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環境Q&A

白煙の硫酸 

登録日: 2006年09月13日 最終回答日:2006年09月14日 エコビジネス 環境報告書

No.18483 2006-09-13 05:51:40 エスベン

初めて質問いたします。愚問かもしれませんが、お願いいたします。

@JIS0102などでは硫酸や過塩素酸を加えて「白煙がでるまで加熱する」と規定されているものがあります。この白煙は何を意味しますか?サンプルの有機物処理の終点をしめすのでしょうか?さらにこの白煙の正体はなにですか?

Aまた「硫酸を発煙するまで加熱したものを用いる」と規定されているものがありますが、試薬として売っている発煙硫酸で代用できますか?

よろしくお願いいたします。

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No.18532 【A-1】

Re:白煙の硫酸

2006-09-14 13:28:47 BATA

@について
ご質問の白煙は硫酸や過塩素酸の蒸気です。
白煙が出たから有機物の分解が完了しているわけではなく、その前に添加した硝酸が全て気化したことを指します。
もちろん、硫酸や過塩素酸の蒸気が発生するまで過熱することにより、硝酸だけでは分解しきれなかった有機物の分解が進行することにもなります。
自分が分析を行っていた時は、有機物分解の完了の判定は、検液中に濁りがなくなったりするなどの目視で確認しておりました。

Aについて
発煙硫酸とは、「濃硫酸に過剰の三酸化硫黄を吸収させたものである。発煙硫酸は三酸化硫黄の蒸気を徐々に放出しており、湿った空気中で白煙と鼻を突く刺激臭を発する。」(Wikipedia”発煙硫酸”より抜粋)となっておりますが、これは白煙が出るまで加熱した硫酸とは意味が異なっており、代用は無理でしょう。

No.18546 【A-2】

Re:白煙の硫酸

2006-09-14 19:22:34 筑波山麓

市販の硫酸は、濃度96%の濃硫酸で、比重1.84、35.9Nのものが普通です。硫酸を加熱すると、290℃で三酸化イオウを発生して分解しはじめ、317℃で共沸混合物となり、組成98.54%の水溶液になります。

一方、発煙硫酸は、硫酸に三酸化イオウを溶かし込んだものです。発煙硫酸は、水と混合すると、爆発のような突沸を起こし、非常に危険ですので、「エスペン」さんが言われているような試験に用いるのは、事故を招く元となるので、やめてください。

「白煙が生じるまで加熱する」とは、硫酸の白煙がでるまで加熱し、硫酸の沸点である約300℃まで溶液の温度を上昇させ、反応効果を高めることがねらいです。勿論、硫酸白煙が生じた時点で、硝酸等の沸点のより低い酸はすべて蒸発してなくなっています。しかし、サンプルの有機物処理の終点を示すものではありません。

有機物処理の終点は、「溶液が、無色又は淡黄色(硝酸が分解した二酸化窒素等の色)を示し、透明な状態で、有機性の浮遊物がないこと。」及び「溶液に粘性がなく、ガラス又はテフロン壁をはじかないこと」の2点を目視で確認した時点とします。

なお、試料の分解とは、一般に、原子吸光分析、吸光分析等を妨害する、有機物の炭素(C)等を二酸化炭素等のガスとして溶液中より放出する、目的とする測定対象物(Pb、Cd、Cr等の無機性の金属等)をイオン化して溶液中に溶け込ませることなどを言います。

分解に使用する酸にも、それぞれ役目があります。1000文字の制約で全てを説明できませんが、簡単に概略を説明すると、「塩酸は金属を溶かす」、「硝酸は有機物を酸化・分解する」、「硫酸は試料液の温度を高め反応性を増す」、「過塩素酸は、反応性の高い酸素を放出し、有機物(C)を燃やす」等々です。

とくに、過塩素酸は反応性が高く、その使用には十二分な注意と経験が必要です。過去に過塩素酸の爆発による失明、障害が多く報告されています。

回答に対するお礼・補足

BATA様、筑波山麓様
ご返答、ありがとうございます。
大変参考になりました。
また質問があったときには、お願いいたします。
エスベン

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