海岸漂着ごみはすべて一般廃棄物?
登録日: 2006年12月08日 最終回答日:2007年03月03日 ごみ・リサイクル 産業廃棄物
No.19711 2006-12-08 11:08:46 なん
廃棄物処理法では、産業廃棄物以外が一般廃棄物とされています。
また、道路側溝にあるプラや金属くずは、その管理者が処分すると産業廃棄物であると認識しています。
そして、事業所にあるごみ箱も事業活動のサービスの一環で設置しているならば、内容物が産業廃棄物に合致すれば産廃処分が原則だと思います。
さて、それをふまえて、海岸に打ち上げられた、漁業用ブイやナイロン網、放置された鉄くずまでもが一般廃棄物だと判断されています。
私は、海岸にも管理者がいるはずで、管理業務として清掃義務があるのではないかと考えています。
ボランティア清掃後のごみならばまだしも、すべてを一般廃棄物とするのはいささか乱暴な判断ではないかと考えるのですが、皆様のご意見をお願いします。
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No.19712 【A-1】
Re:海岸漂着ごみはすべて一般廃棄物?
2006-12-08 12:30:34 しおみず (
問14)
清掃業者が事業場の清掃を行った後に生ずる産業廃棄物について、その排出者は清掃業者であると解してよいか。
答)
当該産業廃棄物の排出者は事業場の設置者又は管理者である。清掃業者は清掃する前から事業場に発生していた産業廃棄物を一定の場所に集中させる行為をしたにすぎず、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではない。
回答に対するお礼・補足
ありがとうございます。
清掃業者が施設内で集約させる場合の廃棄物処理責任の解釈は承知しております。
海岸での漁業用プラスチックブイは一般の方の使用は考えられにくいと思います。
その廃棄物は産廃でしょうか、それとも一般廃棄物と解するのでしょうか、ご教示いただけたらありがたいです。
No.19720 【A-2】
Re:海岸漂着ごみはすべて一般廃棄物?
2006-12-08 20:49:04 万田力 (
お考えのように、清掃が海岸の管理業務(即ち事業)であるなら、以下の疑問ももっともだと思いますが、通常海岸の管理業務とは災害の予防や海岸施設の維持などをさしているようで、海岸の管理者が清掃するというのはあまり聞いたことがありません。
> 道路側溝にあるプラや金属くずは、その管理者が処分すると産業廃棄物であると認識しています。
同じように思えるかもしれませんが、「管理者が処分する」というのと「(事業活動としての)管理業務から発生した」と言うのとは違います。(道端の土地所有者が、ポイ捨てされた空き缶を土地管理者として処分したら産業廃棄物でしょうか?)
> 海岸に打ち上げられた、漁業用ブイやナイロン網、放置された鉄くず
は、漁業者等が投棄したものであるなら不法投棄された産業廃棄物でしょうが、台風などで流された物で、清掃が海岸管理者による管理業務の対象外であるなら、「災害」という事業活動はありませんので一般廃棄物とせざるを得ないでしょう。
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=3568
をごらんください。ここで回答しているマタカとは、以前使用していた私のハンドル名です。(なお、現在は廃止されているようですが、昭和54年11月26日付け環整第128号・環産第42号の問9(http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=761 で引用されています。)をごらんになってください。)
回答に対するお礼・補足
回答ありがとうございます。
なるほど、勉強になります。
道路側溝は下水道法の排水施設になり、下水道法の条文では、
(管理)
第三条 公共下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理は、市町村が行うものとする。
となっており、管理業務から発生した廃棄物の多くは産業廃棄物になります。
海岸と違うのは、清掃を行わないと機能が低下するということです。
土地にポイ捨てのごみとは少しニュアンスが違うと感じます。
それをふまえ、本当に海岸管理という業務には清掃は不要なのでしょうか?
それならば、清掃せずにそのままにして、悪臭や景観を阻害しごみによって船さえ接岸できなくても良いという極論が感じられます。
私は、ある程度の管理責任があり管理業務には「清掃により海岸の本来の目的を維持する」ことは必要と感じています。
そのあたりの解釈に対する判例法や通知文をご承知であればお教えください。
なお回答には非常に満足しております。ありがとうございました。
No.19722 【A-3】
Re:海岸漂着ごみはすべて一般廃棄物?
2006-12-08 21:52:51 風林火山 (
乱暴な判断であろうが無かろうが法律上は一般廃棄物になると思います。
漁師が浜に投棄しているのを見たのであれば不法投棄で立件できると思いますが・・・
ブイや網(定置網?)は本来あるポイントに固定してその場所を用意に特定できるようにするためのものであり自ら切ったりするものではありません。波の力で切れた、船外機のスクリューに絡まり切れた、どこからか漂流してきた等、そのゴミの身元を判明することは不可能でしょう。
ちょっと話がそれますが、漁師が網を引き上げたら、売り物にならない魚が何十匹も混ざっていて、しかも既に死んでいるのでそれらを海に捨てた場合であってもなんら罪に問われません。陸にいる私たちの概念から言えば漁という事業活動によって発生したゴミを海に捨てたのだから産廃を海に投棄したという思いはあります。
別に漁師さんを非難するつもりはありませんので誤解の無いように。地元の漁師が捨てていると思うのであれば
漁協ごとのあるいは漁師ごとの色やマークを消えないようにつけるなど法改正するしかないのではと思います。
また、管理者は当然いますが管理者が国や県であっても一般廃棄物である以上その処理責任はその海岸を管轄する市長村にあります。当然清掃義務もあると思います。
処理責任はあるのですが予算が無い。従って地元の観光協会や地域住民、ボランティアに頼らざるを得ないのだと思います。
回答に対するお礼・補足
回答ありがとうございます。
たしかに正論だと思います。
>処理責任はあるのですが予算が無い。従って地元の観光協会や地域住民、ボランティアに頼らざるを得ないのだと思います。
このことは関係の市町村は頭を悩ましていると思います。
再質問で申し訳ありませんが、たとえば地元の漁協や漁業者に対し廃棄物処理料金を負担するべきだと、意見がある場合はどう思われますか?
私はしごく普通の意見と感じられますが、その際に漁業活動に伴う廃棄物であるかどうかの認識が重要になります。
廃棄物の内容等をみると、事業活動に伴う廃プラスチックだと地元民が認識しているのです。
つまり、産廃であるか否かの問題が重なってきてしまいます。
私は、地域住民やボランティア、漁業関係者全員が協力するべきだと思います。現在の廃棄物処理関係の認識では、処理責任と排出者の整合性が取れず、本来の方の目的が薄れていると個人的に感じます。
No.19757 【A-4】
Re:海岸漂着ごみはすべて一般廃棄物?
2006-12-10 23:42:16 風林火山 (
心情的には理解できますが現実的ではないと思います。一般廃棄物には固体(ゴミ)と液体(し尿や生活排水)があります。下水道や合併浄化槽(農集含む)を利用していない家庭や事業所の生活排水は近くの側溝を流れ、川を下り、最終的には海に出ます。その排水は川で希釈され、海に出てまた希釈され、汚れているのが分かりにくいです。赤潮やアオコの発生でようやく海が汚れていると気がつきます。将来を考えればこちらの方がより大きな問題となります。漁業関係者も被害を蒙っています。一方で目につきやすい、美観を損なう固体のみを対象として負担金を徴収するのは筋が通らないと思います。質問者「なん」様のようにこよなく海を愛し、きれいな海を維持するために負担金を徴収したいのであれば、漁業関係者だけでなく非水洗化の家庭や事業所からも徴収するべきで、それが公平な負担と言えるのではないでしょうか。
私の住む市(田舎)では農家で不要になったあぜシートや肥料のビニール袋をJAが集めて処理(どこまで真剣にしているかは分かりませんが)しています。漁協も年一度くらいは自主回収をするよう交渉するのが最も現実的なんでしょうかね。(既にやっていたらすみません)
長くなって申し訳ないですがもう一つ。「物の製造や加工に際してその生産物が終局的には必ず廃棄物になることを考えて、廃棄物として出された場合に処理が困難とならないようにすることと」いう事業者の責務もありますのでバイオプラスティックなど新素材の開発も不可欠です。
最後に、いつも的確な回答をされている、万田力様や火鼠様、papa様、筑波山麓様、ゴミスキー様の意見も伺ってみたいですね。
回答に対するお礼・補足
何度もありがとうございます。
漁業団体も清掃活動は行なっております。
ただし、地域柄、養殖用ブイや漁業廃棄物の割合が多いので問題になります。
ほとんどが漁業用廃棄物の処理費用に対して年間3千万円以上の市費負担というのは市民の理解は得られにくいですね。
農家で排出されるシートが風で大量に飛ばされたら、同じ課題が発生するのでしょう。
ちなみに、肥料袋は容器包装で一般廃棄物という解釈もあるそうですから、なかなか理解しにくいのが現実です。
風林火山様のおっしゃるとおり法改正するかガイドラインを制定(漁業廃棄物はありますけど古いです。)して、もう少し公正な処理責任を求めたいですね。
たいへん参考になりました。ありがとうございます。
No.19817 【A-5】
Re:海岸漂着ごみはすべて一般廃棄物?
2006-12-14 00:03:18 火鼠 (
回答に対するお礼・補足
回答ありがとうございます。
明確な産業廃棄物で無いと一般廃棄物という判断基準の見直しは必要だと思いますね。
今回は、海外からの漂着物で無く「漁業廃棄物」と明確な事業者からの排出で悩んでおります。
廃棄物処理法は処理責任を明確にすることで適正処理を行なうことになり、事業者の生活実態までは法で考慮されていないとは思います。
厳しいようですが、廃棄物処理の責任をとれないなら事業を行なうことはできないと考えます。
漁業の育成施策や食の生産者育成等は、廃棄物処理事業や公害防止とは切り離して考えないと、法の目的が達成できないと私は考えています。
新たな出費を求めること・・・は同意見です。
これ以上漁業者に負担を与えることは考えておりません。
今回は、魚業団体から自らの廃棄物として処理を行ないたいと申し出がありました。つまり事業活動として排出された廃プラとしの処理です。
ところが産廃と認めたら、ボランティア活動の位置づけ(業の許可の無い団体)や、収集運搬の一般廃棄物と産廃の混載、処分先の制限など多くの課題が発生します。
できる方法としては一般廃棄物として処理し、漁業団体から寄付を受けるといった法の隙間を見つけるような処理しか考えられません。
辛いことです。
火鼠さんのご意見は非常に好感がもてて、同意できます。
どうもありがとうございました。
No.21446 【A-6】
Re:海岸漂着ごみはすべて一般廃棄物?
2007-03-02 10:14:32 DAICHAN (
その廃棄物を,事業活動で集めた場合,プラは産業廃棄物で紙や木片は一般廃棄物と考えるのが妥当ではないかと思います。ボランティアも事業活動でしょう。
その処理については,市町村で「あわせ産廃」として処理すれば,何ら問題はないと思うのですが。
但し,環境省の通知で漂着ごみが産業廃棄物であるとか一般廃棄物であるとか明確にしてあれば別ですが。
回答に対するお礼・補足
ご意見参考になります。ありがとうございます。
DAICHAN様のおっしゃるとおりです。漂着したごみの判断は明確にはつきません。
ただし、私が問題としている地域は養殖用ブイなど漁業廃棄物とすぐにわかります。地理的な性質上、近隣の漁業活動により発生したことは疑いようもありません。
ところが県を通じて環境省が判断したところ、すべて一般廃棄物だということです。
つまり、「あわせ産廃」どころでは無くて、海に捨てたらすべて市町村が最終的に清掃しなければならない義務が発生するということです。市町村の立場から申せば、海という名称の大きなゴミ箱を設置しているようなものです。
また、すべて一般廃棄物だということで、最終的な清掃責任は市町村にあるために、せっかく説得をしたのに、漁業関係者は清掃負担を行わない可逆的方向に向かっています。その根拠はやはり廃棄物処理法にあります。
ちなみに「あわせ産廃」が可能なほど、私の地域では財政的余力や最終処分場の残余はありません。法的には問題が無くとも、実態は違います。
どうにも行き詰まり感が否めませんが、せめて産廃と解しても良いならば、少しは解決に向けて進展があるのですが、大変な状況です。
No.21458 【A-7】
Re:海岸漂着ごみはすべて一般廃棄物?
2007-03-03 13:56:25 参考 (
国もいろいろと検討を重ねているようです。
平成19年3月2日
漂流・漂着ゴミ対策に関する関係省庁会議とりまとめについて
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8100
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3/5 追記
EIC 国内ニュース
漂流・漂着ゴミ対策に関する当面の施策を提示
関係省庁会議「とりまとめ」
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=15402
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