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環境Q&A

農薬の保管、不法投棄の判断について 

登録日: 2006年07月09日 最終回答日:2006年07月10日 ごみ・リサイクル 産業廃棄物

No.17380 2006-07-09 09:29:07 Dale

不動産売買に関わっている者ですが、ある企業の産廃の取扱について、お客さん(買主)から相談を受けております。

その企業(A社)は過去、袋詰めにした農薬等を主とした廃棄物(液体か固体かは未確認)を地下のコンクリート製ピットに保管していたが、その後ピット上に盛土し、現在は建物が建っている。なお、ピット内部への出入り口は一切なく、十分な管理がなされているとは言えない状況。
現在ではピットに搬入した時期が不明な点、盛土工事、建築工事のみでは不法投棄として立証するのが困難な点を逆手にとっているのか、現状を土地所有者(=建物所有者)は保管していると言い張っている。
この状況下で所有者に対し、どの法律に違反するのかどうか、どういう状況なのかを自覚してもらうためのアドバイスを考えています。

このような少ない情報で恐縮ではありますが、どなたかご教示いただければ幸いです。

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No.17381 【A-1】

追伸

2006-07-09 21:27:43 Dale

ちなみに下記のようにアドバイスしようと考えております。

<産業廃棄物処理法の観点から>
使用禁止になった廃農薬の廃棄の増加から、市町村責任では十分な適正処理が出来きなくなったので、廃掃法施行令の改正案で廃駆除剤等を産業廃棄物に追加するようになったという背景がある。
まず、廃棄物置き場には60cm×60cmの看板を掲げないといけない等、一時保管に関する規制に対応していない。
また保管や処理を認められた施設であったとしても、置場については基準が設けられており、飛散、流失、混合防止のため、許容される廃棄物の保管量が決められるが、現状の保有量、漏洩の有無等の状況確認ができない。
仮に保管と認められたとしても、短期間であれば問題がないが、今回のようにそれ以上の(期限が見えない)保管が認められるとは考えにくい。
以上の事から「事業者の責務」で「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」という条文に沿って、A社が責任を全うしているとは考え難い。
<農薬取締法の観点から>
厚生労働省が昭和52年3月26日に通知した「毒物及び劇物取締法」「毒物及び劇物の保管管理について」に基づくと、毒劇物を鍵のかかる設備のある専用の堅固な施設で貯蔵、陳列し、その場所に「毒物」等を表示するよう指導しており、これを受けて都道府県知事は立入検査を行い、保管管理の適正化を指導するといった流れとなっている。
A社の対応は農薬取締法にも抵触している可能性が極めて高く、早急に善処する必要があると思われる。
<結論>
一般的に保管とは処分の予定がある、またはスグに処分できる状態をいい、漏洩等の保守管理が決められた期間に一定回数以上できる状態をいう。
現在の状況がいつの時点で成立したのか、確実な事は言い難いため断言できないが、少なくとも業廃棄物処理法の「事業者の責務」、「毒物及び劇物取締法」の保管管理がなされているとは考えにくい。
厳密には法的な判断が必要かも知れないが、かなりの高い確率で不法投棄に該当すると思われる。

No.17384 【A-2】

追加情報

2006-07-10 12:52:31 Dale

情報の追加をします、つぎはぎで申し訳ありません。

事業所で製造され、売れなくなった農薬(製剤)を敷地内に埋設しているとのことです。
埋設方法は一部はコンクリートピットを造って埋め、一部は野積み状態で暫く放置した後埋設したとのこと。これらは売主の責任で撤去するというのですが、どこまでやるのか明確ではありません。

No.17395 【A-3】

Re:農薬の保管、不法投棄の判断について

2006-07-10 20:57:43 万田力

 おそらく、昭和40年代に行われた有機塩素系農薬の使用制限・禁止措置により回収された農薬を埋設処分したものの事だと思います。
 農薬は農薬取締法により規制されますが、同法では廃棄処分に関する規定は定められていないため、性状によっては毒物劇物取締法の対象となると同時に、廃棄に当たっては廃棄物処理法の下で産業廃棄物又は一般廃棄物として処理されることになります。
 Daleさんは問題の行為を「保管」ととらえているようですが、上記の回収された農薬の埋設処分の事であれば、当該行為は廃棄物処理法上では「埋立処分」に該当します。
 この場合、当時の廃棄物処理法では当該処分場の設置に関しては届出とか許可は不要でしたし、当該施設の上には既に建物が建てられているという状況から閉鎖された処分場ということになりますので、現時点では廃棄物処理法の適用は受けず、従って表示義務もありません。
 但し、当該地を跡地利用の為に掘りかえした場合は、出てきた農薬はその性状によって、その工事を行った者が排出した産業廃棄物又は一般廃棄物ということになって、現行の廃棄物処理法の適用を受けることになります。(この回答は正確な情報のない状態での話ですので間違いがあるかも知れません。)

回答に対するお礼・補足

万田力様

いつもご指導いただき、ありがとうございます。

私自身は、十分な管理をしていない現状を「保管」でなく、その危険性から「不法投棄」にあたるものだと思い込んでおりました。
「埋立処分」されたものであるとするなら(現実的ではない例えかもしれませんが)最終処分場の移設工事のつもりで取り扱うといった考え方もできるかも知れません。
個人的には劇物の埋立が、ごみの埋立と同じ(近い)位置付けという部分に納得できず、偏見に近い固定観念をもって現状を見ていたのかも知れませんね。
ただ土壌汚染も心配ですので、撤去後のボーリング調査は必須と考えています。

万田力様の助言のおかげで視野が広がった気がします。
自身でももう少し調べてみます、ありがとうございました。

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