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環境Q&A

事業所間の汚泥移動 

登録日: 2006年12月04日 最終回答日:2006年12月19日 ごみ・リサイクル 産業廃棄物

No.19642 2006-12-04 04:39:16 麦100%

 隣接したA事業所、B事業所がありまして、それぞれに脱水処理施設を組み込んだ排水処理施設があります。それぞれの脱水処理施設は処理能力により廃掃法の処理施設届出対象外です。
 A事業所では脱水後の汚泥を、一連のプロセスとして、動力ボイラーにて焼却しています。(動力ボイラーは、廃棄物処理施設ではない:行政了承済み)
 B事業所では脱水後の汚泥を、外部の廃棄物処理業者に委託処理しています。

ここで
Q1)B事業所の脱水前の汚泥を、A事業のプロセスに持ち込んで処理することは、適法でしょうか?
Q2)B事業所からA事業所へ、同じ会社の敷地内汚泥を移動させるのに、社外委託(車両運搬)する必要があるのですが、廃棄物運搬委託契約やマニフェスト発行管理が必要になるでしょうか?(必要なら委託業者は廃棄物運搬業の許可が必要ということになりますね)

背景として、
発生する汚泥はボイラーの「燃料」と呼ぶには燃焼カロリーが低く、A事業所からB事業所へ支払させる「有価物」とするのは苦しい。
2つの事業所は、もとはグループ内の別会社で、最近合併し、同じ会社となった。
この事例は、B事業所の工事に伴う一時的なもので、恒久的に持ち込むものではなく、それぞれの脱水処理施設・排水処理施設自体の変更はなされない。

結局、脱水前汚泥を「廃棄物」とするかしないかの判断だと思うのですが、平成17年3月25日付け環廃産発第050325002号を見ると、「ぎりぎり灰色」と考えたのですが。社内の判断としてはA事業所の判断がカギなのでしょうね。
それとも、いったん社外に運搬委託をする時点で「廃棄物」と判断すべきでしょうか。

私の立場は、B事業所の廃棄物担当です。排水処理設備の担当者は別にいます。

総件数 5 件  page 1/1   

No.19647 【A-1】

Re:事業所間の汚泥移動

2006-12-04 23:13:17 万田力

> それぞれの脱水処理施設は処理能力により廃掃法の処理施設届出対象外です。

 手元(自宅)にその通知を持ち合わせていないので記憶が頼りですが、最近の規制緩和(?)により、廃水処理の工程に組み込まれた脱水施設は、その規模の如何を問わず廃掃法の産業廃棄物処理施設から除外されています。(ただし、施設に該当した場合届け出ではなく許可ですけどね。)

> Q1)B事業所の脱水前の汚泥を、A事業のプロセスに持ち込んで処理することは、適法でしょうか?

 「適法でしょうか?」の意味が、「許可無くしてできるでしょうか?」という意味なら、「2つの事業所は、最近合併し、同じ会社となった。」とのことですので、「自ら処理」に該当し許可は不要です。

> Q2)B事業所からA事業所へ、同じ会社の敷地内汚泥を移動させるのに、社外委託(車両運搬)する必要があるのですが、廃棄物運搬委託契約やマニフェスト発行管理が必要になるでしょうか?

 当該汚泥が廃棄物であるなら、当然契約書もマニフェストも必要です。字数制限にかかるので施行令の第6条の2第3号及び法第12条の3第1項をお読み下さい。

> (必要なら委託業者は廃棄物運搬業の許可が必要ということになりますね)

 本末転倒です。契約やマニフェストが必要だから許可がいるのではなく、廃棄物を扱う場合に許可が必要なのです。


> 社内の判断としてはA事業所の判断がカギなのでしょうね。

 違います。社外に運搬委託をするか否かにも関係なく、「自ら利用し、又は他人に有償で売却できない物」が廃棄物です。
 但し、他人に有償で売却できない物を自ら利用と称して燃料や造成資材として『利用』することは違法ですので、A事業所のボイラーが廃棄物処理施設では無いと行政が認めているというのは私としてははなはだ疑問に思います。

回答に対するお礼・補足

万田力さま

回答ありがとうございます。

やはり当該物が廃棄物か否かがカギになるのですね。
部署間で確認し、「廃棄物」となるかどうか判断します。

ところで、さらに質問失礼します。
> 違います。社外に運搬委託をするか否かにも関係なく、「自ら利用し、又は他人に
>有償で売却できない物」が廃棄物です。
これは、どこからの引用でしょうか。廃掃法では「廃棄物とは〜不要物」の一言で片付けられているようですし、政令・規則にも見当たりませんでした。常識で考えればまさにそのとおりなのですが、引用されている通達等を教えてもらえると助かります。

> 但し、他人に有償で売却できない物を自ら利用と称して燃料や造成資材として『利用』
>することは違法ですので、A事業所のボイラーが廃棄物処理施設では無いと行政が認
>めているというのは私としてははなはだ疑問に思います。
「違法」とは、どの法令に抵触するのでしょうか。この件について廃掃法以外に注意すべき法令があればご教授ください。
 A事業所内の汚泥は同一プロセス内での移動が前提なので「利用」可能だが、他社に売却(他者から購入)できない類のものと解釈してます。
このあたりの判断が非常に微妙なので、「それは廃棄物だろう」と判断がされれば廃掃法違反になると思いますが、過去において「廃棄物ではない」と判断されて現在に至っているようです。

No.19676 【A-2】

Re:事業所間の汚泥移動

2006-12-05 22:13:27 万田力

>> 違います。社外に運搬委託をするか否かにも関係なく、「自ら利用し、又は他人に有償で売却できない物」が廃棄物です。
> これは、どこからの引用でしょうか。廃掃法では「廃棄物とは〜不要物」の一言で片付けられているようですし、政令・規則にも見当たりませんでした。常識で考えればまさにそのとおりなのですが、引用されている通達等を教えてもらえると助かります。

 字数制限があり引用できませんので、廃棄物処理法の解説(廃棄物法制研究会編著 財団法人日本環境衛生センター)の第2条の『趣旨』と『解説』部分をお読み下さい。
 また、このサイトで『自ら利用』などのキーワードを使って検索するといろいろな知見が得られます。

>> 但し、他人に有償で売却できない物を自ら利用と称して燃料や造成資材として『利用』することは違法ですので、A事業所のボイラーが廃棄物処理施設では無いと行政が認
めているというのは私としてははなはだ疑問に思います。
> 「違法」とは、どの法令に抵触するのでしょうか。この件について廃掃法以外に注意すべき法令があればご教授ください。

 他人の物を処理しているなら無許可処分業に該当しますが、自らの廃棄物を処理・処分する場合、造成資材として使った場合は不法投棄、燃料として燃やしたというなら処理施設の無許可設置に該当するというようなことです。

> A事業所内の汚泥は同一プロセス内での移動が前提なので「利用」可能だが、他社に売却(他者から購入)できない類のものと解釈してます。

 文意が良く分かりませんが、自ら利用している場合でも他者に有償で売却できなければ廃棄物とみなされます。

No.19708 【A-3】

Re:事業所間の汚泥移動

2006-12-08 08:16:48 たる吉

万田力様
いつも,適切な回答ありがとうございます。
横から失礼致しますが,
>自ら利用している場合でも他者に有償で売却できなければ廃棄物とみなされます。
については,必ずしもそうはいえないのではないでしょうか。
廃棄物か否かは有償売却が出来ない場合,「総合判断」じゃないでしょうか。
例えば,弊社では鋳物を作っておりますが,鋳型に使用した廃砂は砂再生機にかけて利用できる砂を再使用しております。この砂自体は,他人に直接売却することは出来ませんが,再生機は廃棄物処理施設では無いと理解しております。
同様に,A事業所では当時の行政担当者が,総合判断した結果,廃棄物処理施設に該当しないとの判断をしていることも予想されると思います。(H17年度の規制緩和通知,行政処分指針とも照らし合わせてもう一度,判断したほうがいい内容かもしれませんが)

No.19721 【A-4】

Re:事業所間の汚泥移動

2006-12-08 21:10:57 万田力

たる吉様

> 廃棄物か否かは有償売却が出来ない場合,「総合判断」じゃないでしょうか。

 総合判断説、確かに難しい問題です。
 通常、「自ら利用する有価物である」と主張して問題になるのは、造成資材であったり燃料であったりして、「自ら利用する」ことによりほとんど完全に痕跡を消してしまう場合です。
 この意味で、御社の場合「砂再生機」にかけるまでは廃棄物ですが、そのあとは買い手がいなくても、元の鋳物砂として機能するのですから有価物と言って差し支えない。即ちこれが総合判断ではないかと思いますが、詭弁でしょうか?

> 再生機は廃棄物処理施設では無いと理解しております。

 廃棄物処理法第15条にいう産業廃棄物処理施設には該当しませんが、「産業廃棄物を処理する施設」には違いありません。自ら行っているので「処理業の許可」は必要ありませんが、第三者が行う場合は「中間処理業」の許可が必要です。(現在廃業されていますが、鋳物砂の洗浄で中間処理業の許可を取っていた方を知っています。)

> A事業所では当時の行政担当者が,総合判断した結果,廃棄物処理施設に該当しないとの判断をしていることも予想されると思います。

 廃棄物の焼却の際に発生する熱を利用したボイラーで5m3/dayを越える(又は200kg/hrあるいは火格子面積が2u以上の)汚泥を焼却する能力があれば 、廃棄物処理法上は産業廃棄物処理施設に該当しますので、もしかすると処理能力がそれ以下だったのかも知れませんね。

No.19896 【A-5】

Re:事業所間の汚泥移動

2006-12-19 12:51:06 たる吉

万田力様
よこやりに回答頂き,ありがとうございます。
ちょっと,遠くに行っており,回答が遅くなり申し訳ございませんでした。

>通常、「自ら利用する有価物である」と主張して問題になるのは、造成資材であったり燃料であったりして、「自ら利用する」ことによりほとんど完全に痕跡を消してしまう場合です。
おっしゃるとおり,「自ら利用する」と主張し,完全に痕跡を消してしまう場合が問題になるケースが多いです。しかしながら,近年の木くずの判決事例等も考慮すると,売れないケースでの総合判断もありえるのでは?,と考えてしまいます。

>廃棄物処理法第15条にいう産業廃棄物処理施設には該当しませんが、第三者が行う場合は「中間処理業」の許可が必要。
第三者が行う場合は必要ですね。
ただ,平成17年3月25日付け環廃産発第050325002号からすると,「廃水処理工程に限らず,一連の工程なのか」がポイントのような気がします。

A事業所が他事業所の汚泥をボイラ利用することは,「汚泥の焼却と見做されるだろう」と思いますが,A事業所が一連の工程でボイラ運転をしている場合,必ずしもそう判断されない可能性もあるのではないかなぁ,と思ったところでした。

いろいろ述べましたが,「主張はするが,行政指導に従う」のが,ベターと思いますので,貴殿がおっしゃる内容が本来ですね。

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