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炉心溶融 環境用語

作成日 | 2012.05.16  更新日 | 2012.05.16

炉心溶融

ロシンヨウユウ   【英】Meltdown  

解説

原子炉中の核燃料の燃料集合体、または、燃料を納めた燃料被覆管の損傷(炉心損傷)によって生じた破片状の燃料が溶融すること。

重大な原子力事故のひとつであり、燃料の大部分が溶融して、燃料集合体を納めた圧力容器の底にたまった状態となるメルトダウン、さらに鋼鉄製の圧力容器の底を溶かして貫通してその外側の格納容器にまで達するかあるいはそれをも貫通して外部に達する場合をメルトスルー(溶融貫通、いわゆるチャイナシンドローム)という。

原子炉では、核燃料ペレットを燃料被覆管に入れて核分裂反応が進む臨界状態として、熱を発生させ、その熱で水等の冷却材を加熱して発生した蒸気でタービンを回して発電している。この冷却系統の故障や異常な出力上昇により大量の熱が発生した場合は炉心が過熱し、溶融が起きることになる(燃料棒の融点は約2800℃といわれる)。なお、原子炉を制御棒等により停止させても、その時に存在する放射性核種の崩壊熱があるため、一定期間は冷却しないと炉心溶融を引き起こす。

炉心溶融が起きると、燃料被覆管に用いられるジルコニウム合金が高温(850℃以上)のために水を分解して水素を発生し、それが水素爆発を起こすことや、格納容器中の水に、溶けた核燃料が落下、接触して水蒸気爆発を起こすことにより放射性物質が外部に拡散し、汚染を引き起こす可能性がある他、溶けた核燃料が容器の底部に集まって再び連鎖的な核分裂を開始する再臨界状態になるおそれもある。

炉心溶融防止のためには、大量の注水を行う緊急炉心冷却装置(ECCS)の設置や冷却系のための非常用電源の整備等が行われている。

過去の炉心溶融事故は、過去にフェルミ1号炉(1966年米国)、リュサン原子力発電所(1969年スイス)、スリーマイル島原子力発電所(1979年)、チェルノブイリ原子力発電所(1986年ソビエト連邦)で発生していた。2011年の福島第一原子力発電所事故においても、地震と津波により冷却系統の電源が失われてECCSも作動せず、メルトダウンが起きて格納容器にまで達し、国際原子力事象評価尺度(INES)により最悪のレベル7の事故となった。

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