一般財団法人環境イノベーション情報機構

環境用語 IPCC1.5℃特別報告

作成日 | 2019.06.25  更新日 | 2019.06.27

IPCC1.5℃特別報告

アイピーピーシーシー1.5ドトクベツホウコク   【英】IPCC Special Report on Global Warming of 1.5℃  

解説

正式名称は、「気候変動の脅威への世界的な対応の強化、持続可能な発展及び貧困撲滅の文脈において工業化以前の水準から1.5℃の気温上昇にかかる影響や関連する地球全体での温室効果ガス(GHG)排出経路に関する特別報告書」。2018年10月に韓国で開かれたIPCC第48回総会で、「1.5℃特別報告書」の「政策決定者向け要約(SPM)」が承認されるとともに、報告書本編が受諾された。

この報告書では、温暖化の影響は1.5度の上昇でも大きいが2度になるとさらに深刻になり、わずか0.5度の気温上昇の差で温暖化の影響は大きく異なると警告し、1.5度未満の抑制が必要であると訴えている。例えば、熱波に襲われる人の数は1.5度の上昇と比べ2度だと約17億人増える。また生物種の消失も一気に進む。

報告書によれば現在のペースで地球温暖化が進めば、早ければ2030年にも世界の平均気温が産業革命前と比べて1.5度上昇する可能性が高い。気温上昇を1.5度に止めることはまだ可能であるが、そのためには社会の全部門でかつてない変革が必要であるとし、2030年までにCO2排出量を半減し、2050年までに正味ゼロ・エミッションが必要であるとしている。パリ協定では「2度目標」を前提とし、CO2の排出量を50年までに10年と比べて40%から70%削減するとし、実質ゼロの実現は今世紀後半(2050年から2100年)としていたが、1.5度未満に抑えるためには、CO2削減の相当な前倒しが必要となる。1.5度目標達成のためには、社会の全部門、とりわけ土地利用、エネルギー、産業、建築、輸送、都市などの分野でかつてない変革が求められる。具体的には、森林破壊を止め大規模な植林を行うこと、化石燃料の使用を劇的に減らし、石炭利用を段階的に廃止すること、風力・太陽光発電を増やし、持続可能な農業に投資、最新テクノロジーを検討することなどである。

なお、脱炭素社会への移行過程では、気候対策以外の目標との相乗効果を考慮することが重要であり、貧困撲滅、健康被害低減など倫理や衡平性を考慮した持続可能な開発目標(SDGs)の達成は、脱炭素社会のよりよい実現につながるとしている。(2019年4月作成)

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