このデータからすると、この調査の回答者には白人
【*1】が圧倒的に多いことがわかる。
ここで注目すべきは、アフリカ系アメリカ人の利用率が極端に低いことである。この問題については、以前から調査が行われており、次の調査報告書もそのような取り組みの一つである。
2)Race, Ethnicity and Use of the National Park System (1999) (172k)
http://www.nature.nps.gov/socialscience/pdf/SSRR_2.pdf
この報告書によれば、1982年から翌年にかけて行われた、National Recreational Surveyの結果、白人回答者のうち国立公園を過去一度も訪れたことのない人の割合は42%であったのに対し、非白人マイノリティーについては、実に83%が国立公園を一度も訪れたことがなかった。特にアフリカ系アメリカ人が国立公園を訪問する割合は低く、その理由の一つをこの報告書では「行動様式の違い」に求めている
【*2】が、その他に、「交通手段の有無」(access of transportation)、「差別的な経験」が挙げられている。
公共交通機関がほとんどない国立公園においては、自家用車か観光バスを利用する必要がある。アメリカは一般的に自動車が高価である。また観光バスはあまり一般的ではなく、あったとしても外国人観光客向けが多い。
「差別的な経験」については、正直なところ私たちにはあまり実感がなかった。おそらくこれはアメリカ社会に深く根ざしたものなのだろう。
また、この調査報告書では、ヒスパニック系の利用者の特徴として、大人数でのグループ利用が多いことを挙げている。セコイヤ国立公園、ビスケイン国立公園などでは、大人数で楽しそうにピクニックしているグループを目にした。なお、ヒスパニック系の利用者を多く見かけたこれらの公園は、住宅地などから比較的近く、無料かもしくは比較的入場料金の安い公園であった。
また、利用者数について、将来予測のための有識者会合報告書が掲載されていた。
3)Visitation Forecasting and Predicting Use of NPS Parks and Visitor Centers: Focus Group Report; James H. Gramann, Visiting Chief Social Scientist, National Park Service Social Science Program
http://www.nature.nps.gov/socialscience/pdf/NPS_Forecasting_Report.pdf
この調査報告書によれば、1987年から国立公園局の管理する公園地の利用者数は、横ばいもしくは減少傾向にある。その点からすると、アフリカ系アメリカ人をはじめとするマイノリティーの利用者を増やすことには大きな意味があるといえるだろう。
→(その2)へ続く