビーイングを確保するためには、地球全体ですべてのESBの範囲内に公正な移行を行うことが必要であり、貧困問題も考慮しながら技術や経済システム等を見直し、エネルギー分野等で組織的、統合的に取組むことが必要と指摘している。(2024年8月作成)

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