ボランティア宿舎から近くのスーパーまでは車で片道40分以上。道は上り下りも多く、それほど頻繁に買い物には行けない。公園事務所の向かいにあるカントリーストアにも食パンは売られているが、古い上に値段も高めだ。そこで、パン焼き機を購入することにした。
「近くにうまい食パンを売っている店もないし、小麦粉なら安くてかさばらないよ」
屁理屈をこねて妻の説得に成功。日本の有名メーカー製の一斤タイプが何と10ドル。スリフトショップ(妻の一言参照)で購入した。
初めは二人とも半信半疑だったが、毎朝タイマーでパンが焼きあがるようになって、そのとりこになった。焼きたてのパンは市販の食パンとは比べ物にならないほど美味しい。アメリカではパン用の粉やバターも格安だ。
それにしても不思議なのは、市販のパンの値段と味だ。日本の食パンの2〜3倍の量で1ドルしないものもある。どうすればこんなに安くなるのかわからない。一方、当然のことながら味もよくない。焼いてもジャムをつけても美味しくなかった。
パン焼き機で焼いたパン |
パン焼き機購入を期に、いろいろなパンも試してみた。おからパンはしっとりとしていて、バターの節約にもなる。豆腐を作った後は決まっておからパンにした。パン生地だけを作って自分で成型してオーブンで焼くことも試した。生のガーリックとバターを乗せて焼いたガーリックパンはおいしかった。また、自家製アンパンはアメリカ人にも好評だった。
このパン焼き機はその後ワシントンDCまで持って行き、散々迷った末、日本に持ち帰ることはあきらめた。
帰国後、電気店の広告を見るたびその値段の高さにため息が出る。アメリカの広い宿舎と違って台所のスペースにも余裕がなく、私たちはまだ購入に踏み切れずにいる。