基準が「検出しないこと」の項目についてこういう手法は可能でしょうか
登録日: 2008年06月19日 最終回答日:2008年06月23日 水・土壌環境 水質汚濁
No.28373 2008-06-19 12:45:47 ZWlaf15 匿名
計量証明事業に従事しており、現在、試験業務負荷の低減方法を検討しています。
以下の方法を思いついたのですが、実施した場合、問題となると思われますか。
試験項目が「検出しないこと」の項目に対して複数の検体(5検体を想定)を等量ずつ混合した検体について分析を行い、十分に低い結果となった場合は、5検体すべてを「検出せず」とし、検出した場合は、改めて全検体を別個に測定する。
例
試験の定量下限が0.1mg/L、「検出せず」の基準が1mg/Lの試験でAからEの5検体を正規の1/5ずつ分取する。個別に再分析を行う基準は0.2mg/Lに設定する。
仮にAからDの検体の濃度が0mg/Lで、Eに1mg/L含まれていれば全体の結果は0.2mg/Lとなり再分析行きとなります。また、Eが0.9mg/Lであれば0.2mg/L未満になりますので5検体すべてが「検出せず」という結果になります。
試験方法の定量下限が十分に低ければ、技術上問題ないと思うのですが、皆さんはどのようにお考えになるでしょうか。
また、全水銀が十分に低い値の場合アルキル水銀をやらない、全クロムが十分に低い場合、6価クロムはやらないというのはどう思われますか。
以上、よろしくお願い致します。
No.28428 【A-11】
Re:基準が「検出しないこと」の項目についてこういう手法は可能でしょうか
2008-06-21 23:46:52 wohya (ZWl2b2f
「混ぜて分析」について、その科学的妥当性については、A-5のたそがれさんのご指摘に賛成です。
採用には、条件限定ないし、相当な安全率を見込む必要があるように思います。
条件限定、というのは、マトリクスの観点から同質である(土壌の場合、同じ地域の全く同じ土質)とか…
私の土壌での乏しい経験では、混ぜる、混ぜないで値は無視できない程度に変わります。
試料の不均一性(分取)の都合かな、とも思ったのですが、
それ以上に、値が影響される要素がやはり存在するようです。
特に、異なる土質のものを混ぜた場合は「え?」という結果になったりします。
これも、「溶出試験」という条件試験の特徴なのでしょうね。
ですから、スクリーニング法としての採用でも、その運用には
相当気をつけないと…いわゆる「妥当性確認」のポイントを踏まえつつ、
相当な不確かさ(安全率)を見込まなければ、科学的にもリスクが大きすぎるかと感じます。
以上、余計なことかとは存じますが…
回答に対するお礼・補足
お礼が遅くなってしまい申し訳ありません。
やはり、やっていない試験の結果の記載は、難しいですね。
私もA-5のたそがれさんのご指摘はまったくもって正しいご指摘と感じ、やはり現実的には難しいと感じています。
A-12でまとめてお礼しますと記載しましたがA-11の間違いでした。
No.28431 【A-12】
Re:基準が「検出しないこと」の項目についてこういう手法は可能でしょうか
2008-06-22 04:40:57 なんちゃって計量士 (ZWl9549
回答が長くなりますので何段かに分かれてしまいますが、環境計量士の方には最後までお読みいただきたいと思います。
まず水の分析に関してのことです。以下の参考文章をお読み下さい。
http://www.pref.nagano.jp/xsyoukou/keiryo/keisyomizu/mizu.pdf
以前ここでも類似の発言を致しましたが、時間の都合で記入を人に任せたうえ、その後のフォローも出来なく皆さんが理解しないままで終わらせてしまいました。
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=23188
実際の所、この通知文章が徹底されていないうえ、本庁でも人事異動などにより、この文章の発行を正しく運用しているとは言い難く、都道府県の計量関係部局でも改めてこの通知の意味を徹底しているとは言い難いようですが(皆さんの発言を聞く限りにおいて)立ち入り検査時に計量証明項目で指摘を受けることはありませんでした。
工程水はもちろん、工業用水も計量証明は作成できます。水道水も飲料に関する証明に使用するのでなければ可能です。つまり原料水として使用する場合などは可能なのです。当然下水も下水に排除する水も計量証明を行うことは可能です。
食品や医薬の場合には食品衛生法の規定があるのでグレーゾーンです。(小生は出しません)逆に皆さんはプールや浴場の水の分析結果はどのように処理なされているのですか。
同様にグレーゾーンと思われるのが大腸菌や細菌検査などの項目です。これこそ証明外と特記を付けて記載していますが、法令を素直に読む限りアウトの気がするのですが、他社さんでも結構見かけるので根拠がないながら運用ではよいのかと思います。
本来は別紙に記載するのが法の精神と思うのですが余り気にされている方はいないようです。
若干別の観点から。
皆さん水道とか下水とか環境水とか発言されていますが、環境調査ならいざ知らず、事業場の水は何ですか。自己取水とかしていなければ殆どが水道の水ですよ。そしてその水道水の基は自然水(井戸とか河川)ですよ。
水は水、ただ飲料水や温泉水は検査方法が別法令で定められている。だから除外する。基本を押さえれば理解できるはずなのです。
回答に対するお礼・補足
以下にまとめてお礼します。
No.28432 【A-13】
Re:基準が「検出しないこと」の項目についてこういう手法は可能でしょうか
2008-06-22 04:42:33 なんちゃって計量士 (ZWl9549
>他環境基準等では総水銀、アルキル水銀は別項目です
>しかも分析方法まで決められています。
この様な発言が出てくること自体、能力の低さを表します。分析方法にも色々あります。当然分析方法に合わせてSOPもそれぞれ作る必要があります。何ですか、環境計量士だから環境に関する計量だけに従事すると思われているのですか。官の色々な縄張りの都合でわかりにくくなっていますが、元々は計量士から派生した業務です。実際濃度証明が出来るのは、気体では大気、個体では(実際は固体を計測するのではありませんが)土壌、液体では水です。どのような水が分析できるかについては前節でお話ししたとおりです。
水銀なら
>「S46.環告第59号付表1」=「S46.環告第59号付表2」ですか?
と何でこう決めつけられるのですか。確かに県や環境省から受注した環境調査の場合に水銀の分析方法はそのように。また客先が分析方法を指定されればまさにそのように。他に水銀の分析方法がないと申されますか。
余り手の内を晒したくはないのですが、さわりを少々ご説明しましょう。環境分析でもクロムは分析方法をよく考えればスクリーニングを考えたSOPは作れます。
水銀はたしかに環境省(庁)告示では無理があります。でも他の方法もあります。その場合にはいじり用はあります。どのような手順と方法を行なうかはよく考えて下さい。
実際工程水の分析には大いに活躍します。
類似の話に窒素の分析があります。硝酸性、亜硝酸性、アンモニア性、全窒素、分析方法も計算の仕方もたくさんあります。最後に整合しない場合などどうなさいますか。
小生はデーターの利用方法により当然ながら使い分けます。
分析結果をプロセス管理として使用するのか、対外的に外へ提示するのかなど色々利用方法の違いにより計量証明が必要な場合もありますし、無保証で定量限界以下の数値や有効桁数を無視した生データーを提供する場合すら有ります。当然客先との信頼関係が重要になります。
回答に対するお礼・補足
以下にまとめてお礼します。
No.28433 【A-14】
Re:基準が「検出しないこと」の項目についてこういう手法は可能でしょうか
2008-06-22 04:45:22 なんちゃって計量士 (ZWl9549
皆さんのお答えの後での後出しですが、説明方法を考えていて回答が遅くなりました。
簡潔に申し上げると「分析者として絶対いけない行為」です。
分析のスクリーニングと分析方法のスクリーニングは似て非なるものです。たとえ質問者の前提が良いとしても、混合するような行為は分析時に行うことが許される行為ではありません。試料をゆがめる行為になります。混合された試料を分析する行為は間違いではありませんが、混合を行うか否かの判断は分析されたデータを利用する側が判断しなければいけない行為です。
客先にサンプリング計画まで依頼されての検討なら良いですが、それならば質問者のお考えの分析費原価低減にはとうぜんなりません。
分析者が混合試料の分析結果からその混合前試料の分析値を云々するなど以ての外です。分析の依頼が計画書から分析評価まで含んでいるなら別ですが、そのような業務は計量証明を離れたコンサルティングとしての業務になります。
回答に対するお礼・補足
お礼が遅くなり申し訳ありませんでした。
なんちゃって計量士様には、社内的な事情まで示して、ご教授いただきましてありがとうございます。
本質問に関しては、私としては
・コンポジットに関しては駄目、
・水銀・クロムに関しては、あらためて検討
という結論とさせていただきます。
No.28438 【A-15】
Re:基準が「検出しないこと」の項目についてこういう手法は可能でしょうか
2008-06-23 09:28:34 珠 (ZWla258
親切なご説明ありがとうございます
勉強になりました。
私が参考にしていた資料はH14の資料でしたので
今後は なんちゃって計量士さま 提示の資料を参考とさせて頂きます。
私の勉強不足でしたね、申し訳ありません。
例え話の総水銀の分析方法の件も
なんちゃって計量士さまのおっしゃる話はわかるのです。
総水銀の分析方法が「S46.環告第59号付表1」だけとは思っておりません。
客先に法令等指定されてなければ計量管理者が許可している、自社メソッドもありだと思います。
しかし、スレタイトルに
【基準が「検出しないこと」】とあります
基準がある項目ということは、法令なりに指定されている項目と考えます。
(まぁコレを自社基準と読んだら、この先の話はお終いですが・・・)
法令なりに指定されている項目なら指定の分析方法があると思うのですが?
その指定されている分析方法と違う分析方法をしてはマズイのでは?と私は思った次第です。
これも私の勉強不足で、「これこれ、こういう事例があるよ」と、ご存知ならご教示お願いします。
私自身、土対法指定機関の一部門に勤務中のため
分析に対する視野が狭くなってきていたと反省しており、
勉強不足を痛感しております。
この場を設けて頂きました、スレ主様、
並びに、分かりやすく回答して頂いております
なんちゃって計量士さま、他回答者様に感謝しっぱなしです。
回答に対するお礼・補足
珠様、なんちゃって計量士様をはじめご回答いただきました皆様がた、大変ありがとうございました。
本件のようなリスキーな質問に対し、丁寧に、そして広い視点でご回答いただき大変感謝しております。
私としても一応の結論を出すことができましたので、本質問は、締め切らせていただきます。
ご回答いただきました皆様方、本当にありがとうございました。