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環境Q&A

水質測定TOCとはどんな基準なのでしょうか? 

登録日: 2002年08月26日 最終回答日:2002年08月29日 水・土壌環境 水質汚濁

No.1024 2002-08-26 08:03:59 こなこな

 先日来このQ&Aでとても参考になるおはなしを知ることができています。私も、水質汚染に関しての基準を調査していますが、その簡便な測定方法の情報の中に『TOC(全有機炭素)』なる記述がありましたが、これがCOD/BODの代わりとなる基準なのでしょうか?その内容も合わせてお教え願えれば幸いです。

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No.1039 【A-1】

Re:水質測定TOCとはどんな基準なのでしょうか?

2002-08-29 16:34:37 sory

TOC=total organic carbon=全有機炭素
とは、水中に含まれる有機物中の炭素量のことです。

試験方法としては、酸素(又は二酸化炭素を含まない空気)中
900〜950度で水中の有機物質を分解して有機体の炭素を二酸化炭素にし、
その濃度を測定することにより炭素量を求めるもので、
有機性汚濁の指標として用いられます。
TOCは分析の自動化ができる意味で「簡便な分析」と言えます。

BODやCODが、水中の有機物の分解に必要な酸素の量を求める方法で
あるのに対し、TOCは水中の有機物に含まれる炭素の量を求める方法です
ので、各々の意味するところは違います。

当然ですが、有機物質中の水素・窒素・イオウ・リン等の酸化による酸素消費
はTOCでは考慮されません。よってBOD、CODと単純に換算はできません。
なお、例えば下水処理場の排水の常時監視のように、同じ性状の水を測定する
ようなケースでは、汚濁物質の組成比がおおむね一定と考えられますから、
TOCとBOD、COD間に一定の相関を実験的に得ることにより、TOCからBOD、CODを
推定することはあります。全ての場合に有効とはいきませんが・・・

BODやCODでは、試験方法の性格上、汚濁物質の分解率(反応率)が100%でなく、
分解のしやすさの影響を受けますが、TOCでは分解率はほぼ100%なので
汚濁物質の分解のし易さによらない測定と言えます。
「ゆっくり分解する」物質の影響も含めて水質汚濁を評価したいとき、
TOCは極めて有効な指標の一つであると思います。

こうした違いを認識した上で、TOCを活用して下さい。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございました。
大変わかりやすく、よく理解することができました。出張のため、返事が遅れましたことをお許しください。これからもよろしくお願いします。
                        こなこな

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